ダイヤモンドと聞いて、多くの方が最初に思い浮かべるのは、カラーレスのものではないでしょうか。
しかし、実はダイヤモンドにはイエロー、ピンク、ブラックなど、多くの色合いが存在します。
色の起因はそれぞれ異なり、知れば知るほど奥が深いダイヤモンドの世界。
今回はファンシーカラーとも呼ばれる12色のダイヤモンドについて、色がつく理由、グレーディング、希少性や価値の違い、人工処理の有無、種類と特徴、お手入れ方法などさまざまな観点からお伝えしていきます!
目次
ファンシーカラーダイヤモンドとは?
ダイヤモンドにはさまざまな色がある
冒頭でもお伝えしたとおり、カラーレスが有名なダイヤモンドですが、実はカラーバリエーションが豊富で、多くの色合いが存在します。
むしろ、全くのカラーレスのダイヤモンドというものは非常に少なく、多くはイエロー味やブラウン味を帯びています。
ダイヤモンドのカラーグレーディングは、主にDからZまでで評価され、Dが最もカラーレスに近く、Zに近づく程イエロー味やブラウン味が強いという判断になります。
色味がZ以上の濃さのものは「ファンシーカラー」に分類され、評価の基準も変わります。
主な色合いはレッド、ピンク、ブルー、グリーン、オレンジ、パープル、バイオレット、イエロー、ブラウン、グレー、ブラック、ホワイトの12色です。
ダイヤモンドのカラーグレーディングについて
画像:左-Dカラー 中央-Lカラー 右-アンダーSカラー
ダイヤモンドの世界的な評価基準の基礎を作ったのは、アメリカのGIA(Gemological Institute of America:米国宝石学会)です。
一般的に4Cと呼ばれる、Carat(カラット)、Color(カラー)、Clarity(クラリティ)、Cut(カット)の4軸で評価されます。
カラーグレーディングは、先程もお伝えしたように、主にDからZでグレード分けされ、最もカラーレスに近いのがD、イエロー味やブラウン味が感じられるほどZに近づきます。
カラーグレーディングの判定は、光源や環境などが常に一定になるような条件下でマスターストーンと比べることにより行います。色の違いは微妙な場合が多いため、原則複数人以上の鑑定士によって決定されます。
各グレードの判断基準は下記のとおりです。
スケール | 表面上の見え方 | |
D – F | Colorless | ほとんど無色に見える |
G – J | Near Colorless | 無色に近く、熟練鑑定士にも発見の困難なイエロー味がある |
K – M | Faint Yellow | ややイエロー味を感じる |
N – R | Very Light Yellow | 普通に見てイエロー味がある |
S – Z | Light Yellow | 強いイエロー味がある。Zに近づく程濃くなる |
ファンシーカラーダイヤモンドのカラーグラーディングと価値の違い
カラーレスとは異なる評価基準
ファンシーカラーダイヤモンドのカラーグレーディングはD~Zでは判断されません。
GIA(Gemological Institute of America:米国宝石学会)では、ファンシーカラーダイヤモンドの鑑定において、色相、トーン、彩度の3つの点を基本に評価しています。
色相とは、ピンク、イエローといった石全体の色、トーンとは色の明暗、彩度とは色の強さを示しています。
GIAのグレーディングシステムでは、色を以下の9つのグレードに分けて評価します。
ファンシー・ビビッド(Fancy Vivid)、ファンシー・インテンス(Fancy Intense)、ファンシー・ディープ(Fancy Deep)、ファンシー・ダーク(Fancy Dark)、ファンシー( Fancy)、ファンシー・ライト(Fancy Light)、ライト(Light)ベリーライト(Very Light)、フェイント(Faint)
ファンシー・ビビッドが最も濃く、フェイントが最も薄いことを示します。
グレーディング一覧と価値の違い
実際どのように色分けされているのか、GIAのカラーチャートで見てみましょう。
参考:GIA PINK DIAMOND COLOR CHART |
左上から、斜め下に向かって濃くなっていき、一番右下が一番濃くなります。
ピンクダイヤモンドの場合は、段々赤味を帯びていくようなイメージですね。
ファンシーカラーダイヤモンドは、一般的に色が濃く鮮やかな程価値が上がります。
上の表で言うと、一番右下の角にあるものが最も高い価値が付けれられる色合いということになります。
色によっても価値が変わる?
