イエロー系のシトリンとパープル系のアメシスト(アメジスト)が一つの結晶内に存在する、ツートンカラーの宝石、アメトリン。
そのとても不思議な見た目は、自然が作り出したとは思えないほど印象的で、魅力溢れる宝石です。
今回はそんなアメトリンの基礎知識から価値基準やお手入れ方法まで、種々交えてお話ししたいと思います!
目次
アメトリンとは
アメジストとシトリンが一つの結晶内に存在し、バイカラーが美しいアメトリン。
イエローとパープルに色が分かれるのは、結晶構造内に含まれている鉄イオンの状態の違いといわれています。
元々アメシストが加熱されると色が変化しシトリンとなることから、アメトリンはその過程で止まったものではないかとも考えられていますが、完全には解明されていないようです。
では更に詳しくお話するため、まずは鉱物としての基本情報から見ていきましょう。
鉱物としての基本情報
英名 | Bicolor Quartz(バイカラークォーツ) Ametrine(アメトリン) |
和名 | 紫黄水晶(しおうすいしょう) |
鉱物名 | クォーツ |
分類 | 酸化鉱物 |
結晶系 | 六方晶系(三方晶系) |
化学組成 | SiO2 |
モース硬度 | 7.0 |
比重 | 2.66 |
屈折率 | 1.54 – 1.55 |
光沢 | ガラス光沢 |
特徴
パープルとイエローの二色が共存する不思議な見た目は、発見された当初は「天然の発色なのか?」、「人工的な色なのか?」と物議を醸したともいわれているようです。
実際80年代には合成水晶だという噂が原因でアメトリンの価格が暴落したこともあったのだとか。
現在は天然であるというのが一般的な認識です。
アメシストもシトリンもクォーツの変種であるため、鉱物名はクォーツとなります。
また、アメトリンは鑑別書上は宝石名:バイカラークォーツ、別名「アメトリン」と呼ばれますなどと記されることが多いようです。
また、アメトリンの特徴的なバイカラーが明確に引き出せることから、しばしば長方形のステップカットに研磨されます。
確かにステップカットだと正面が平らなため、二色の分かれ目なども明確に見え楽しみやすいですよね♪
産地
天然未処理のアメトリンの産地は、ボリビアのアナイ鉱山。
世界で唯一のアメトリンの産地といわれています。
しかしながらアメトリンは、産地特定ができない宝石です。
アメトリンに施される処理
宝石を美しく見せるために一般的に施されることの多い加熱処理。
アメトリンにもアメシストを加熱して一部をシトリンに変化させたものがあるようです。
ですが、アメトリンは加熱の有無を見分けることが難しいといわれており、また未処理のものも多いという見解から、鑑別書に処理の有無が記載されないことが多いそうです。
アメトリンの偽物
正直アメトリンの偽物というものにはめったに出会いません。
恐らく供給量が安定しているため、
偽物をつくるコストが見合わない
というのが一番の理由かと思われます。
ただし中には上の写真のように「あまりに鮮やかすぎるアメトリン」があり、たまに国内でも見ることがあります。
さすがにこれは本物じゃないだろうと、見た目で分かるかと思うのですが、この正体は実は「合成クォーツ」であることが多いです。
ただ鑑定士に確認したところ、2021年現在、国内ではこの偽物はあまり流通していないようなので、そこまで敏感に心配しすぎる必要は無さそうです。
アメトリンの価値基準と市場価格
アメトリンの価値基準:評価ポイントは3つ
購入する際に、より良いものを手に出来るよう評価ポイントをご紹介していきますね。
①色味がきちんと分かれているか
アメジスト(アメシスト)とシトリンが同時に表れていることが魅力のアメトリンですから、パープルとイエローの色味がきちんと分かれているもの程、評価が高くなります。
パッと見た時、混じり合って見えたり何となく二色あるかな?と悩むものよりも、明確に二色が存在していると分かるアメトリンを選びましょう。
②色の彩度が高いか
暗めの濁った色合いのものよりも、透明度が高く、明るく鮮やかな色合いのものは評価が高くなります。
なるべく鮮やかなイエローとパープルが明確に存在しているアメトリンが選べると良いですね!
③カットが美しいか
産出量が安定しているアメトリンのため、挑戦的なカットの石も存在します。
このように美しいカットが施されたアメトリンは、より高く評価されています。
市場価格
アメトリンのルースは五千円前後の手にしやすい価格のものから、カラットが大きくカットが美しい、クォリティの高いものだと数万円以上するものもあります。
著名なカット職人や有名デザイナーが手掛けたジュエリーなどは付加価値により高額に販売される場合もあります。
アメトリンはどこで買える?
アメトリンは流通量が安定していることから、比較的多くのお店で取り扱いがある宝石です。
ルースでもジュエリーでも探しやすいのではないでしょうか。
実店舗でもオンラインショップでもよく見かけますので、沢山のお店を見比べながら探すことができると思いますよ!
アメトリンのお手入れと保管方法
お手入れ方法
普段のお手入れは、使用後にセーム革などで優しく皮脂汚れをふき取る程度で大丈夫です。
蓄積した汚れや目立つ汚れが気になる時は、ぬるめの石鹸水で優しく水洗いすると良いでしょう。
アルコールも問題ありませんので、気になる汚れをアルコールティッシュで拭いてもキレイになります。
但し、ティッシュの繊維が残る場合がありますので、注意して下さいね。
通常超音波洗浄器も利用できますが、染色やフラクチャー充填処理が施されているものには使用しないで下さい。
また、アメトリンは急激な温度変化に弱いため、スチーム洗浄など熱に曝される状態にはしないようご注意下さい。
保管方法
アメジストは長時間直射日光などに晒すと退色する恐れがあるといわれ、シトリンも一部に退色する性質をもつものがあるといいます。
そのためアメトリンも、念のため直射日光の当たらない場所や箱に入れて保管する方が安心かと思います。
また、モース硬度が7であるアメトリンとそれより硬度が高い宝石を一緒に保管すると、衝撃などでぶつかり合った結果アメトリンが傷付いてしまう恐れがあります。
別々の箱にしまったり袋に入れたり、個別に分けて保管することをオススメします。
最後に
一つの結晶の中に二色が存在する、不思議な宝石アメトリン。
これを自然が作り上げたというのは地球の神秘を感じます!
どちらかというと市場に出回る流通量は多めで、多くのお店で取り扱われていますので、お好みのものを探しやすい宝石だと思います。
大粒のものも多く、硬度も十分あるため個性的なカットが楽しめるのも魅力の一つです。
ルースとしての魅力はもちろん、ジュエリーとして身に着けても華やかな印象になり素敵です♪
ご興味をもたれた方はぜひ色々探してみて下さいね☆
カラッツ編集部 監修