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宝石で人助け?童話「幸福な王子」で愛を託された宝石たち

童話

宝石で人助け?童話「幸福な王子」で愛を託された宝石たち

幸福な王子1

Photo by : neftali / Shutterstock.com

『幸福な王子』という物語をご存知ですか?
それはアイルランドの文人オスカー・ワイルドが書いた童話です。もしかするとあまり聞き慣れないという人もいるかもしれませんね。

筆者はたまたま、幼いころ自宅に「世界の童話100選」みたいな本があったので知っていました。初めて読んだのはたしか小学校に上がる直前だったと思いますが、読んだ後、とても心が穏やかになったことを今でもよく覚えています。

日本にもすてきな童話はたくさんありますが、この童話も心温まるすばらしい物語。

では、その優しく切ないあらすじとこの物語に出てくる宝石たちを合わせてご紹介していきましょう。

『幸福な王子』あらすじ

幸福な王子2

美しき“街の自慢”

ある街に“幸福の王子”と呼ばれる像がありました。体中を金箔で覆われ、両目には青いサファイア腰に差した剣にはルビーが施されているというたいへん豪華な像でした。そしてこの美しく煌びやかな像は街の人たちにとって自慢の種でした。
この像は昔、この国で幸せな生涯を送りながらも若くして亡くなった王子を思い建てられたものだったのです。

しかし街の人々はこの金箔の像の中に今も王子の魂が生き続けていることは知る由もありませんでした。

心優しい王子

ツバメ
ある時、渡り鳥であるツバメが南へ渡る途中で王子の足元を一晩の宿にします。疲れた翼を休めようとしたところ、上から水滴が落ちてきて、見上げると王子の目から大粒の涙がこぼれていました。

王子はこの場所から見える、街の貧しい人々に心を傷めており、動くことのできない自分の代わりに、どうか体に埋め込まれた宝石や金箔を分け与えてほしいとツバメに頼みます。

最初は断るツバメですが、王子の熱い思いに心を動かされ南に渡ることを諦める決意をします。寒さに弱いツバメにとって、南に行かないということは死を意味すること。

それでも王子のために自分の生涯を費やすことを決めたツバメ。王子の代わりに両目のサファイアを、腰の剣に埋め込まれたルビーを、そして体中の金を貧しい人々に届け続けます。

金箔を全て配り終える頃、冬が訪れツバメはとうとう王子の足元で息絶えます。

心温まる結末

ある日、街の人々はあれほど美しかった像がいつのまにか宝石を失い、金が剥げたみすぼらしい姿になっていることに気づきます。
すると、「そんなみすぼらしい姿になってしまったのなら・・」と心のない人々によって像は溶鉱炉で溶かされることに。。

しかし王子の鉛の心臓だけは溶けずに残っていました。

下界の様子を見ていた神様は、ある時天使に「この街でもっとも尊いものを2つ持ってきなさい」と命じます。
天使はゴミとして捨てられていたツバメの亡骸と、王子の鉛の心臓を選びます。

そして王子とツバメは天国でいつまでも楽しく暮らすことができるようになったのです。

この物語に出てくる宝石

サファイア

サファイア
王子の両目として埋め込まれていたサファイア。ダイヤモンド、ルビー、エメラルドと並ぶ世界4大宝石のうちの一つです。

日本では9月の誕生石となっており、その石言葉は「誠実」「高潔」等があり、古くから聖人の石として司教や枢機卿などの聖職者が身に着けることの多い宝石でした。

その透き通った深いブルーの瞳で見られたら、何もかも見透かされているような気になるかもしれませんね!?

※サファイアについて詳しい記事はこちらから。
CATEGORY サファイアなど青色・ブルーの宝石

ルビー

ルビー
王子の腰に差してあった剣の装飾に使われていたのがルビーです。これも世界4大宝石として知名度も人気も高い宝石のひとつです。

サファイアとルビーは同じコランダムという鉱物で、色の違いによって“サファイア”か“ルビー”か呼び分けられています。

日本では7月の誕生石で、「カリスマ性」「情熱」等の石言葉を持っています。
宝石の女王という別名を持つほど人気の高い宝石です。

ルビーは、デザインによって凛とした女王然としていることもあれば、ハートシェイプにすると可愛らしさも出せるので、いわゆる“大人かわいい”魅力を沢山持った宝石だといえます。

王子のルビーはどんな輝きで街の人たちを魅了していたのでしょう。

※ルビーについて詳しい記事はこちらから。
CATEGORY ルビーなど赤色・レッドの宝石

金(ゴールド)

ゴールド
王子の全身を覆っていたのが、ゴールド。
金の歴史は一説によると6000年も前に遡ると言われています。
装飾品として用いられるようになったのはおよそ3000年前の古代エジプトからになります。

長い間、人々を魅了し続けた金。日本でも一時期はしばらくプラチナブームが続き、ゴールドを着ける人が減っていましたが、近年アクセサリーからゴールドブームが再来。
ジュエリーのジャンルでも再びゴールドに注目が集まっています。

※金(ゴールド)について詳しい記事はこちらから。
レーティングや色合いまで まずは金の基本から

サファイアやルビーの価値

ここで素朴な疑問が一つ。

この童話の中のサファイアやルビー、一体どれ位の大きさでどれ位の価値があるものなのか?

サファイアは目に埋め込まれていたとあるので、銅像の大きさにも依りますが、コブシ大位でしょうか?
ルビーも腰の剣の装飾とはいえ、人々が見上げて確認でき、ツバメが口にくわえて運べる位の大きさ。500円玉位の大きさでしょうか?

いずれにせよ、宝石としてはそれなりの大きさ。どちらも最高級のものであれば、一つで明日の生活どころか数年は不自由なく暮らせたかもしれませんね。

頑張ってたら明日良いことが起きるかも!?

おわりに

絵本を読む親子
アイルランド童話『幸福な王子』と登場する宝石をご紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

この物語は人間の傲慢さ、宝石の希少性等、言葉では語られていない要素も数多く盛り込まれた作品だと思います。

大人になって改めて読み返してみると、子供の頃に感じた思いとは別の感情が味わえるかもしれませんね。
久しぶりにまた読んでみたくなりました。

皆さんにもぜひオススメしたい一作です♬

カラッツ編集部 監修