白や灰色で一見地味に見えるものの、磨くと光沢が出て美しさを増す宝石、ハウライト。
かつてはよく彫刻などに使われていた宝石ですが、今では非常に希少な宝石となってしまいました。
今回はそんなハウライトにまつわるイロイロをご紹介します!
ハウライトとは
ホワイトや淡いグレーの地色に、クモの巣のようにグレーやブラックの模様が入った宝石です。
表面を磨くとつやつやとした光沢を放ちます。
硬度が低く加工がしやすいことからかつては彫刻に多く用いられていましたが、現在では殆ど市場に流通することがないといわれています。
鉱物としての基本情報
英名 | howlite |
和名 | ハウ石(はうせき) |
成分 | Ca2B5SiO9(OH)5(水酸化ホウケイ酸カルシウム) |
結晶系 | 単斜晶系 |
モース硬度 | 3.5 |
比重 | 2.45 – 2.58 |
屈折率 | 1.58 – 1.61 |
色
ホワイト、淡いグレーなど
産地
アメリカ、カナダ、メキシコなど
名前の意味
カナダの科学者であるHenley How(ヘンリーハウ)が発見したことから由来してハウライトと名付けられたといわれています。
和名はハウ石といいます。
原石の形
ハウライトは、ノジュール状(団塊状)の集合体の形で産出されることが通常ですが、板状結晶やカリフラワーのような形も稀に見られるといわれています。
その特徴であるネット模様は、固化する際に起きる収縮によりヒビが生じ、その部分に別の鉱物が沈殿することで形成されると考えられています。
ほとんどの場合は、カーンアイト(カーン石)、ウレクサイト(曹灰硼鉱)などの他のホウ酸塩鉱物と共に産出されるという特徴もあります。
ハウライトとマグネサイトの関係
冒頭からハウライトは現在では稀少な宝石とお伝えしてきましたが、今でも市場でハウライトを見かけることはあると思います。
それは何故かというと、実は現在流通しているハウライトの殆どはマグネサイトという別の鉱物だからです。
ハウライトとマグネサイトは鉱物としては異なりますが、瓜二つといっても良いほど見た目がとてもよく似ています。
実際上の画像はマグネサイトなのですが、確かに見ただけでは全く見分けがつかないほど似ていますよね。
マグネサイトと比べてハウライトは人気も知名度もありましたが、今ではほぼ手に入らないほど希少となってしまいました。
そのためいつしかハウライトに似たマグネサイトがハウライトとして販売されるようになり、気が付けばハウライトという名がマグネサイトの流通名のような扱いとなり、今ではそれが一般化しつつあるというわけです。
なので、現在本来のハウライトを市場で見かけることは殆どないといわれています。
もしも鑑別書付きで本来のハウライトを見つけたなら、それはとても貴重なことかもしれません。
ハウライト・ターコイズとは
ハウライト(マグネサイト)を青く染色したものも現在多く流通しています。
それらはハウライトターコイズ、またはハウライトトルコと呼ばれています。
真っ白なハウライトにはグレーのクモの巣のような模様があると前述しましたが、この模様がターコイズのそれととてもよく似ています。
そのため青く染色加工するだけで、ターコイズによく似た姿に変身するという訳です。
染色加工されたハウライトターコイズは濡れると色落ちしてしまうこともあるそうなので、水分には注意しましょう。
また中にはハウライトターコイズがターコイズ(トルコ石)に紛れて販売されていることもあると聞きます。
ハウライトはモース硬度3とターコイズより硬度が低く表面に傷がつきやすいため、取り扱いにより注意が必要です。(ターコイズはモース硬度5~6)
ターコイズを購入する際はきちんと確認するなど注意した方が良いかもしれません。
誤って買わないためにも、信頼のおけるお店を探すこともとても大切だと思いますよ。
最後に
ホワイトやグレーの落ち着いた希少石、ハウライト。
実は出回っているハウライトの殆どはマグネサイトという複雑な事情のある宝石ですが、模様が似ていることからトルコ石の仲間のように「白トルコ石」や「白水牛トルコ石」という名前で販売されることもあると聞きます。
本来のハウライトは現在では殆ど流通していないといわれていますので、チャンスは少ないかもしれませんが、いつか奇跡的に出会えたら良いのにな、と思います。
カラッツ編集部 監修