グランディディエライトは特徴的なブルーグリーンが魅力的で、近年コレクターを中心に人気が上昇している宝石です。
宝石品質のものが発見されたのがごく最近で、流通量はまだそれほど多くない希少石です。
しかし注目度の高さから考えると、これからも人気が上昇する可能性を秘めた宝石ではないかと思います。
そこで今回は、特徴や原石の形、色、名前の意味、偽物の存在など、グランディディエライトについて知って欲しい情報を色々まとめてみました。
既にお持ちの方もまだ持っていない方も参考にして頂ければ嬉しいです♪
目次
グランディディエライトとは?
グランディディエライトが初めて見つかったのはマダガスカル南部で1902年のことだったといわれています。
しかし当初は半透明~不透明な結晶が多く、ファセットカットが出来るような宝石品質のものは少なかったようです。
それが2014年、新たな鉱床で透明度の高い宝石品質のものが発見されます。
そしてそれをきっかけに大きな注目を集め市場に流通し始めたといわれています。
グランディディエライトは他のブルーの宝石とはひと味違う、独特のブルーグリーンが魅力的です。
小粒で産出されることも多く、宝石品質のものの産出量も少ないことから希少性が高く、コレクターの間で人気が上昇している宝石です。
鉱物としての基本情報
英名 | Grandidierite(グランディディエライト) |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
結晶系 | 斜方晶系 |
化学組成 | (Mg,Fe)Al3BSiO9 |
モース硬度 | 7.5 |
比重 | 2.85-3.09 |
屈折率 | 1.58-1.63 |
光沢 | ガラス光沢 |
特徴
グランディディエライトはモース硬度は7.5と高めですが、2方向に劈開性があります。
見る方向によって違う色に見える多色性が強く、主に三色性をもつといわれています。
前述したように、多くは不透明な結晶で、透明度の高い宝石品質のものが産出されるのは稀だといいます。
内部に細いチューブ状や、白濁した多結晶物質による内包物などを含むことがあるそうです。
産地
グランディディエライトはマダガスカルの他、ドイツのアイフェル地方、マラウィでも発見されています。
この他、ノルウェー、アルジェリア、チェコ共和国、スロバキア、イタリア、インド、アメリカ、カナダ、南極大陸などでも見つかったことがあるそうです。
宝石品質のグランディディエライトは主にマダガスカルとスリランカで産出されます。
原石の形
グランディディエライトは、マグネシウムとアルミニウム、ホウ酸を主成分とする珪酸塩鉱物です。
原石は、高温と低圧下で変成作用を受けた、アルミナ質のホウ酸に富む石の中で生成するといわれています。
ペグマタイトやアプライトなどの鉱床で見つかることが多いそうです。
結晶は斜方晶系で卓状をしており、一方向で薄い形状を見せます。
名前の意味
1902年にこの石を最初に発見した、フランスの博物学者で探検家のAlfred Grandidier氏に敬意を表し、グランディディエライトと名付けられたといわれています。
グランディディエライトの色
グランディディエライトは、主にブルー~グリーンの色合いをもちます。
鉄の微量元素を含むことが色の起因であると考えられています。
結晶によってブルーの強弱に差がありますが、鉄の含有量と色の強弱の関連性はあまりないと報告されています。
グランディディエライトの多色性
前述したように、グランディディエライトは強い多色性をもちます。
見る角度によって、カラーレスや淡いイエロー、ブルーグリーン、グリーンブルーといった3色を確認することができます。
多色性を確認するためには、原石をカットする前に最も美しく見える方向を判断する「石取り」が重要な点になります。
テーブル面にグリーンを帯びたブルーの面を持ってくると、より強い発色を見ることが出来るそうです。
また、石取りの方向によって見える色に影響を与え、ブルーが強かったり弱かったりするのではないかとも考えられているそうですよ。
色々奥が深いのですね!
グランディディエライトの歴史
先にお伝えしたとおり、グランディディエライトは、1902年に初めてマダガスカル島南部で発見されたといわれています。
この後スリランカ南部やドイツのアイフェル地域などでも見つかったといいますが、殆どが半透明から不透明で内包物が多いものばかりだったそうです。
1970年代から1980年代にかけて、世界各地でグランディディエライトの産出が報告されましたが、宝石品質の結晶が見つかるのは非常に稀だったといいます。
そんな折、2003年にスリランカで0.29ctの宝石品質のものが発見され話題になりました。
この頃になると、当初発見されていたマダガスカル南部の鉱床などすでに枯渇しているところもあったようです。
そして2014年5月、マダガスカル南東部にあるTranomaroで新しい鉱床が見つかります。
この土地では、ファセットカットに向いた透明~半透明の宝石品質の結晶が産出され、大きな注目を浴びます。
2015年9月にバンコクのGIAがカットされたマダガスカル産の0.9ct~2.3ctのルースの鑑定結果を発表し、翌月には市場に流通し始めたといいます。
現在は世界中に流通していますが、希少性の高さなどからコレクターに注目されています。
グランディディエライトが人気の理由
グランディディエライトはコレクターを中心に人気のある宝石ですが、なぜこんなに注目されているのでしょうか?