後ほど詳しくお伝えしますが、ファンシーカラーダイヤモンドは色の発色要因がそれぞれ異なります。
色合いによっては、滅多に見つからない希少性が高いものあり、色や濃さによっては世界の有名オークションで驚くような高値で取引されています。
希少価値が高い色合いとは
それではどんな色合いが希少性が高く、価値が上がるかと言うと、レッド、ブルー、ピンク、グリーンなどです。
中でもレッドやブルーは非常に希少性が高く、天然で見つかること自体がとても珍しいです。
サイズが大きく色が濃いものなどは博物館級の珍しさとも言え、オークションで億単位で取引され、世界的なニュースに上がることも多いです。
逆に、イエローやブウン、ブラックなどはファンシーカラーの中では比較的産出量が多いため、サイズなどによっては手頃な価格のものを見つけることも可能です。
カラーダイヤモンドの色の種類、発色要因、産地、世界最大のもの
ファンシーカラーダイヤモンドは色によってそれぞれ発色要因や産地が異なります。
代表的な12種類について、発色要因、主な産地、最大のものなどをご紹介しましょう。
1.レッドダイヤモンド
画像:レッドダイヤモンド(トリートメント)
色の要因は定かではないようですが、結晶構造に歪みが生じた結果、レッドを呈するのではと考えられています。
レッドダイヤモンドはピンクダイヤモンドに異変が生じて色が濃くなったもので、非常にレアな存在です。
世界に数十個程度しかないのではと噂される程、ダイヤモンドの中で最も希少価値の高い色合いです。
主な産地として知られるのは、ピンクダイヤモンドの主要産地としても有名なオーストラリアのアーガイル鉱山です。
ただ、産出量は非常に少なく1987年から2017年までの30年間で合計わずか20ct未満といわれています。その上、アーガイル鉱山は2020年に閉山しました。
この他、アフリカ、ブラジル、インドなどでも産出されたことがあります。
世界最大のレッドダイヤモンドとして有名なのは、5.11ctにカットされた「ムサイエフ・レッド」です。
2.ピンクダイヤモンド
画像:ピンクダイヤモンド(FANCY PURPLISH PINK)
ピンクもレッドと同様に色の要因は解明されていませんが、結晶構造に歪みが生じたものという説が強いようです。
ブラウン味やオレンジ味、パープル味を帯びたものが多い印象です。
主な産地は、オーストラリアのアーガイル鉱山で、1979年に発見されて以来、2020年に閉山するまでの間に世界市場の9割以上が産出されてきたといわれています。
アーガイル産の原石は一般的にブルー味が強く、紫がかったピンクをしているのが特徴といわれていますが、多くは茶色がかっており、1.5ctを超えるものは滅多に見つからないそうです。
また、カラーレスダイヤモンドの1%以下の割合でしか見つからないといわれており、希少価値高く扱われます。
その他、ブラジル、インド、南アフリカ、ロシアなどでも産出されています。
世界最大のピンクダイヤモンドとして知られるのは、オーバル・ミックスカットが施された59.60ctの「ピンクスター」です。
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3.ブルーダイヤモンド
画像:アイスブルーダイヤモンド(トリートメント)
原子構造に微量のホウ素(ボロン)を含有するとダイヤモンドはブルーを発色すると考えられています。
ブルーダイヤモンドの多くはグレーがかっているそうですが、グレー味の少ない純粋なブルーに近い程高く評価されます。
水素の影響でブルーを呈する場合などもあるそうです。
ブルーダイヤモンドは、これまでにインド、オーストラリア(アーガイル鉱山)、南アフリカ(カリナン鉱山=旧プレミア鉱山)などで産出されていますが、いずれも非常に稀です。
しかしカリナン鉱山では過去100年間で、20ct以上もある原石が幾つか発見されたことがあるそうです。
世界で最も大きく、かつ、有名なブルーダイヤモンドは、ホープダイヤモンドです。
オーバルとプリンセスのミックスカットで、45.52ctの大きさを誇ります。
