ロシア皇帝の名前がつけられた宝石、アレキサンドライト。
6月の誕生石としても知られていますよね。
アレキサンドライトはカラーチェンジする性質があるため「昼はエメラルド、夜はルビー」と言い表されることもある宝石です。
品質の高いアレキサンドライトはかなりの高値で取引されているとのこと。
一体どのくらいの値段で流通しているのでしょうか。アレキサンドライトの相場がとても気になってしまいます。
さらに気になるのがアレキサンドライトを選ぶ時のポイント。
ルースとジュエリーでも異なるそうですよ。
そこで今回は、アレキサンドライトの価値基準や市場価格、ルースやジュエリーの選び方や楽しみ方のポイントについてお話しましょう。
▼アレキサンドライトの全般的なお話は下記記事で詳しくご紹介しています。
目次
アレキサンドライトの価値基準
価値の高いアレキサンドライトとはどのようなものなのか、まずはそこからお話しましょう。
まずは、劇的なカラーチェンジが見られること。
色が濃くて鮮やかなアレキサンドライトはカラーチェンジが分かりやすいものも多いといいます。
それから透明度が高くカットが美しいこと。
アレキサンドライトは大粒のものが採掘されにくいため高品質でしかも1ct以上あれば価格は跳ね上がります。
中には3色に変化するアレキサンドライトもあるそうですよ!
蛍光灯でブルーグリーン、太陽光でグリーン、白熱灯でレッドパープルに変わるのだそうです。
さすが、宝石の王様と言われるだけの魅力がありますよね~。
また、アレキサンドライトの中で最も価値高く扱われるのは、ロシア産、次いでブラジル産です。
特にロシア産は品質が高いものが多い上に、現在殆ど採掘されていないことから、品質に依っては、かなり高額で取引されるものも多いといいます。
アレキサンドライトの産地別特徴や価値の違いについてまとめた記事もありますので、良かったらこちらも参考にして下さいね!
スリランカで売られていたアレキサンドライト
スリランカはアレキサンドライトの産地の一つです。
私は昔スリランカの宝石店を何軒もハシゴしてスリランカ産やロシア産など、数多くのアレキサンドライトを見させてもらいました。
イエローグリーンのアレキサンドライトはブラウンにカラーチェンジするものが多く、価格が低い傾向にありました。
グリーンが濃かったり、ブルーに近くなると、カラーチェンジ後の色がレッドに近くなり、価格も高くなったものです。
サファイアのインクブルーにそっくりなアレキサンドライトは、それはそれは見事でしたよ。
照りが良くて透明度が高くまるでサファイアのように輝いていました。
ブルーの地色の中にレッドがチラチラ走っていて、ペンライトを当てると石全体が真っ赤に変化したのです。
1ctくらいの大きさだったと思うのですが、100万円近い値段だったのを覚えています。
スリランカで教わったアレキサンドライトの選び方
昔スリランカの宝石店で教えてもらったアレキサンドライトの選び方をご紹介しますね。
まずは、良いものを沢山見て、アレキサンドライトを見る目を養うこと。
次に予算を決めること。
アレキサンドライトも他の宝石と同様、実に様々な品質と価格の幅があります。
そこで、予算を提示して、その範囲のアレキサンドライトを見せてもらい、見比べて気に入ったものを買うことをオススメされました。
同じ値段であれば、カラーチェンジがぼんやりしている大きな石より小さくてもカラーチェンジが美しくハッキリしているものの方が価値があるとのことでした。
お店の人から、
『アレキサンドライトは、カラットはあまり関係ないよ。どれだけドラマティックに色が変わるかが重要だからね』
とよく言われたものです。
アレキサンドライトの価格相場
次にアレキサンドライトの市場価格、価格相場はどのくらいなのでしょうか。
先ほども触れた通り、アレキサンドライトには様々なクォリティがあり、値段の幅も広くなっています。
カラーチェンジが曖昧だったり地味な色合いだったりするものは、小さなルースであれば数千円で手に入るものもあります。
一般的には数万円からよく見かけ、十万円以上するものも多い印象です。
ハッキリとしたカラーチェンジが見られるトップクォリティのアレキサンドライトで1ct以上のものとなると一千万円以上の価値が認められるものもあります。
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アレキサンドライトを選ぶ時のポイント
アレキサンドライトを選ぶ時、どのような点に注目するべきでしょうか。
ルース(裸石)とジュエリーでも、選ぶ時のポイントが少し異なると思います。
素敵なアレキサンドライトを手に入れるために、良かったら参考にしてくださいね。
資産としてもつ場合
資産としてアレキサンドライトのルースを持つ場合は、先ほどお伝えしたような価値基準を考慮して価値が高いとされる条件により多く当てはまるものを選びましょう。
