グリーン色の輝きが美しいエメラルド。エメラルドは産地によって色や透明度が異なり、品質にも違いがあると言われています。
こちらでは近年注目度の上昇しているザンビア産エメラルドについて詳しくお伝えしていきましょう。なおエメラルドは産地鑑別のできる石です。
ザンビア産エメラルドの特徴
中央アフリカにあるザンビアでは、1976年にエメラルドの採掘が始まって以来、世界の約2〜3割を占める量が産出されています。
透明度が高い
ザンビア産の特徴は、インクルージョンが少なく透明度が高いことです。内包物の多いコロンビア産と比較して、クリーンな石が多く産出されています。
原石は丸みを帯びている
ザンビア産エメラルドの原石は丸みを帯びた形をしているものが多いのも特徴の一つです。エメラルドカットにすると小さくなるので、多くはオーバルシェイプやペアシェイプにカットされます。
色ムラがなく均一
ザンビア産のエメラルドは、グリーン色が石全体に均一に広がっており、青味の強い色合いを持ちます。深みのあるグリーンをしたものもあり、高品質の原石が産出されることもあります。
ティファニーとジェムフィールズによって有名に
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ザンビア産エメラルドの市場を拡大したのはティファニー社とロンドンの宝石供給会社ジェムフィールズ(Gemfields)社でした。
ジェムフィールズは、映画祭のレッドカーペットで女優達にザンビア産エメラルドを着用させ、大々的に宣伝を行いました。所有する鉱山では管理の行き届いた環境での採掘を行っており、採取された原石はシンガポールなどにある自社のオークションで正当に販売されています。
ティファニー社は1989年にザンビア産エメラルドを使用したジュエリーを発表。このことをきっかけにザンビア産の人気に火が付きました。
カジェム鉱山とジェムフィールズ
アフリカ南部にあるザンビアでエメラルドの採掘が始まったのは1928年。コッパーベルト州のキトウェ(Kitwe)地区近辺で発見され、後に調査と技術を導入して、本格的な採掘が開始されます。
その後、いくつかの民間企業や政府が所有する企業などの間で採鉱権が何度も移動し、採掘や鉱床の位置の調査が行われ続けます。こうした調査や地元の採掘工夫たちにより新たな鉱床が発見され、1970年代にはエメラルドの生産量が急激に拡大していきます。
大量の産出に伴い、政府は違法な採掘を制止するため、採掘を政府公認の企業のみに制限します。1980年には、政府が半分の所有権を持っていたカジェム・マイニング社(Kagem Mining Ltd.)が許可を取得し、採掘を始めます。カジェムが所有した鉱山はカフブ川の北側に位置し、最高品質のエメラルドが産出されてきました。
2004年にはイギリスのジェムフィールズ社が採掘を開始。地域にあるふたつの鉱山を買取った後、カジェム鉱山の経営権の75%を取得します。単独のエメラルド鉱山としては最大の規模であるカジェム鉱山は、ジェムフィールズの洗練された経営力によって、世界市場で大きく成功することになったのです。
ジェムフィールズは原石の採掘と供給や販売のほかにも、エメラルドのオークションの開催や、コレクター向けの標本の開発なども行っています。
ザンビア産エメラルドの価値
出典元:https://www.gemrockauctions.com/ |
ここ数年ザンビア産エメラルドの人気は急上昇しており、世界中で最も需要の多い産地のひとつとして注目されています。見た目の美しさでは、コロンビア産に次ぐ品質であると評価されるほど。そのため価格は上昇していますが、コロンビア産と比較するとそれでもまだかなり安価です。
コロンビアは歴史的なエメラルドの産地であり、世界市場の70%以上の供給量を占めるほどの人気があります。これに高品質であることがプラスされ「コロンビア産」というネームバリューとともに高い価値が付いているのです。
2010年にカジェム鉱山で産出されたエメラルドの価値は、1カラット当たり平均75セント(約83円)。高品質の原石は1カラット当たりが上限500ドル(約55,000円)で販売されています。
まとめ
世界中が注目するザンビア産のエメラルド。透明度が高く色が均一であるというコロンビア産にない魅力も多いため、今後も人気が上昇していく可能性は高いと言えるでしょう。
カラッツ編集部 監修