インドで発見された後、ヨーロッパの王侯貴族や宝石商などの多くの手を渡り、所有者には不幸が訪れるという多くの伝説を残しました。
現在は、最後の所有者であるハリー・ウィンストンから寄贈されたアメリカのスミソニアン博物館が所蔵しています。
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4.グリーンダイヤモンド
画像:ミントグリーンダイヤモンド(トリートメント)
グリーンダイヤモンドは、生成途中に付近にある放射性岩石から放射線を浴びることによりグリーンを呈すると考えられています。
また、生成過程で原子構造に変化が生じた希少なⅡa型もグリーンを発色します。
グリーンダイヤモンドは一般的に彩度が低く、ソフトで明るいトーンをしており、表面はイエローがかった色相を見せ、グレー味やブラウン味を帯びているものが多いといわれています。
未処理のグリーンダイヤモンドは滅多に産出されず、非常に稀です。
過去にインドや南米で産出されたほか、ボルネオ、中央アフリカ共和国、ロシアなどで発見されています。
世界最大のグリーンダイヤモンドは、41ctの「ドレスデン・グリーン」です。
原石は希少なⅡa型で、ファンシーグリーンと評価されました。
1741年にザクセン選帝侯アウグストス2世がオランダ商人から購入、後にダイヤモンドを敷き詰めた豪華なブローチに配されます。
途中戦火を逃れるために離れた以外は、ドイツのザクセン州ドレスデンで保管され、現在もドレスデン美術館に展示されています。
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5.オレンジダイヤモンド
画像:オレンジダイヤモンド(FANCY DEEP YELLOW ORANGE)
オレンジダイヤモンドの色の起因は、窒素を含むことによると考えられています。
強く鮮やかなオレンジ色を見せるファンシービビッドやビビッドオレンジと評価される石は、カボチャを思わせることから「パンプキン・ダイヤモンド」と呼ばれることもあります。
オレンジダイヤモンドは南アフリカとオーストラリアのアーガイル鉱山(現在は閉山)で主に産出されるといわれますが、産出量が少なく非常に稀です。
世界最大といわれるオレンジダイヤモンドは、ペアシェイプにカットした14.82ctの「ザ・オレンジ」です。
GIAの鑑定ではファンシービビッドオレンジでVS1、Ⅰa型と評価されました。
2013年にクリスティーズジュネーブ支店で3554万ドル(約39億円)で落札、当時のオレンジダイヤモンドの最高落札額を記録しました。
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6.パープルダイヤモンド
画像:パープルダイヤモンド(FANCY PINK PURPLE)
パープルの色の要因については明確ではありませんが、こちらもレッドと同様に結晶構造に歪みが生じた結果であるという説が強いようです。
パープルダイヤモンドも希少で、殆どが他の色味を帯びているため、純粋なパープルを呈するものは大変レアです。
パープルダイヤモンドは、オーストラリアのアーガイル鉱山で産したほか、カナダやロシアなどでも発見されています。
世界最大のパープルダイヤモンドは「ロイヤル・パープル・ハート・ダイヤモンド」と呼ばれる、7.34ctのハートシェイプが施されたものです。
ロシア産と考えられており、色はファンシー・ビビッド・パープル、クラリティがI1と評価されています。現在の所有者は明らかになっていません。
7.バイオレットダイヤモンド
バイオレットはパープルよりも青みが強いもので、純粋なバイオレットを呈する結晶は、パープル以上に希少な存在です。
バイオレットの色の起因は、結晶内の原子格子に微量の水素を含むためと考えられており、多くはブルーとパープルを組み合わせたような色合いに見えるといいます。
バイオレットダイヤモンドの多くは、オーストラリアのアーガイル鉱山で産出されたといわれています。
産出量は極めて少なく、かつ、結晶の多くは0.1ct~0.3ct程度の小粒で見つかり、1ct以上のものは滅多に見つからないそうです。