高額になるケースも多いと思いますので、信頼のおける鑑別機関の鑑別書付のものか別途料金を払っても取っておいた方が良いと思います。
将来的に売りたいと思った時、鑑別書があった方が価値の証明がしやすいためです。
ジュエリーになっているものを選ぶ場合は、地金の種類、純度、脇石の宝石、ブランド名なども価値に影響を与えます。総合的に判断すると良いでしょう。
ルース
画像:アレキサンドライトキャッツアイ
アレキサンドライトのルースの用途としては、主に
●コレクションとして見て楽しむため
●ジュエリーとして身に着けて楽しむため
の2つがあるのではないかと思います。
それぞれの場合について選ぶポイントを見てみましょう。
ルースのまま楽しみたい場合
コレクションとしてルースを楽しむ場合は、予算に応じて気に入った色や形のものを選ぶのが良いと思います。
カラーチェンジを最大限に楽しむためにペンライトも揃えると良いですね。
私はスリランカで安価なアレキサンドライトのルースも沢山見てきましたよ。
カラーチェンジが一部分にだけに起こるもの、変化が少ないもの、色むらのあるもの、インクルージョンが目立つものなど、ユニークなルースがお手頃価格で販売されていました。
個性的なアレキサンドライトのルースをコレクションするのも楽しいと思いますよ。
特にコレクションとして楽しむ場合は、インクルージョンやクラックなども個性として捉えることで楽しみ方が増えるのではないでしょうか。
入り方によっては、ペンライトなどの光を当てた時、神秘的な表情を見せたり、虹色に輝いて見えたりするものもあり、面白いですよ。
但し、後々ジュエリーにして身につけたいと思う場合は、この後詳しく説明しますが、少し事情が変わるため注意が必要です。
ジュエリー加工して楽しみたい場合
では、アレキサンドライトのルースを購入して、自分でジュエリー加工する場合の選ぶポイントとは何なのでしょうか。
スリランカの宝石店で
『同じカラットのルースであれば、顔が小さくて高さのあるルースよりは、顔が大きくて低いルースの方が、ジュエリーにセットした時に華やかさが増すからオススメだよ。』
と教わりました。
そのお店ではルースを真上から見た時に見える部分(テーブルからガードルまで)を顔と言い表していたのですが、やはりルースの顔が大きい方が、ジュエリーにセットした時に華やかですよね。
また、アレキサンドライトの場合、最大の特徴であるカラーチェンジの度合いも大切です。予算が許す範囲内で、美しいカラーチェンジが見られるルースを探した方が身につけた時の楽しみも増えると思います。
加えて、インクルージョン、欠け、クラックの有無や位置などもよく確かめておきましょう。
後からジュエリーに加工する場合、キズ欠けやクラックの入り方などによっては、加工時に割れるリスクが高いものもあります。
気になるクラックなどがある場合は、ジュエリー加工に問題ないレベルかどうか、事前にお店の人に相談してみることをオススメします。
逆に場所によっては爪で隠れて見えなくなるものもありますので、インクルージョンなどがあることで評価が下がり、低価格で売られているものを探し、低予算でオリジナルジュエリーを作れる可能性もあると思います。
ジュエリー
アレキサンドライトがセットされたジュエリーを選ぶ時、どのような点に注意するべきでしょうか。
まずはデザインが好みやご自身のスタイルに合っているかどうか。そして、アレキサンドライトがどの程度カラーチェンジするのかも確かめましょう。
ここでも、スリランカの宝石店で聞いた話を参考までにご紹介しますね。
『アレキサンドライトはゴールドよりもプラチナがオススメ。理由は2つ。
1.アレキサンドライトの色味と輝きはゴールドよりもシルバーの方が色合い的に相性が良い。プラチナにセットした方がより美しく見えやすいため。
2.アレキサンドライトはとても貴重な石なので、より硬いプラチナの方がしっかり留めることができ、石が落ちる心配が少ないので安心なため。』
とのことでした。
また、アレキサンドライトのようにカラーチェンジする宝石は他にもあって、安い類似石をアレキサンドライトと偽って高値で販売するケースもあるから注意して。というアドバイスもありました。
特にジュエリーにセットしたものは素人では判別が難しかったりするので、信頼できるお店で買い、しかるべき機関の鑑別書を取り寄せることもポイントだそうですよ。
原石
アレキサンドライトの原石を選ぶポイントは何でしょうか。
まずはペンライトなどを使って、カラーチェンジするかどうかを確かめましょう。
原石の場合、鑑別書が取れなかったり、価値の証明が難しいものも多いです。
資産価値としての評価を気にするより、手のひらに載せて心地の良いもの、好きだな~と感じるものを選ぶのも一つのポイントだと思いますよ。
ジュエリーの種類によって、楽しみ方や選び方のポイントに違いはある?
