鮮やかなピンクからレッドが美しいルベライト。魅惑的な美しさがたまらない宝石です。
トルマリンの変種の一つで、ルベライトトルマリンと呼ばれることもありますね。
カラーバリエーション豊富なトルマリンの中で比較的流通量が少なく、希少価値も高い宝石です。
今回はそんなルベライトの基本情報から、産地、名前の意味、価値基準やお手入れ方法までイロイロご紹介していきたいと思います!
目次
ルベライトとは
冒頭でも触れましたが、ルベライトはトルマリンの一種で、濃いピンク~レッドのトルマリンを指します。
実はトルマリンは一つの宝石に対する呼び名ではなく、 グループ名のようなもので、宝石として扱われるものは主に5種類あるといいます。
その中で最も宝石品質のものが多いのがエルバイト種で、ルベライトもエルバイト種のものが多いといわれています。
また、トルマリンは色によって種類が分けられ、ルベライトのように異なる名前で呼ばれているものも多くあります。
例えば、ネオンブルーが美しいパライバトルマリンや濃いブルーのインディゴライトトルマリン
などは人気も価値も高く有名です。
また、紫がかったものは「シベライト」と呼ばれます。
ルベライトの鉱物としての基本情報から更に詳しく見ていきましょう。
鉱物としての基本情報
英名 | Rubellite(ルベライト)、 Red Tourmaline(レッドトルマリン) |
鉱物名 | トルマリン |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
結晶系 | 三方晶系 |
化学組成 | Na(Li,Al)3Al6(BO3)3Si6O18(OH)4 |
モース硬度 | 7.0 – 7.5 |
比重 | 3.06 |
屈折率 | 1.62 – 1.64 |
光沢 | ガラス光沢 |
産地
ルベライトの世界最大の産地はブラジルのミナス・ジェライス州といわれています。
他にもマダガスカル、ナミビア、ロシア、アメリカなどで産出されます。
原石の形
柱状の結晶で産出されることが多いルベライト。
結晶の片方は尖り、片方は平面という、両端で形が違う異極像であることが多いといわれています。
また、三面のみが大きく成長し三角形のように見えるものもあるそうですが、最も一般的なのは断面が六角形となる六角柱のもの。
宝石品質として扱われるルベライトは主にペグマタイト鉱床から発見されるといわれています。
ペグマタイト内部には時に、液体と空気で出来た空洞が生じることがあります。
これを晶洞というのですが、この晶洞の中でルベライトを始めとしたトルマリンは生成されるといいます。
一つの晶洞の中で色々な色のトルマリンが生成することもあるそうですよ!
ペグマタイトの晶洞では、他にもクォーツやガーネット、アクアマリン、フローライトなども生成されます。
名前の意味
ルベライト(rubellite)はラテン語で「赤い色の」という意味をもつrubellusが由来だといわれています。
しかしながら、ルベライトは正式な宝石名ではないため、鑑別書に記される宝石名はレッドトルマリンで、備考欄などに別名ルベライトと呼ばれますと記載されることが多いようです。
ルベライトに施される処理
ルベライトには一般的に照射処理が行われているといわれています。
一般的に行われている処理のため、これにより価値が下がることはありません。
中には未処理のものもあるかもしれませんが、ルベライトは処理の有無の見極めが難しいといわれているため、鑑別書には「通常、照射処理が行われています」と書かれることが多いようです。
ルベライトの色
ルベライトは濃いピンク~レッドの色合いをもつことは前にご紹介しました。
もっと細かく言うと、赤が濃すぎても薄すぎてもルベライトにはならず、鑑別機関ごとに定められた範囲があり、その中に入るものだけがルベライトと呼ばれるそうです。
従って、鑑別機関によって見解が異なる場合もあるようです。
ルビーのような真っ赤な色のものは希少で、多くはピンク味を帯びたレッドで、果物のクランベリーに似た色のものも多い印象があります。
レッドトルマリンやピンクトルマリンとの違い
先程お伝えしたように、ルベライトと呼ばれるのには範囲があり、レッドが強すぎても弱すぎてもルベライトにはなりません。
レッド味が強く色が暗いものはレッドトルマリン、弱いとピンクトルマリンになります。
レッドトルマリンやピンクトルマリンとの違いは色のみで、レッド味の強さによって分けられるそうです。
そして、その範囲は鑑別機関によって定められているため、機関によって見解が若干異なる場合もあるということです。
ルビーと間違われていた歴史
画像:左-ルベライト 右-ルビー
ルベライトとルビーは似た色であることからしばしば混同されてきたようです。
もっとも有名なのがロシアのロマノフ王朝の家宝とされてきた、いちごの彫刻です。
260カラット以上もある世界最大ともいわれるルベライトですが、長らくルビーだと思われてきました。
ソビエト時代の鉱物学者によってルベライトだと判明したそうです。
もう一つ長らくルビーと間違われていた有名なルベライトとして、チェコ王室の王冠があります。
Photo by : yakub88 / Shutterstock.com
作られたのは14世紀後半にまで遡ります。
重厚なゴールドの王冠に青いサファイアと赤いルビーだと思われていましたが、赤い石はルベライトだと判明しています。
頭に乗せたら重そうなくらいサファイアもルベライトも大きいですね!