世界最大のバイオレットダイヤモンドは、2015年にアーガイル鉱山で発見された「アーガイル・バイオレット」です。
原石は9.17ctあり、後に2.83ctのオーバルカットが施され、周囲にピンクダイヤモンドを配したリングにセッティングされました。
GIAの鑑定では、色がファンシー・ディープ・グレイッシュ・ブルーイッシュ・バイオレットと評価されました。
8.イエローダイヤモンド
画像:イエローダイヤモンド(LIGHT YELLOW)
ダイヤモンドの炭素原子に僅かな窒素原子が加わることで、イエローを呈するといわれています。
結晶に含む窒素の量によって、濃さが変化します。
イエローダイヤモンドの主要産地は、南アフリカです。
他にもインド、ブラジル、オーストラリアなどで見つかっています。
イエロー味を帯びるダイヤモンドは多くありますが、濃いイエローを呈する美しいものだけがファンシーカラーダイヤモンドに分類されます。
イエローダイヤモンドの中で最も価値が高いとされるのが「カナリー・イエロー」と評価される色です。
カナリー・イエローで有名なのは、ティファニー社が所有する128.54ctの「ティファニー・イエロー・ダイヤモンド」です。
1877年に南アフリカで発見され、原石は287.42ctもあったといいます。
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9.ブラウンダイヤモンド
画像:ブラウンダイヤモンド(FANCY LIGHT BROWN)
ブラウンの色の起因はイエローと同様に微量の窒素を含むことによると考えられています。
さらに外部の光が結晶格子の構造的欠陥を介して吸収することで、独特のブラウンに見えるといいます。
色の濃さによって、シャンパンカラーやコニャックカラーなどと呼ばれて販売されています。
ブラウンダイヤモンドは世界中で産出されていますが、特にオーストラリアのアーガイル鉱山と南アフリカが主要産地として知られています。
ブラウンダイヤモンドは比較的産出量が多く、他のファンシーカラーダイヤモンドに比べると手頃な価格で手に入るものもあります。
世界最大のブラウンダイヤモンドは「ゴールデン・ジュビリー」です。
ファイアー・ローズ・クッションカットが施された545.67ct(109.13g)という巨大サイズで、ファンシー・イエロー・ブラウンと評価されました。
カットされたダイヤモンドでは世界最大を記録しています。
1985年に南アフリカのプレミア鉱山で発見された後、1997年にタイ国王ラーマ9世の治世50周年記念を祝し、タイ皇室に贈られました。
その後50周年を意味する「ゴールデンジュビリー」と名付けられ、現在も皇室が所有しています。
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10.グレーダイヤモンド
画像:グレーダイヤモンド(FANCY GRAY)
グレーの色の起因は、殆どが水素を多く含むことによるといいます。
稀に、ブルーダイヤモンドと同様にホウ素を含むことが要因となる場合もあるそうです。
グレーダイヤモンド自体稀な存在ですが、中でもブルーやバイオレットの色相を示すものは大変希少で、より高い価値が付けられます。
グレーダイヤモンドは、主にオーストラリア、南アフリカ、ロシア、インド、ブラジルなどで産出されます。
オーストラリアのアーガイル鉱山では、「シルバーミストグレーダイヤモンド」と呼ばれる、淡いグレーを呈するものを産出していました。
有名なのは、10.67ctのシルバーミストグレーダイヤモンドのルースです。
2011年に開催された、クリスティーズのオークションで、119万ドル(約1億3千万円)で落札されました。
グレーダイヤモンドでは過去最高落札額を記録しています。
11.ブラックダイヤモンド
画像:ブラックダイヤモンド
ダイヤモンドは通常、インクルージョンを含んでおり、炭素による黒点などが見られることがあります。
