多色性が美しく、多くの人を魅了し続けるタンザナイト。
大粒のものが採れやすいといわれていますが、世界最大のタンザナイトとはどんなものかご存知でしょうか。
実は、現在世界最大といわれるタンザナイトは、2020年に見つかりました。
しかも、これまでの記録を大きく超えるタンザナイトの原石が立て続けに3つも見つかったんですよ~。
一体どのくらいの大きさなんでしょうか!?お値段も気になりますよね。
世界最大のタンザナイトについて調べてみました。
世界最大のタンザナイトとは?
2020年6月中旬に、東アフリカのタンザニアで世界最大のタンザナイトが採掘されました。
見つかった原石は2つで、何と9.27㎏と5.1㎏。
それまでの最高は2005年に発見された3.3㎏の原石で、当時はその大きさに騒然となり、マウェンジというキリマンジャロに次ぐ高さの山の名前がつけられた程でした。
しかし、2020年6月に発見された2石はマウェンジを大きく上回り、大幅な記録更新を果たしたのです!
3.3㎏から9.27㎏、実に約2.8倍の大更新です!
新記録となった世界最大のタンザナイトにも名前がつくのでしょうか。楽しみですね!
そして、翌月にまた驚くことが起きました。
なんと、6.3㎏のタンザナイト原石が見つかったのです!
世界最大とはなりませんでしたが、世界第2位の大きさ。
結果的に、現在世界最大のタンザナイトは2020年6月に、世界第2位は2020年7月に、第3位は2020年6月に見つかったということになりますね!
2カ月ほどで3つの巨大なタンザナイト原石が見つかるとは。かなり歴史的な出来事ではないでしょうか。
しかもこれら全てが同じ鉱山で見つかったとのこと。
いったいどんな所なんでしょうか!?
世界最大のタンザナイトが見つかった鉱山とは
現在世界第3位までの3つのタンザナイトが見つかった鉱山は、タンザニア北部にあるメレラニ鉱山です。
メレラニ鉱山はアフリカ最高峰キリマンジャロの近くにあって、タンザナイトが採れる唯一の鉱山として世界的に有名なところです。
元々タンザナイトが発見されたのも同じで、1967年、メレラニの丘を歩いていたマサイ族の男性が青く美しいタンザナイトを見つけたという逸話が残っています。
その深くて青い煌めきから最初はサファイアだと思われていたそうですが、調べた結果ブルーのゾイサイトであることが分かったのです。
ゾイサイトという名前が、自ら命を絶つという意味のスイサイドと響きが似ていることを嫌ったティファニー社の当時社長によってタンザナイトと名付けられたといいます。
メレラニ鉱山はAからDのブロックに分かれていて、大規模鉱山から小規模鉱山まで様々な形で宝石が採掘されています。
一時はタンザナイトの密輸や密売が横行していたようですが、現在はメレラニ鉱山の周りに高い壁が築かれるなど、タンザニア政府の管理が強化されているそうです。
そして現在世界第1位~3位の3つの巨大原石は共にメレラニ鉱山の中にある、同じ小規模鉱山から見つかったということです。
世界最大のタンザナイトを採掘したのは誰?
それでは、その世界最大のタンザナイトを採掘したのは誰なのか、気になりますよね。
このニュースが最初に世界を駆け巡った時は、マサイ族と思われる一人の男性が巨大なタンザナイト原石を両手に抱えている画像が流れ、その内容は「貧しい鉱夫が採掘した」というものでした。
中には「文字も読めない貧しい労働者が一夜にして億万長者に」というニュースもあったんですよ。
しかしそれは、すぐに修正されることとなりました。
タンザナイトの持ち主は貧しい鉱夫などではなく、サニニウ・ライザーというメレラニ鉱山の採掘権を持つオーナーさんだったのです!
ライザーさんは52歳のマサイ族で、4人の妻を持ち、子どもが32人いる大家族の長なのです。
ライザーさんは10年以上前から小規模鉱山の採掘権を有しており、畜産業や農業で得たお金を宝石の採掘につぎ込んでいたのだとか。
ライザーさんの鉱山では200名が働いているそうですよ。
世界第1~第3位のタンザナイト全てがライザーさんの鉱山で見つかったと言いますから・・・神様に愛されているのでしょうねぇ。うらやましい!