ルベライトの偽物について
ルベライトの偽物が大きく出回っている様子はあまりありませんが、ロットで仕入れた中にガラスなどが混ざっていることはあるそうです。
ただ、ガラスには特有の気泡が入るため、それを知った上で注意深く見れば見分けることは難しくないそうです。
また、ルベライトの場合、ルベライトの偽物が出回るよりも、ルベライトがルビーの偽物として販売されていることの方が多いそうです。そちらを注意した方が良いかもしれませんね。
ルベライトの価値基準と市場価格
いざルベライトが欲しい!となっても、どんなところを基準に選べば良いのか、どこで購入できるのか、分からないという方もいらっしゃるでしょう。
ルベライトの価値基準と市場価格などを参考までにご紹介しますね!
価値基準
ルベライトはレッド味が強い程、価値が高くなる傾向にあります。
その他は、他の色石と同じく
・色が鮮やかなもの
・透明度が高いもの
・カラットが大きいもの
・カットが美しいもの
上記5つの条件を満たす程評価が上がります。
市場価格
ルベライトは色やクオリティ、大きさによっては数千円前後から販売されています。
前述したとおり、レッドに近いほど高くなりますので、色鮮やかなレッドでクラックや内包物などが少なく透明度の高い、高品質のルースだと数十万円以上するものもあります。
どこで買える?
ルベライトを取り扱っているお店はルースであれば比較的多い印象です。
オンラインショップでも実店舗でもよく見かける気がします。
ジュエリーになると数は減りますが、全然ない訳ではないですので、興味がある方は探してみると良いと思います。
気に入ったルースを購入して、オーダーメイドでジュエリーにするのも特別感があって良いと思いますよ☆
ルベライトのお手入れ方法
ルベライトは硬度が高いため、日常使いのジュエリーとしても楽しめる宝石ですが、強くぶつけたり擦ったりすると表面にキズがつく可能性がありますので注意は必要です。
日常的なお手入れとしては身につけた後にセーム革のような柔らかい布で拭くだけで十分です。
中性洗剤や石鹸を溶かしたぬるま湯の中で柔らかいブラシなどを使って洗うと汚れなどが取れやすいです。
多少のアルコールは問題ないとされますが、過度につかないように念のため気をつけた方が安心な気がします。
超音波洗浄機の使用も問題ないですが、処理によってはダメなものもありますのでご注意下さい。また、キズやインクルージョンが多いものも避けた方が無難です。
最後に
ルベライトの艶やかでキャンディのようなクランベリーカラーには吸い込まれてしまいそうな魅力がある気がします。
トルマリンの中では、パライバトルマリン、インディゴライトに次いで価値が高いといわれるルベライト。
その評価も納得の美しさですね!
硬度は十分あり、希少ではあるものの色やカラットも比較的選びやすい宝石です。
ネックレスやリングなどにしても気兼ねなく楽しめますよ♪
この機会に是非、ルベライトの魅力にハマってみてください!
カラッツ編集部 監修