トルマリンって知れば知るほど好きになる、深~い魅力のある石だなあと思っています。
なぜかというと、まずトルマリンは色の種類が100種類以上と豊富なこと。それと熱や摩擦を加えることで電磁性を発することです。
さらに、見る方向によって色が異なる多色性も持っています。
つまり、美しいルックスと奥深い特質を持つ、まさにコレクションのしがいがある宝石だと思うのです。
さて、今回は多くあるトルマリングループの中から、インディゴライトトルマリンをご紹介します。
希少なブルートルマリンの中でも特にレアな存在であるインディゴライトトルマリン。とっておきの知識をお伝えしますね!
目次
インディゴライトトルマリンとは

インディゴ色というとまず、植物から採られた和風の『藍色』を想像される方も多いのではないでしょうか。
そういえば、デニムの色にもインディゴブルーがありますよね。
私たちの日常にありふれているインディゴカラー。
インディゴライトトルマリンとは、この藍色に似た濃い青色を呈する、ブルートルマリンのことです。
インディゴライトトルマリンの性質
結晶系 | 三方晶系 |
化学組成 | 複雑なホウ珪塩酸 |
硬度 | 7.5 |
比重 | 3.06 |
屈折率 | 1.62-1.64 |
複屈折率 | 0.018 |
光沢 | ガラス状 |
希少なインディゴライトトルマリン

色の豊富なトルマリン。その中でも特別な色をもつ希少な種類には、ブルーやレッドトルマリンなどといった単純な呼び方ではなく、以下のような特別な名前が付けられています。
- パライバトルマリン・・・銅を含む、蛍光色の青~緑色。
- ルベライトトルマリン・・・濃いピンク~赤色。
- バイカラートルマリン・・・赤と緑などの2色を呈する(ウオーターメロン)。
- インディゴライトトルマリン・・・青~緑系の青色。
インディゴライトトルマリンは、トルマリングループであるエルバイト(リシア電気石)の一部に分類されます。
結晶は大抵が半透明から不透明であり、透明なものは希少なため、それがレア度の高い理由のひとつです。
インディゴライトの青色は淡いものから濃いものまでさまざまですが、特に濃い青色を呈するインディゴライトトルマリンは高い価値が付けられるといいます。
1989年にブラジルでパライバトルマリンが発見されるまでは、唯一の高品質を誇る青色のトルマリンでした。
インディゴライトトルマリンの色

色による価値の違い
インディゴライトトルマリンは濃い青色が特徴的ですよね。
美しい青色になるのは、少量の鉄を含むことに起因すると考えられています。
それぞれの結晶が含む鉄の量によって、青色の濃淡に差が出るのです。
しかし、ほとんどのインディゴライトトルマリンは緑色の色調を帯びた青緑色をしています。
そのため、純粋で真っ青な色をしたものは大変希少な存在となっているのです。
つまり純粋な青色に近いものほど高品質になるのですが、残念なことに、発見されるのは1カラット以下の小粒サイズばかり・・・。
しかしそれでも純粋な青色であればあるほど小粒であっても、大粒の青緑や緑青よりも高値がつくことが多いのです。
また、色味の基準が鑑別機関によって若干異なり、鑑別機関によっては、緑色が強いものはインディゴライトと認められない場合もあるそうです。
多色性を楽しめる
インディゴライトトルマリンって、色の違いも楽しめるトルマリンであることをご存知でしょうか?
それは、見る方向によって違う色が見える『多色性』を持っているからです。
トルマリンはすべて多色性を持ちますが、インディゴライトトルマリンはその中でも強い多色性を見せてくれます。
トルマリンの結晶は三方晶系をしており、結晶を縦方向に見たときに一番濃い色に見えるそうです。
カット職人さんがこの性質を考慮してカットすることで、色の違いを楽しむことができるそうです。
カットの技術によっては、色だけではなく透明度やブリリアンスも失われることもあるといいますから、美しい色と輝きが見られるのは、カット職人さんの高い技術のおかげなのですね。
インディゴライトトルマリンの産地
インディゴライトトルマリンの有名な産出地はブラジルのミナス・ジェライス州です。
ほかにも、スリランカ、ロシア、マダガスカル、ナイジェリア、アフガニスタン、米国カリフォルニア州とメイン州、モザンビーク、ナミビアなど、一般的にトルマリンが採掘されている世界各地で発見されています。
なおインディゴライトに限らずトルマリンは産地鑑別ができない石です。
インディゴライトトルマリンの名前の由来

インディゴライトという名前は、ラテン語で『Indicum』と呼ばれる青い植物の名前を由来とします。
インディゴライトが単にブルートルマリンと呼ばれない理由は、ほかの青いトルマリンと比べると、深くて濃いブルーの色合いをもつからだといわれます。
ちなみに和名は、藍色のトルマリンという意味である『藍電気石』という名が付けられています。
まとめ
インディゴライトトルマリンは、パライバトルマリンの次に希少価値が高い青いトルマリンとしてコレクター人気が高い宝石です。
ラテン語の植物の名を由来とするインディゴライトは、その名の通り、見つめていると心を癒してくれる自然な藍色をしていますよね。
カラッツ編集部 監修