古くから人々を魅了し続けているオパール。10月の誕生石としても有名です。
虹色が揺らめくオパールの遊色効果を見て、ローマの学者だったプリニウスはカラーストーンがもつ色が凝縮されていると称賛し、世界の多くの文明においてオパールには崇高な力が宿っていると信じられていました。
実はオパールは多種多様で、遊色効果を示すものと示さないものがあったり、一見同じ鉱物と思えないような種類も存在しています。
オパールの虜になり、様々な種類をコレクションする収集家も多いと聞きますよ。
しかし買い慣れていないと、購入する際、どのように価値を見極めれば良いか、相場はどれ位なのか、よく分からないという方もきっと多いですよね。
そこでこちらでは、オパールの価値基準や市場価格と併せて、ルース、ジュエリー、原石それぞれの選び方のポイントなどもお話ししたいと思います。
▼オパールについての全般的な話は下記記事にて詳しくご紹介しています。
目次
オパールの価値基準
価値の高いオパールを見極めるには、価値基準を知ることも重要です。どのようなオパールが高い評価を得ているのでしょうか。
前述の通り多くの種類があるオパールですが、大きく分けると2つに分類することができます。
それは、遊色効果を示すプレシャスオパールと、示さないコモンオパールです。
遊色効果とは、あのオパール特有の虹色の揺らめきのことです。
プレシャスオパールとコモンオパール、それぞれの価値基準について、少し掘り下げて見てみましょう。
プレシャスオパールの価値基準とは
画像:左-ブラックオパール 右-ウォーターオパール
遊色効果を示すプレシャスオパールの中にも多くの種類があります。
最も一般的なものは、白っぽい地色に遊色効果が現れるホワイトオパールではないかと思います。ダークな地色に遊色効果が揺らめく姿が神秘的なブラックオパールも有名ですよね。
実際私がもっていたオパールの印象はこの二つでした。
プレシャスオパールには他にも、ボルダーオパール、ウォーターオパール、ハニカムオパール、カンテラオパールなどがあります。
ファイアオパールの中にも遊色効果を示すものがありますね。
プレシャスオパールは、遊色効果が鮮やかで美しいものほど価値が上がります。
そして、どの色が遊色効果として現れるのか、また遊色の大きさやパターンなどによっても価値が変わります。
ドラマティックで美しい遊色が認められ、カットが美しく、カラットが大きいものほど価値が高くなるでしょう。
ではどんな遊色効果が現れると価値が上がるのでしょうか。
遊色効果の価値基準
遊色効果の色の中で最も価値が高いとされるのはレッドです。
その次にオレンジ、グリーン、ブルーと続きます。
遊色効果は一部分に出ているものよりは全面にある方が価値高く、鮮やかな色彩であることも重要です。
また、一つ一つの色が大きく出現している方が良いとされています。
遊色効果には幾つかパターンがあります。ピンファイアー、リボン、フラッシュなど色々ありますが、珍しいものの一つに、石の角度を変えると遊色が転がるように移り変わるローリングフラッシュなどがあります。
最も価値が高いとされているのは、ハーレクインと呼ばれるもの。大柄で角ばったまだら模様で、まるでピエロの衣装のような派手さがあります。
鮮やかなレッドが入れば、更に価値が高まります。
▼オパールの遊色パターンと価値の違いについて詳細は下記記事で
コモンオパールの価値基準とは
画像:左-ファイアオパール 右-ハイアライトオパール
遊色効果を示さないコモンオパールは、プレシャスオパールに比べ、地味な印象を受けるものも多いですが、独特の美しさや特徴があり、こちらはこちらでとても魅力的なのですよ。
コモンオパールにも様々な種類があります。
代表的なものは、ハイアライトオパール、デンドリティックオパール、ピンクオパール、オパールキャッツアイなどです。
ファイアオパールの中には、遊色効果を示さないものもあります。
コモンオパールの存在を知った時は、これもオパールなんだ、という驚きとともに、どれも素敵なのに「コモン(普通の)」と言われて少し可愛そう、と思ってしまいましたよ。
