タンタライトは、近頃需要が急騰しているといわれている、レアメタル「タンタル」を含む鉱物です。
宝石品質のものが少ないため市場に出回ることも多くない、レアストーンの一つです。
資源鉱物としても重要な役割を担う、タンタライトとはどんな鉱物なのでしょうか?そして宝石としての魅力とは?
こちらでは、鉱物タンタライトについて、原石の形、色、名前の由来など色んな角度からお話していきますね。
タンタライトとは?
冒頭でも少し触れましたが、タンタライトは、レアメタル「タンタル」を含む鉱物です。
宝石としてだけではなく、資源鉱物としても注目を浴びている鉱物なのですね。
詳しくは、のちほどお話するとして、まずは鉱物としての基本情報から見ていきましょう。
鉱物としての基本情報
英名 | Tantalite |
和名 | タンタル石 |
分類 | 酸化鉱物 |
結晶系 | 斜方晶系 |
化学組成 | (Fe,Mn)(Ta,NB)2O6 |
モース硬度 | 6‐6.5 |
比重 | 6.7‐8.0 |
屈折率 | 2.26-2.43 |
光沢 | 金剛光沢~金属光沢 |
特徴
「タンタル」を含む酸化鉱物であるタンタライト。
タンタライトは、含有する鉄とマンガンの比率から、鉄タンタル石とマンガンタンタル石とに分類されるといいます。
表面は金剛光沢から金属光沢を見せ、結晶は不透明ですが、稀に透明な結晶が発見されることもあるそうです。
特定方向からの衝撃に弱いといわれる性質、劈開(へきかい)が一方向にあるといわれています。
色
タンタライトの色は、黒、黒褐色、ダークな赤色、赤褐色など。
マンガンを多く含むマンガンタンタル石(マンガノタンタライト)は透明度の高い美しい赤色を発色するといわれています。
産地
タンタライトの主な産地は、モザンビーク、ブラジル、オーストラリア、アメリカ合衆国、カナダ、中国など。
日本で産出されることもあるそうです。
タンタライトの原石の形
火成岩、変成岩の副成分鉱物といわれる、タンタライト。
原石は、花崗岩ペグマタイトやカーボナタイトの中から産出されるといわれています。
八面体結晶が一般的といわれますが、稀に十二面体や立方体のものもあり、結晶は斜方晶系。
多くは柱状や板状をしており、塊状で産出されるものもあるといいます。
断口は亜貝殻状でギザギザしており、崩れやすい特性をもっているといわれ、破面に錆びたような青色味を見せる場合もあるそうです。
紫外線照射によって蛍光色を見せるものもあるそうです。
タンタライトの名前の意味
タンタライトの名前の由来には諸説ありますが、いずれもギリシア神話のタンタロスに関係しているようです。
一つは、タンタライトと同じ結晶構造をもつコロンバイトに因んだ説。
タンタライトとコロンバイトは見た目もそっくりで、ともに産出されることも多いことから、まるで親子のようだと考えられていました。
成分に「ニオブ」を含むコロンバイトをギリシャ神話に登場する「ニオベー」に見立て、その親である「タンタロス」に由来し、タンタライトと名付けられたというものです。
他には、神話の中で罪を犯したタンタロスに、神は近くにある食物や飲み物に手が届かないという「もどかしい」思いをし続ける罰を与えます。
その昔、タンタライトとされる鉱物を酸の中で溶かそうとしたところなかなか溶けず、「もどかしい」鉱物といわれたことがあり、このエピソードがタンタロスの神話に繋がることから名付けられたという説です。
タンタライトとコロンバイトの関係
※画像はコロンバイト
前述したとおり、タンタライトとコロンバイト(コルンブ石)は同じ結晶構造をもちます。
どちらも黒色をした粒状結晶でペグマタイト中に産し、見た目もとても似ています。
それぞれの特徴を簡単に表にしてみましたので、比較してみましょう。
コロンバイト | タンタライト | |
成分 | ニオブを多く含む | タンタルを多く含む |
モース硬度 | 6 | 6.0‐6.5 |
比重 | 5.0‐6.0 | 6.7‐8.0 |
こうして比較してみると、タンタライトのほうが少し硬くて比重も大きいのが分かります。
この二つの鉱物の大きな違いはコロンバイトは「ニオブ」、タンタライトは「タンタル」を多く含有することだといわれています。
つまり、ニオブの割合が多いとコロンバイト、タンタルの割合が多いとタンタライトと呼ばれるということですね。
ただ、ニオブとタンタルの割合は変化しやすいため成分が中間的なものも存在し、見分けが困難だといわれます。
そのため、コロンバイトとタンタライトを総称して「コルタン」と呼ぶこともあるようです。
コロンバイトもタンタライトと同様に鉄とマンガンの比率によって、鉄が多いと「鉄コルンブ石」、マンガンが多いと「マンガンコルンブ石」と呼ばれるそうです。
重要資源「タンタル」とは
タンタルは第5族元素に属する金属で、元素記号はTaです。
タンタルはパソコンやスマートフォン、液晶テレビ、デジタルカメラなどに「タンタルコンデンサ」として使用されるといわれています。
ほかにも耐熱材料や合金添加物、自動車部品など多岐にわたって使用されています。
デジタル機器などの需要増加に伴い、注目され続けている資源の一つであり、それ故、タンタライトは近代社会においてとても重要な鉱石なのです。
タンタライトの価値基準
タンタライトはコレクター用としてカットされることが多いといわれています。
宝石品質の結晶は希少なこともあり、カットされたルースには高い価値が付くことが多いようです。
価値の基準としては、他の色石同様に
●発色が良いこと
●インクルージョンやキズなどが少ないこと
●大きさ
●カットが美しい
などを元に評価されます。
最後に
資源鉱物としても重要視されているタンタライト。コロンバイトと深い関係にあることも分かりました。
宝石としてカットされて出回ることは少ないそうですが、美しい輝きをもつものもあるといいます。
いつかどこかで出会えることがあれば、神秘的な輝きを確認してみてくださいね。
カラッツ編集部 監修