ブラックダイヤモンドは、こういった小さな黒点が多く集まった結果により、黒くて強いメタリックな輝きを示すものです。
他のファンシーカラーのように微量原子や結晶構造の歪みを起因としないため、性質としてはカラーレスのダイヤモンドに近くなります。
原石は、ブラジルや中央アフリカ共和国などで産出されています。
最も有名なブラックダイヤモンドは、クッションカットが施された67.5ctの「ブラック・オルロフ」です。
原石が195ctもあり、インドの神像に配されたものが盗難され、その後の所有者が不幸に見舞われたことから「呪いの黒いダイヤモンド」と呼ばれました。
ブラック・オルロフという名前は、所有者の1人だったロシアの王妃ナディア・オルロフ(Nadia Vygin-Orlov)を由来とします。
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12.ホワイトダイヤモンド
画像:ホワイトダイヤモンド(FANCY WHITE)
ホワイトダイヤモンドはカラーレスダイヤモンドとは異なり、ミルキーな乳白色をしています。
このような色に見えるのは、内包する超微量のインクルージョンが、結晶内を通過する光を散乱させることに起因します。
フェイスアップにするとミルキーな輝きが見られ、遊色の少ないオパールを感じさせることから、これらを「opalescent」と呼ぶこともあるそうです。
産地はあまり知られていませんが、GIAがインドで産したホワイトダイヤモンドを鑑定したことを報告したレポートがあります。
現在のところ、有名なホワイトダイヤモンドは発見されていないようです。
ファンシーカラーダイヤモンドに施される人工処理
ファンシーカラーダイヤモンドの中には、レッドやブルーなどのように希少価値が高く、未処理のものが流通することは少ない色もあります。
そのため、現在流通しているファンシーカラーダイヤモンドの中には、照射処理などを施したものも多く、これらをトリートメントダイヤモンドと呼びます。
カラーレス、ライトイエロー、ライトブラウンのダイヤモンドに照射処理を施すとブルーやブルーグリーンに変化するといいます。
放射線処理を施しグリーンに変えたものに更に加熱処理を施すと、イエロー、オレンジ、ブラウンに変化するそうです。
イエローに変色したものの中には、稀にピンクやレッドに変わるものもあるそうです。
トリートメントダイヤモンドは、未処理のものに比べると、比較的入手しやすい価格ですので、手軽にファンシーカラーを楽しむことが可能です。
ただし、販売側はトリートメント処理済みであることを明確に伝えなければならないので、購入される場合にはその点を必ず確認しましょう。
ファンシーカラーダイヤモンドの価値基準と市場価格
ファンシーカラーダイヤモンドを選ぶ場合には、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?
賢い買物をするためにも、事前に評価の基準や価格相場などを把握しておくことも大切です。
ファンシーカラーダイヤモンドの価値基準や市場価格などをご紹介しましょう。
価値基準
カラー
ファンシーカラーダイヤモンドの価値において最重要視されるのはカラーグレードです。
カラーグレーディングの際には、石全体の色である「色相」、明暗である「トーン」、色の強さである「彩度」の3点を評価します。
どの色も混ざりけのない純粋な色ほど高評価とされ、先にご紹介したファンシー・ビビッドからフェイントまでの9つのグレードの内、ファンシー・ビビッドと評価されたものが最も価値高く扱われます。
最も価値高く扱われる色はレッドで、続いてピンク、ブルー、オレンジが高く扱われています。
イエローやブラウンは比較的産出量が多いため、品質によっては安価で扱われるものもあります。
クラリティ
ファンシーカラーダイヤモンドは、多少のインクルージョンがあっても、色の美しさを重視します。
ただし、インクルージョンが多すぎたり内部にクラックが見られるなど、耐久性に影響するほどの場合は価値が低くなります。
カット
ファンシーカラーダイヤモンドは、カットが優れているほど美しい色を表現します。
