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セシウムが採れる宝石ポルサイト ペタライトとの深い関係とは?

ポルサイト ルース

ポルサイト、あまり聞き馴染みがないという方も多いかもしれませんね。

それもそのはず、あまり市場に出回らない希少石の一つです。

しかしこの石、なかなか個性的な背景をもっています。

ギリシャ神話の登場人物から名付けられ、地球上で最も希少な金属元素セシウムを生み出すといわれています。

では早速、宝石「ポルサイト」についてお話していきたいと思います!

ポルサイトとは?

ポルサイト ルース

ポルサイトは1846年に発見された宝石で、和名をポルクス石といいます。

ポルーサイトと呼ばれることもありますね。

リチウムを含んだ花崗岩ペグマタイトに生成し、透明度が高い宝石品質と呼ばれるようなものはほとんどが小粒で産出されるといわれています。

では早速鉱物としての基本情報から見ていきましょう!

鉱物としての基本情報

英名 Pollucite
和名 ポルクス石
分類 水和アルミノ珪酸塩鉱物
結晶系 立方晶系
化学組成 Cs(AlSi2)O6nH2O
モース硬度 6.5-7
比重 2.7-3.0
屈折率 1.51-1.53
光沢 ガラス光沢~油脂光沢

特徴

ポルサイト(ポルーサイト)はセシウムの水和アルミノ珪酸塩鉱物です。

正八面体や十二面体の結晶が塊状集合体で発見されることが多いようです。

方沸石と同じ結晶構造をもち、なんでも、方沸石との間にセシウムとナトリウムの比率が続けて変化することで、連続固溶体系列を作り上げるのだとか、、、うーん、ちょっと難しいですね。。

ポルサイトの色は一般的に無色か白色をしていますが、ピンクや紫、青色をしたものも発見されています。

産地

ポルサイトはアフガニスタン、アメリカ、カナダ、イタリアなどで産出されるといわれています。

主要な地域における特徴は、以下のようになります。

カナダ

マニトバ州にあるバーニック湖には、大変大きな鉱床が存在するそうです。推定35万トンが埋蔵されているといわれているのだとか。

アフガニスタン

カムデシュでは直径60㎝という巨大な結晶が見つかったことがあるそうです。

アメリカ

宝石品質の結晶が産出されることがあるそうです。

イタリア

イタリアからも宝石品質の結晶が産出されるそうです。

ポルサイトの原石の形

ポルサイト 原石

ポルサイトの結晶は立方晶系で、正八面体や十二面体をしています。

ただし、はっきりとした結晶体で産出されることがなく、ほとんどが塊状集合体の球状で発見されるといわれています。

腐蝕したような見た目をしており、結晶の断口は貝殻状から粗面をしているそうです。

ポルサイトの原石は、希少な成分であるリチウムを含む花崗岩ペグマタイトの中だけで生成すると考えられており、スポジュメンやクォーツ、リチア雲母、燐灰石などの鉱物とともに産出されることも多いと聞きます。

ポルサイトの名前の意味

双子座
鉱物としての情報が色々分かったところで、冒頭で触れたポルサイトがもつ個性的な背景についてのお話に入っていきましょう。

ポルサイトの正式名は英語で「Pollucite」と綴ります。和名はポルクス石ですね。

ポルサイトはカストライト(カストル石)という別の鉱物と共に産出されることも多いといわれています。

カストルとポルクスと聞いて、ピンときた方もいらっしゃるでしょうか。

カストルとポルクスとは、ギリシャ神話やローマ神話に登場する兄弟のことです。

双子座のモデルにもなっていますね。

ギリシャ神話やローマ神話の中のカストルとポルクスは乗馬を上手くこなす勇者として描かれています。

カストルは人間の子供として、ポルクスは神の子供として誕生したことから悲劇的な運命を辿るというお話です。

ローマ人たちはある戦いでの勝利がこの双子のご加護のおかげと信じ、2人を祀る寺院を建てたとの言い伝えもあるそうですよ。

そしてカストライトとポルサイトは、一緒に産出する姿が双子に見立てられ、そう名付けられたと伝わります。

しかし、双子の片割れである「カストライト」は、後に「ペタライト(葉長石/ようちょうせき)」という名前に変更されています。

ペタライトとの関係

ポルサイト ペタライト ルース

※画像:向かって左がポルサイト 右がペタライト

もうお分かりですよね、ペタライトとポルサイトの関係。

ペタライトは最初はカストライトと呼ばれており、ポルサイトと共に産出されたことから「双子」のような扱われ方をしていた鉱物です。

せっかくなので、ペタライトについても少しご紹介しましょう。

ペタライトについて

ペタライト 原石
ペタライトはリチウムを成分とします。

実は世界で初めてリチウムが発見されたのはペタライトからでした。現在もペタライトはリチウムの重要な鉱石として貴重に扱われています。

ペタライトの性質は、以下のようになります。

結晶系 単斜晶系
化学組成 LiAlSi4O10
モース硬度 6.0-6.5
比重 2.4
屈折率 1.50-1.52
光沢 ガラス光沢

色は主に無色~灰色系の白ピンク、緑色などです。

ポルサイトと比較すると、モース硬度と比重が低い(ポルサイト:硬度6.5 – 7、比重2.7 – 3.0)ことが分かりますね。

ペタライトは結晶が葉のように薄いことから、ギリシャ語で「葉」を意味する言葉から由来してそう名付けられたといわれています。

葉のように薄い層をしており、もろくて砕けやすいという特性をもちます。

▶ペタライトについて詳細はこちらの記事も参考に

資源鉱物としてのポルサイト

セシウム

セシウムを主成分とするケイ酸塩鉱物であるポルサイトからは、「セシウム」を得ることができます。

セシウムは地球上で最も希少なアルカリ金属元素で、 GPS衛星や原子時計の他、がん治療や減菌として医療用にも幅広く使用されています。

ポルサイトのほかにリチア雲母から得ることもできるそうです。

ポルサイトの価値基準

ポルサイト ルース

前述したとおり、ポルサイトは宝石品質のものが見つかることが非常に稀で、もし見つかったとしても大抵が小粒だといわれています。

さらに地球上で最も希少なアルカリ金属元素といわれる、セシウムを得ることができる貴重な鉱石でもありますから用途は様々です。

透明感が高くカラット数の大きいものほど高い価値が付く傾向にあるそうです。

最後に

ポルサイト ルース
ポルサイトは希少なことから、コレクターにも人気のある宝石だと聞きます。

原石はクォーツに似ており、一目で区別するのが難しいこともあるようです。

しかしファセットカットが施された宝石品質のポルサイトは美しい輝きがとても魅力的な宝石です。

良かったら今後ぜひ注目してみてくださいね。

カラッツ編集部 監修