カナリーイエローといえば、まず思い浮かぶのがティファニーのイエローダイヤモンドではないでしょうか。
黄金色に近い、ビビッドで美しい黄色は世界中の宝石ファンを魅了し続けていますよね。
実は、トルマリンにもカナリーイエローをした種類があるのです。
その名も『カナリートルマリン』!
なんて堂々たる名前なのでしょう。
このトルマリンは、ビビッドな黄色に輝く、それはそれは美しい宝石なのです。
この宝石の性質や歴史について、もっと詳しく知ってみたいと思いませんか?
今回は、イエロートルマリンの女王的存在となった、カナリートルマリンの歴史や色についてお話させて頂きます。
カナリートルマリンとは
カナリートルマリンは、トルマリングループに属するエルバイト(リシア電気石)に分類されます。
ビビッドな黄色が魅力的で、1983年にザンビア共和国で発見されました。
産出量が少ないことから、希少価値の高い宝石として人気が上昇しています。
カナリートルマリンの色
改めて、カナリートルマリンは黄色の発色をするトルマリンのことです。
色の幅は薄いものから黄金色までさまざまですが、少し緑味を帯びたビビッドな黄色をしたものに最も高い価値がついています。
色の種類が多いトルマリンですが、その中でも黄色は大変希少だといわれる存在です。
トルマリンが黄色を発する理由は、9%未満のマンガンと、ごく微量のチタンを含有すること。そして鉄の量が少ないかゼロであることなどです。
ほとんどの結晶には500度~550度の加熱処理が施され、オレンジや茶色の色調を減らしてビビッドな黄金色を発色させています。
カナリートルマリンの硬度
カナリートルマリンのモース硬度は7.5と高い方なので、ジュエリーとして加工するのに向いています。
ビビッドな光沢と鮮やかな黄色をしており、ブリリアンスも華やか!蛍光色のような、豪華な煌めきを見せるのが魅力的です。
カナリートルマリンの歴史
カナリートルマリンがこの世で最初に発見されたのは、1983年のことでした。
アフリカ南部のザンビア共和国の東部にある花崗岩や沖積鉱床で、少量の黄色いトルマリンが見つかったのが最初でした。
この宝石に将来性を感じたのが、香港やバンコクで宝石関連の会社を経営するトミー・ウーという人物でした。
彼は早速ビジネスパートナーのリタ・ミタルとタッグを組み、黄色いトルマリンのマーケティングを始めます。
さらに供給量を増やすため、カナリー鉱山会社と提携して採掘をスタート。
黄色いトルマリン市場の大きな需要を見込んだ鉱山会社は、ビジネスのエキスパートや多くの労働者を雇い、採掘用の機材を導入して巨大なオペレーションを展開します。
こうして開始された大がかりな採掘作業の結果、黄色のほかにも黒いトルマリンが発見され、アクアマリンやクリソベリルまでもが採掘されるという大成功を収めました。
そして2001年に、ようやく黄色いトルマリンが『カナリートルマリン』という名称で市場に流通するようになります。
翌2002年には早速市場での人気が高騰しますが、中でも日本での需要が最も高かったそうです。
2007年には、ウー氏とミタル氏が共同経営するカナリー・ジェムストーン・インターナショナルがカナリー鉱山会社の経営権を取得しています。
黄色いトルマリンによる鉱山の発見は、カナリー鉱山会社にとっても大変大きな成功をもたらしました。
同社は採掘からカットと研磨、卸売までのすべてを自社で行っています。
カナリートルマリンの産地
カナリートルマリンの最もポピュラーな産地は、これまで述べてきたザンビア共和国です。
他にもモザンビーク、ナイジェリア、マラウイ、アフガニスタン、パキスタンなどでカナリートルマリンは発見されています。
なおカナリートルマリンは産地鑑別のできない石です。
カナリートルマリンの価値
普通のトルマリンは大きな結晶が見つかりやすいのですが、カナリートルマリンは大抵が小さい結晶でしか見つかりません。
さらにカットすると1カラット以下になってしまうので、市場に出回っているのは小さいものがほとんどです。
このことから、2カラット以上あるカナリートルマリンは非常に希少となります。
一般的な黄色をしたカナリートルマリンの価格相場は、1カラット未満で大体1万~2万円位といわれています。
最も高品質のビビッドな黄色になると、同じ1カラット未満でも2万円~4万円という価格がつくこともあります。
さらに1カラットを超えるサイズのものは流通量も少なく希少なため、2カラットで10万円近い価格が付いている場合もあります。
まとめ
ザンビアにある鉱山で発見された、カナリーイエローをしたトルマリン。産出量が減少していることから、今後更に価格が上がっていく可能性はあります。
結晶が小さく、カットするとメレサイズになるものが多いのですが、過去最大のものはなんと50.26カラットもの巨大サイズだったとか。
今後益々注目していきたい宝石の一つかもしれませんね!
カラッツ編集部 監修