特に外部からの光を十分に吸収し、最大限の発色を放つようにカットされていることが重要です。
カットされたルースは、パビリオンが深いほど大きな光を放ちます。
原石の形状によってカットのスタイルは様々ですが、イエローダイヤモンドは色をより美しく見せるためにラディアントカットを施すことが多くあるそうです。
カラット
色によっては産出量が少なく、殆どが小粒です。
カラットが大きいほど価値も高くなります。
市場価格
希少価値の高い色については、未処理のものは淡色で小粒であっても高い価値が付けられています。
例えば、ブルーは希少なうえに人気が高いため、ほんのり色がのっている程度でも数十万円を超えるものが殆どです。
ファンシー・ビビッドやファンシー・インテンスと評価されるものとなると、0.1ct以下の小粒でも数百万以上の価格が付くこともあります。
さらにカラットが大きくなると博物館級の希少価値が付けられるものもあり、それらは世界の有名オークションで数十億円を超える価格で落札されています。
イエローやブラウンは比較的産出量が多いため、他の色よりは多少入手しやすい価格となります。
また、照射処理を施されたトリートメントダイヤモンドも未処理のものに比べれば、入手しやすい価格が付けられ、大きさ、品質、色に依っては数万円程度から販売されているのを見かけます。
但し、アイスブルー、ピンク、グリーンなどの人気がある色合いのものは価格が上昇しており、数十万円以上するものもあるそうです。
どこで買える?
色によっては市場では滅多に見かけないものがあるなど、流通量は様々です。
産出量の多いイエローやブラウンは取り扱っているお店も多いため、比較的見つけやすいです。
ダイヤモンド専門店やファンシーカラーダイヤモンドを多く扱っているお店を中心に探してみると、珍しいものも見つかりやすいかもしれません。
トリートメントダイヤモンドは、未処理に比べると流通量も多くなります。
ただし、入荷するタイミングなどもあるので、気に入ったお店があればマメにチェックされると良いと思います。
ファンシーカラーダイヤモンドを選ばれる場合には、処理の有無が明記されていることや、信頼のおける鑑別機関の鑑定書やソーティングが付いているかオプションで付けられるお店で購入されることをオススメします。
ファンシーカラーダイヤモンドのお手入れ方法
ダイヤモンドはモース硬度は10と硬いですが、特定方向に割れやすいという性質をもつため、強い衝撃を与えないように注意が必要です。
普段は柔らかい布で拭き取るだけで十分ですが、表面が曇ってきたら中性洗剤を薄めたぬるま湯に入れ、柔らかいブラシで洗います。
泡を洗い流したら柔らかい布で水分をきちんと拭き取りましょう。
汚れをアルコールティッシュなどで拭き取ることも可能ですが、ティッシュの繊維などが残らないように注意してくださいね。
保管する際、他の宝石とぶつかってしまうと、モース硬度の高いダイヤモンドが他の石を傷つけてしまう可能性があります。
個別の袋や仕切りのある箱などに入れておくと安心です。
色で選んでも価値で選んでもOK!自分なりの選び方で末永く楽しもう
硬質な輝きと鮮やかな発色のファンシーカラーダイヤモンドは、古来から特別な宝石として珍重されてきました。
海外セレブがピンクやイエローなどファンシーカラーダイヤモンドの婚約指輪を着けていることが話題になり注目を浴びて人気が集中することもあります。
産出量の多いイエローやブラウン、照射処理を施したトリートメントダイヤモンドであれば、比較的入手しやすいものもあります。
様々な色のダイヤモンドを気軽に楽しみたいという方はぜひチェックしてみて下さいね。
カラッツ編集部 監修
<この記事の主な参考書籍・参考サイト>
◆『価値がわかる宝石図鑑』
著者:諏訪恭一/発行:ナツメ社
◆『決定版 宝石』
著者:諏訪恭一/発行:世界文化社
◆『アヒマディ博士の宝石学』
著者:阿衣アヒマディ/発行:アーク出版 ほか
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◆https://www.gia.edu/