ライザーさんは先ほども触れたようにマサイ族です。
マサイ族は一夫多妻であることでも知られていて、お嫁さんが欲しいときは、家畜と交換するんですよ。
牛などの家畜が多ければ多いほど、お金持ちということになるそうです。
マサイ族はとても勇敢な戦士として尊敬もされており、タンザニアでは大きなお屋敷などの門番や、商業施設の警備員として雇われている光景をよく見かけました。
彼らは誇り高く、カメラを向けられることを嫌います。槍を投げてくることもあるので、撮影は控えましょうね。
観光客相手のマサイ族は大丈夫だと思いますが、チップの要求があるかもしれません。
私はタンザニアのサファリの奥にあるホテルに宿泊したことがあるのですが、居室とレストランが別棟になっていて、食事の度に武器を持ったマサイ族のお兄さんにガードしてもらいながらレストランへ往復をした経験があります。
ライオンなどの野生動物に襲われることもあるので、勇敢なマサイ族に守ってもらう必要があるのですよ。
世界最大のタンザナイトが見つかった鉱山主ライザーさんも、男らしいマサイの戦士だったかもしれませんね。
世界最大のタンザナイトの価格
世界最大、第2位、第3位のタンザナイトの価格は幾らだったのでしょうか。
2020年6月に採掘された9.27㎏(世界最大)と5.1㎏(世界第3位)のタンザナイトはタンザニア政府が77.4億タンザニアシリングで買ったといわれています。
日本円にして、約3億5000万円になるのだそうです。
そして7月に見つかった6.3㎏(世界第2位)のタンザナイトはというと、こちらもタンザニア政府が買い、政府は日本円に換算して約2億1000万円をライザーさんに支払うことを約束したそうです。
なんとライザーさんは短期間で5億6千万円手に入れたということになりますね!
タンザニアのお金はタンザニアシリングといって、紙幣には動物が印刷してあります。
水牛、ライオン、クロサイ、ゾウなどがデザインしてあって、透かしにはキリンの姿を見ることができます。さすが野生の王国!
さて、政府はダミーの大きな小切手をライザーさんに渡しましたが、実際の支払いは少し遅れたそうです。元大統領が亡くなるなどしてバタバタしていたとか。
政府によると、これら巨大なタンザナイトの原石は博物館で所蔵するとのことです。
我々にも、このタンザナイト原石を見る機会が与えられたということですね!
転売すれば大きなお金が入るでしょうに、資料として保管することを選ぶ政府もなかなか立派ですよね~。
世界最大のタンザナイトの持ち主のその後
Photo by : Aleksandar Todorovic / Shutterstock.com
5億円以上を手にしたライザーさんは、その後どのように暮らしているのでしょうか。
いくつかのニュースを見てみると、今後の予定についてライザーさんは、巨万の富を得たとしてもマサイ族としての生活を変えるつもりはないとインタビューに答えています。
そして、学校や医療施設、大きなショッピングモールを建設しようと考えているそうです!
ライザーさんによって一つの街が作られるような感じですね。いつか、そのショッピングモールでお買い物してみたいですねぇ。
収入の10パーセントは鉱山で働く人々に分配するのだそうですよ。
3つのタンザナイト原石に対して、タンザニア政府は5億円以上を提示しましたが、実は市場価格に比べたらずいぶん安い設定なのだそうです。
そして、密売人に売れば更にその何倍もの大金で売れたかもしれないそうです。
しかしライザーさんは政府に売ったことを満足していて、受け取る金額に関しても何一つ不満が無いのだそうです。
政府に売ることですべてが公正で透明になると感じており、神様に感謝しているとのこと。ライザーさん、偉いですよねぇ。
最後に
世界最大のタンザナイトのお話、いかがでしたか?
9キロ以上もするタンザナイト原石、実際に持って重さを確かめてみたいです!かなり重いでしょうし、色も深くて美しいでしょうねぇ。
タンザナイトは近い内に鉱脈が枯渇するともいわれている、貴重な宝石です。
私も3カラット以上のタンザナイトを持っているのですが、世界最大のタンザナイトからは幾つのルースを削り出すことができるんだろう、なんて想像してしまいました。
実際は博物館行なので、カットはされないのだと思われますが。。。
ライザーさんの鉱山には、もっと大きなタンザナイトが眠っている可能性もあるそうですよ。
また近いうちに記録更新されるかもしれませんね!
カラッツ編集部 監修