市場に出回っている「ダイヤモンド」と呼ばれる石は、大きく分けて4種類に分かれます。
その4種類とは、天然石、合成石、人造石、模造石です。これらの内、本物のダイヤモンドと呼べるのは「天然石」だけで、残りの3種類は人工的に作られた偽物です。
いやいや、人工的に作られたからといって「偽物」は言いすぎなんじゃない?と思われる方もいるかもしれません。ただ想像して欲しいのですが、もし「成分的には同じだけれど、生きているマグロではなく、人工的に作られた美味しい大トロ」があったとしたらどうでしょうか?
少し気味が悪いな、少なくとも人工的に作ったことは言ってほしいな、と思われるのではないでしょうか。
ひどい話で、「偽物(人工的に作られたもの)」にも関わらず、それを隠して売ろうとする業者は後を絶ちません。
そこでこちらでは、偽物を掴んでしまわないために、人工的に作られたダイヤモンドについての知識をお伝えします。
目次
ダイヤモンドの種類① 模造石
1-1 模造ダイヤモンドとは?
ダイヤモンドの見た目を真似しただけのイミテーションです。無色透明やピンク、黄など多彩な色があり、キラキラ光りますが、安い材料で作られています。
1-2 模造石の種類
ガラスやプラスティック、ラインストーン、セラミックなど。
上部に薄い天然石、下にガラスや合成石を張り合わせた「ダブレット」又は「トリプレット」と呼ばれるものもあります。
1-3 天然石との見分け方
模造石はダイヤモンドとの化学・物理的特性や構造も異なるので、ルーペや鑑別機で内包物や光沢及び特性を見て、模造であることを確認できます。
ダイヤモンドの種類② 人造石
2-1 キュービックジルコニア(CZ)
ダイヤモンドの代用品として、人工的に作られています。
色や輝きがダイヤモンドにそっくりですが、化学組成などは全く異なるもの。価格は1カラットが1ドル以下と、ダイヤモンドに比べてグンと安価なのです。硬度が7.5-8.5と高く、ファイアーの強さが特徴的。ダイヤモンドよりも虹色の輝きが大きく、よりキラキラと光ります。
2-2 天然石との見分け方
ルーペではカットやファイアー、内包物を見るほか、鑑別機器を使用して、CZである事を確認します。
2-3 ダイヤモンドという表現に騙されないで!
「CZダイヤモンド」という商品名で高額販売されている事が、度々問題となっている様です。CZはあくまで人工石。本来、ダイヤモンドより安く買える気軽なものとして、利用されるべきです。 ダイヤモンドという表現が付いていても、キュービック・ジルコニア(CZ)と書かれていれば、人造石だという事を必ず覚えておきましょう。
ダイヤモンドの種類③ 合成石
3-1 合成ダイヤモンドとは
合成ダイヤモンドは、天然ダイヤモンドと見た目も中身も全く同じ。硬さや光沢、結晶構造や化学組成、さらに物理と化学特性まで本物そのものです。
※天然ダイヤモンドの魅力についてはこちら
▶ダイヤモンドの性質と美しさの秘密
ここから一気に難しい話になってしまって申し訳ないのですが、ダイヤモンドは炭素原子から出来ており、合成品を作るのが比較的安価で簡単な事から、古くから実験が行われてきました。 研究が進むにつれ、合成ダイヤモンドは研磨や放熱器、レーザーなど工業用で活躍してきました。ここまでは成分的にはダイヤモンドと同じですが、宝飾品として使えるような輝きを持ったものではありません。
ですがその後、米ゼネラル・エレクトリック社がその研究をさらに進め、宝石として使用できるクオリティの、あたかも本物のダイヤモンドであるかのような光り輝く合成石を開発しました。
3-2 天然石との見分け方
米ゼネラル・エレクトリック社が作り上げた合成ダイヤモンド。現在では極めて高品質なものを作れるようになっており、天然石と見分けるのはかなり困難になっています。結晶は明らかに見た目が違いますが、カットされてしまうと鑑定は難しくなります。
屈折率やファイアーも同じ数字。品質が良く、さらに優れたカット技術が施された合成石は、天然石の美しさと変わりはありません。合成石を見分けるために、鑑別機関では常に最新の機器を使って鑑定を行う様にしています。
3-3 合成ダイヤモンドの価値
合成と証明されている物を選ぶ様にしましょう。本物と偽って販売している場合もあるので、注意が必要です。
GIAでは合成ダイヤモンドの鑑定書を発行しているので、購入する際の参考にしましょう。投資や財産には不向きですが、希少なファンシーカラー・ダイヤモンドなどが欲しい時は、手軽な合成石を入手するのも、ひとつのアイデアです。
ファンシーダイヤモンドの詳細についてはこちら
▶一生に一度見てみたい 様々な色のダイヤモンド
まとめ
ダイヤモンドを購入する時は、必ず天然石か合成石かの表記の確認を忘れない様にしましょう。
「天然ダイヤモンド」ではなく、「〇〇ダイヤモンド」といった紛らわしい表現にも注意。例えば「ブラジリアン・ダイヤモンド」は、ブラジル産の水晶だからです。鑑定書の有無も忘れずに確認したいものです。
安くお洒落を楽しむために模造品などを購入するのは良い事ですが、本物と間違えて高額を支払ってしまっては大変です。購入前には、しっかりと天然石か合成石かを確かめる様にして下さいね!
カラッツ編集部 監修