アレキサンドライトは硬度も靭性も高く、ジュエリーにセットして日常使いを楽しむことが可能な宝石です。
外出先などで、アレキサンドライトのカラーチェンジを眺めるのは、至福のひと時と言えるでしょう。
どのジュエリーにも共通して言えることは、石がしっかりと留められていて、ガタツキがないかどうかをきちんと確認してから購入すること。
オンラインショップの場合は難しいかもしれませんが、実店舗で購入する場合は、忘れずにチェックしましょう。
ジュエリーには様々な種類がありますが、ここではアレキサンドライトのリング、ネックレス、ピアス・イヤリングについて、その楽しみ方と選び方についてお話しましょう。
アレキサンドライトリングの楽しみ方と選び方
アレキサンドライトはリング(指輪)で楽しみたいという方が多いのではないでしょうか。
リングにセットしたアレキサンドライトは、様々な光の下で移り変わる色の変化を間近で楽しむことができるでしょう。
いつでも指をかざして美しさを堪能できるのが、リングで持つことの最大の魅力ですよね。
カラーチェンジが分かりやすいもの程、より楽しみが広がることでしょう。
そして、爪留めでしっかりと留められている方が安心だと、スリランカの宝石店で教わりましたよ。
『アレキサンドライトのような良い宝石は爪留めが綺麗だし安心。覆輪留めなどは石が外れる恐れもあるのでオススメできない。』
とのことでした。あくまでもスリランカの宝石店の方のお話ですので、スリランカと日本の技術の違いなどもあるかもしれませんが、参考までにお伝えしておきますね。
アレキサンドライトはダイヤモンドとの相性も良いので、ダイヤモンドがあしらわれたアレキサンドライトリングを探すのも良い、というアドバイスもありましたよ。
アレキサンドライトネックレスの楽しみ方と選び方
ネックレスの輝きは、着けている本人はあまり見ることができません。
しかしチェーンが長ければ、輝きやカラーチェンジするアレキサンドライトを自分で確かめることができるので、チェーンが長いネックレスを選ぶのも良いと思います。
胸元の宝石が光源によって色を変える様子は、周りの人々も驚かせることでしょう。
デザインやチェーンの長さ、地金の色などがご自身のイメージや肌色に合っているかどうかも重要です。
アレキサンドライトピアス・イヤリングの楽しみ方と選び方
アレキサンドライトのピアスやイヤリングは、着けているとかなりゴージャスな気分になれると思います。
髪をまとめ、ピアスやイヤリングが主役になるような演出をしても良いと思います。
自分ではアレキサンドライトの色の変化を見ることはできませんが、アレキサンドライトを身に着けていることで自信と華やいだ気分を味わうことができることでしょう。
ただし、カラットが大きくカラーチェンジのハッキリとしたアレキサンドライトは価格も高くなるため、耳元で隠れやすく、かつ落とす可能性も高いピアスやイヤリングとして楽しむのは少し勿体ない気もします。
カラーチェンジや大きさに拘るより、デザインや予算に合ったものを選ぶようにしても良いかもしれませんね。
最後に
カラーチェンジで有名な宝石アレキサンドライトの価値基準や市場価格、選ぶポイントなどについてお話しました。
アレキサンドライトの価値は、何と言ってもドラマティックなカラーチェンジにありますが、カラーチェンジの度合いや色合いは実に様々です。
私が見たアレキサンドライトは地色がイエローグリーン~ダークブルー、カラーチェンジ後は褐色~パープル、レッドまで色々ありましたよ。
品質によって価格の幅が大きいので、予算の範囲内で少しでも良い品質のアレキサンドライトを選ぶようにしてくださいね。
素敵なアレキサンドライトとの出会いがありますように!
カラッツ編集部 監修