森林のような深みのあるグリーンが印象的なモルダバイト。
落ち着いた色合いが魅力の宝石ですが、隕石と関係が深く、生成の仕方も独特だったりと色んな意味で神秘さを秘めた宝石ではないかと思います。
今回はそんなモルダバイトの特徴とともに、偽物の見分け方などをお話ししたいと思います!
モルダバイトとは?
隕石の衝突によって作られたといわれているモルダバイト。
テクタイトという天然ガラスの一種です。
テクタイトは地表にばらまかれた状態で発見されることから、長い間どのように出来たのかわからないとされてきました。
そのためかつては「宇宙のどこかから落ちてきたガラス質の隕石」とか、「地球の内部から噴出してできた」など色んな説が持ち上がり、学術的な論争を巻き起こしてきた石でした。
現在では「巨大隕石が落下した際に地表にあった物質が溶かされ、飛び散りながら冷え固まったもの」だと解明されましたが、地中深くから掘り出される他の鉱物とはまた違う、神秘的な魅力をもった石ではないかと思います。
モルダバイトの特徴
テクタイトは発見地により名前が異なり、多くは真っ黒な見た目をしています。
しかしモルダバイトは透明度のあるグリーンカラーをもちとても異色。色だけでなく構造や成分も他の物とは少し異なります。
モース硬度は5~6。
ガラス質なので衝撃に弱く、欠けやすいのも特徴の一つ。取り扱いには注意が必要です。
名前の意味
旧チェコスロバキアのモルダウ川付近にて最初に発見されたことから「モルダバイト」と名付けられたといいます。
和名ではモルダゥ石と呼ばれます。
色
透明度のあるグリーン、黒っぽい深緑、褐色 など。
ボトルグリーンといわれるくすんだ色合いのものが多いとされますが、ごく稀に鮮やかなグリーンのものが発見されることもあります。
隕石との関係
前述したとおり、モルダバイトは地表に隕石が落下した際に、地表の物質が熔融して出来た天然ガラスです。
隕石そのものではないものの隕石と関係の深い、いわば隕石によって作られた石といえます。
モルダバイトの原石の形
モルダバイトの原石は結晶というよりは、でこぼことした不規則な形をしています。
表面はボコボコとした感じで、気泡の跡の丸い凹みが様々な大きさで存在します。
この“でこぼことした丸い凹み”のことを「ディンプル」といい、テクタイトやモルダバイトの特徴の一つです。
モルダバイトの偽物はあるの?
モルダバイトは模造しやすい石としても知られていて、その特徴である「ディンプル」まで再現された模造品も出回っているとか。
また小さな破片状のものが多くガラス質であることから、小さなモルダバイトを“一度溶かして固める”といった加工が施されることもあるそうです。
成分はモルダバイトでも“天然”として売られるのはちょっと違う気がしますよね。
天然のモルダバイトを見分けるポイントは「不規則な模様のディンプル」と「不規則な形状の気泡」があるかどうかを見るといわれています。
多くの人工石や模造石の場合は、ディンプルや気泡が再現されていても規則的な場合が多いそうです。
ただ精巧に作られたものもあるようですので、鑑別書が付いているか鑑別書を付けるオプションがあるようなお店で購入することをおすすめします。
最後に
隕石によって生まれたモルダバイト。
もし地球に隕石が落ちていなければ存在していないかも…と思うとロマンを感じさせますね♪
誕生が解明されるまでは古代人が作った遺物だという説もあったそうなので、想像を掻き立てられるような独特な魅力をもった宝石ということなのかもしれませんね。
落ち着いたグリーンカラーのモルダバイトの魅力に、是非触れてみてください。
カラッツ編集部 監修