その理由を探ってみました。
色
まず全般的に、トパーズやアクアマリンなどといった、透明度の高いブルーの宝石は人気が高いイメージがあります。
ブルーの宝石は他にも多々ありますが、グランディディエライトはアクアマリン、タンザナイト、パライバトルマリンとはまたひと味違った、独特のブルーグリーンの色合いをしています。
グランディディエライトのもつ特有のブルーが人々を魅了する理由の一つだと考えられます。
さらに、強い多色性も魅力的なのではないかと思います。
カット・加工に向いている
グランディディエライトはモース硬度が7.5と高めのため、ジュエリーとしても楽しめる宝石です。
劈開の性質を2方向にもつため、強い衝撃を避けるなど取り扱いに注意は必要ですが、リングやネックレスなど、様々なデザインでお洒落を楽しめることもとても魅力的なのではないでしょうか。
希少性
宝石品質のグランディディエライトが発見されたのは、2014年とごく最近です。
また、宝石品質のものを産する鉱床は多くないことから、産出量が限られています。
更に原石は小粒がほとんどなことから、一般的に流通しているルースは大抵が0.07ct~0.4ctと小粒な上、内包物やクラックが多く、透明度の高いものが少ないようです。
グランディディエライトに施される処理と偽物の存在
一般的に多くの宝石には、より綺麗に見せるために人工処理を施されているものが多く、人気の石になるほど合成石や偽物なども多く出回っています。
グランディディエライトの場合はどうなのでしょうか。
施される人工処理について
グランディディエライトは、現在のところ人工処理を施されたものが出回っている様子はあまりないようです。
市場に流通している殆どは天然未処理のものが多いということです。
偽物について
こちらも現在のところ合成石や模造石などを見かけたことはあまりないといった印象です。
しかし調べてみると、海外の科学者がグランディディエライトの合成石を生成したという報告がありました。
これは、最近発見された大峰石(ominelite)という鉱物や、ペグマタイト中のwerdingiteという鉱物の発生について研究するためだそうです。
これらがジュエリーなどとして市場に出回っていることはないとのことです。
しかし、グランディディエライトは人気が上昇しており、今後需要が高まるにつれて模造品などが流通しないとは限りません。
高額のものを購入される際には特に、信頼のおける鑑別機関のソーティングや鑑別書付きのもの、もしくはオプションで付けられるものを購入された方が安心だと思います。
グランディディエライトの価値基準と市場価格
グランディディエライトは、色・透明度・カラット・カットの美しさを基準に、その価値が決められています。
それぞれの項目での基準と市場価格、さらにグランディディエライトがどこで買えるのかなどをご紹介していきます。
価値基準
色
グランディディエライトの色合いは、ブルー寄り、ブルーとグリーンの中間色、グリーン寄りなど様々で、発色の濃淡もそれぞれです。
色の濃いものほど高く評価されます。
透明度
グランディディエライトは、内包物やヒビ割れが多くみられる宝石です。
透明感が高いほど高評価になります。
カラット
グランディディエライトの原石は小粒がほとんどだといわれていますので、カラット数が大きいほど価値が上がります。
カット
カットされたルースは、全体的なプロポーションとバランスに優れているほど、高く評価されます。
多色性が美しく見えることも重要です。
テーブル面から見た時、内部から美しい発色と煌めきを放っているかも、高評価のひとつとなります。
市場価格
グランディディエライトはクォリティによってはルースであれば一万円以下でも探せますが、多くは0.1ct程度のサイズでも数万円以上の価格が付きます。
さらに1ctを超えるものになると、品質によっては数百万円という価格になるものもあるようです。
どこで買える?
希少なグランディディエライトですが、最近はオンラインショップを中心に取り扱うお店を見かけることが多くなりました。
ミネラルショーなどでも、グランディディエライトを扱っているお店を見かけることがあるようです。
ジュエリーとしても数はまだ少ないようですが、見かけることはありますので、ご興味がある方は探してみると良いと思います。
グランディディエライトのお手入れ方法
日常的なお手入れは使用後に布で軽く拭いてからしまうようにすると美しさをキープしやすいです。
目立つ汚れがある場合は、石鹸や中性洗剤を溶かしたぬるま湯で洗うと良いでしょう。
ただし、超音波洗浄機でのクリーニングは避けるようにして下さいね。
多少のアルコールは問題ありませんので、気になる汚れをアルコールティッシュなどでサッと拭いてもキレイになります。
保管の際は他の宝石とは分けてしまうことをオススメします。
最後に
グランディディエライトはモース硬度が比較的高く、ジュエリーとしても楽しめる宝石です。
ただし、2方向に劈開の性質をもつので、強い衝撃を与えないように注意して下さいね。
今後ますます注目を集め、人気が上昇する可能性を秘めた宝石です。
今回の記事を参考にグランディディエライトの魅力が少しでも伝われば嬉しく思います♪
カラッツ編集部 監修
<この記事の主な参考書籍・参考サイト>
◆https://www.gia.edu/
◆https://www.gemsociety.org/ ほか