「鮮やかな青色の結晶」と言われたら、皆さんはどんな石を思い浮かべますか?
有名どころでいうと、ブルートパーズやブルージルコン、
少しレアなところで、アウイナイトやブルーアパタイトといったところでしょうか。
実は、それらの宝石に勝るとも劣らない、美しい青色を発色する鉱物があります。
それが、今回お話しするカバンサイト。
鉱物図鑑には割と載っていたりするため、名前くらいは知っている、という方もいるかもしれませんね。
ご存知の方も、初めて名前を聞いた方も、いっしょにその魅力に迫っていきましょう。
目次
カバンサイトとは?
カバンサイトは、冒頭でもお伝えしたとおり、鮮やかな青色が印象的な鉱物です。
原石の形に特徴があり、原石コレクターから近年注目をあびている鉱物の一つでもあります。
カットされたルースより、鉱物標本として出回るものの方が多い印象です。
まずは、基本情報から順番に見ていきましょう。
鉱物としての基本情報
| 英名 | Cavansite(カバンサイト) |
| 和名 | カバンシ石 |
| 鉱物名 | カバンサイト |
| 分類 | 珪酸塩鉱物 |
| 結晶系 | 斜方晶系 |
| 化学組成 | Ca(VO)Si4O10・4H2O |
| モース硬度 | 3 – 4 |
| 比重 | 2.2 – 2.3 |
| 屈折率 | 1.54 – 1.55 |
| 光沢 | ガラス光沢 |
特徴
カバンサイト最大の特徴は、その鮮やかな色合いにあると言えるでしょう。
個人的には、深みのある美しい青色と細かい粒状の結晶が固まって生成する、原石の形が魅力的な鉱物だと感じています。
1960年頃アメリカ・オレゴン州のレイク・オワイ州立公園で発見され、1973年に論文が発表された、比較的新しい鉱物です。
実は論文発表されてからまだ50年くらいしか経っていないのですね。
この産地では、カバンサイトと同質異像(※)の関係にある、ペンタゴナイト(ペンタゴン石)が見つかることでも知られます。
ペンタゴナイトは、結晶が五角形の星型を成すことがあることからこの名が付けられたといわれています。写真を見たことがありますが、本当にキレイな星型をしていましたよ。
※同質異像・・・化学組成が同じで結晶構造が違う鉱物のこと
色
緑色がかった青色から青色の色合いを呈します。
カバンサイトのこの鮮やかな色合いはバナジウムに起因すると考えられています。
エメラルドやスフェーンなどバナジウムで発色する宝石は他にもありますが、どちらかと言うと、グリーン系の印象が強かったため、こんな鮮やかな青色を発色するなんて、少し驚きでした!
カバンサイトの目を射抜くような鮮やかな青色には、人の心を惹きつける魅力があり、それがコレクター人気の高さにつながっているのかもしれませんね!
名前の意味
主成分の元素のうち、カルシウムのCA、バナジウムのV、珪素(シリコン)のSiをとってカバンサイトと命名されました。
カバンサイトの産地と原石の形、産出される場所
カバンサイトはどんな所で採れるのでしょうか。
産地と産状、原石の形についても調べてみました!
産地
現在、カバンサイトの最大産地はインドのプネーで、良質の結晶が産出される地としても知られます。
そのほか、発見地である、アメリカ合衆国オレゴン州からも産出されています。
原石の形と産出される場所
カバンサイトの原石は、主に柱状結晶が集合した形や、板状結晶が集合した形で産出されます。
細かい柱状結晶が放射状に集まった形で産出されることもよくあるようですよ。
花弁のように結晶が集合しているものが特に、コレクター人気が高いようです。
カバンサイトは、玄武岩や凝灰岩の中に、沸石類と一緒に生成することが多いとされます。
その他、カルサイトやアポフィライト、ペンタゴナイトなどと共生することもあります。
カバンサイトの価値基準と市場価格
一説によれば、流通量がコントロールされているらしいというウワサもカバンサイトにはあるようですが、果たしてそのウワサは本当だと言えるような要素を、価格等に見つけることはできるのでしょうか。
価値基準や市場価格を見てみましょう。
価値基準
一般的な色石と同様に、色が鮮やかなほど価値が上がります。
標本として出回るものは、結晶の量や形、母岩とのバランスが良いものほど評価が上がります。
市場価格
価格に多少のばらつきは見られますが、ネット上では数千円から1~2万円程度の標本を多く見つけることができました。
大きく形の良い結晶がついている標本であるほど、価格が高くなる傾向が見られます。
どこで買える?
鉱物の扱いが多いお店やミネラルショーなどのイベントで探せるかもしれません。
実物を見ずに購入してもかまわないのであれば、ネット通販で探すこともできますよ。
カラッツSTOREでも取り扱うことがあるので、良かったらチェックしてみてくださいね。
| ▽カラッツSTOREのカバンサイト▽ |
カバンサイトのフォトギャラリー
鉱物標本は、ルースのように人の手が入らない分、より唯一無二感が楽しめます。
カバンサイトも、標本によって個性はさまざま。
結晶の形が特徴的なので、見ているだけでも楽しい原石ばかりです。
幾つか写真でご紹介しましょう。
白いふわふわの生き物が、青色の宝物を両手で捧げ持っている形の像……に見えたのは、私だけでしょうか。
このまま飾っておいても絵になる、完成度が高い原石ではないかと思います。
結晶の色もどことなく透明度が感じられて美しいですね。
次は少し雰囲気を変えて、2箇所にカバンサイトの結晶が見られる原石標本です。よく見ると沸石類も複数の種類があるように見えますね。
先ほどのものより、色が濃く鮮やかな結晶が付いています。
続いては、グローブのような形をしたこちら。
そういえば、ジブリ映画「耳をすませば」に、こういう感じの母岩付きエメラルド原石を眺めるシーンがあったなあ、とふと思い出しました。
中の結晶も形が整っていて、とても美しいです。
最後にカットが施されたルースも一つご紹介します。
原石とはだいぶ雰囲気が変わり、こちらはこちらで趣があります。
柱状に集合した原石の雰囲気がそのまま閉じ込められているように見えませんか?
最後に
「インド産の青い奇跡」と思わず呼びたくなるような魅力のある宝石、カバンサイト。
ルースに加工されてもかわいらしいですが、やはりその魅力の真骨頂は原石にあると個人的には感じています。
今回初めて名前を知ったという方にも、カバンサイトの特徴や面白さが伝わっていれば幸いです。
カラッツ編集部 監修
<この記事の主な参考書籍・参考サイト>
◆『宝石と鉱物の大図鑑 地球が生んだ自然の宝物』
監修:スミソニアン協会/日本語版監修:諏訪恭一、宮脇律郎/発行:日東書院
◆『楽しい鉱物図鑑2』
著者:堀秀道/発行:草思社
◆『小学館の図鑑NEO [新版]岩石・鉱物・化石』
発行:小学館
◆『岩石と宝石の大図鑑』
監修:ジェフリー・E・ポスト博士/著者:ロナルド・ルイス・ボネウィッツ 訳:青木正博/発行:誠文堂新光社
◆『物語のある鉱物図鑑』
著者:ペズル/監修:小田島庸浩/発行:三才ブックス
◆『パワーストーン百科全書』
著者:八川シズエ/発行:中央アート出版社 ほか