ピンクオパールなんて、とてもスイートな色合いで可愛らしい宝石ですよ。キャッツアイ効果のあるオパールも素敵です。
コモンオパールは、種類によって特徴が異なるため、価値基準もそれぞれです。
例えばハイアライトオパールの場合は、ブラックライトを当てるとネオンカラーに光る蛍光性のあるものが多く、蛍光がハッキリと出るものほど高評価になります。
特に太陽光でも蛍光するものはかなり高い評価を得ます。
地色はカラーレス、淡いブルー、淡いグリーン、淡いイエローなどで、透明度が高い程、価値が上がる傾向にあります。
オパールキャッツアイの場合は、キャッツアイ効果がハッキリとバランス良く現れるもの程、ピンクオパールやブルーオパールなどは色が濃く鮮やかで、透明度が高いもの程、評価が上がるといわれています。
オパールの価格相場
オパールはどのくらいの価格で流通しているのでしょうか。
遊色効果を示すプレシャスオパールの中で最も流通量が多いのは、地色が白いホワイトオパールでしょう。クォリティによっては、数千円から購入できるものもあるようです。
私はスリランカの宝石店で、オーストラリア産ホワイトオパールを購入したことがあります。半分が真っ白で半分に遊色が入っており、千円位で購入したのを覚えています。
ホワイトオパールよりは価値が高いとされているウォーターオパールやファイアオパール、ブラックオパールなどでも、クォリティや大きさによっては1万円以下で販売されることもあります。
しかし、ブラックオパールの中でも最高品質のハーレクインは、数億円の価値が付けられるものもあるそうですよ。どんなに素晴らしい遊色なのか興味深いですね!
一方、遊色効果を示さないコモンオパールはどうでしょう。
ピンクオパールやオパールキャッツアイなどは数千円から探すことができるでしょう。
希少性が高いとされるハイアライトオパールは数万円以上のものが多い印象ですが、クォリティによっては1万円以下で探すことも可能だと思います。
ハイアライトオパールの中で最も評価の高い、太陽光でも蛍光するタイプはサイズが小さくても数万円以上するものが多いです。
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オパールを選ぶ時のポイント
オパールを選ぶ時、どのようなポイントに気を付けると良いでしょうか。
オパールは多孔質で内部に水分を含んでいるという特徴があり、とてもデリケートです。
ルースとジュエリー、原石など、状態ごとに選ぶポイントも違ってきますので、一つ一つ見てみましょう。
資産として選ぶ場合
資産にする目的でオパールを購入する場合は、ブラックオパールにハーレクインが鮮やかに現れているものなど、珍しい遊色パターンをもった最高品質のブラックオパールでないと資産としての価値は期待できないかもしれません。
高額な買い物になりますので、しかるべき機関の鑑別書も必ず確認しましょう。
ルース
オパールのルースを選ぶ時は、その目的によって選ぶポイントが変わります。
ルースのままコレクションして楽む場合とジュエリーに加工する目的で手に入れる場合、それぞれのポイントをお話しましょう。
ルースのまま楽しみたい場合
ルースそのものを楽しみたい場合は、色や形が自分好みのものを選ぶことも大切だと思います。
手のひらに載せて感触を確かめたり、光を当てて地色や遊色を楽しんだり、陳列棚に並べて飾ったりと、ルースの楽しみ方は色々あります。
自分好みの色合いを現すものを選べば、見る度に心癒されると思いますし、遊色効果の美しいものを選べば虹色の移り変わりを愛でることもできるでしょう。
ボルダーオパールやカンテラオパールのように母岩付きのものは母岩の形やオパール部分の入り方にも個性が現れますので、そういったところで選ぶ楽しさもあります。
ただ、オパールは乾燥に弱くデリケートな宝石です。保管の際は直射日光の当たる場所や乾燥しやすい場所には置かない方が無難です。
モース硬度が5.5 – 6.5と、表面にキズがつきやすいという性質もあるので、硬い床に落としたり強くぶつけたりしないようにも注意してくださいね。
ジュエリー加工して楽しみたい場合
オパールのルースをジュエリーに加工する前提で購入する場合はどうでしょう。
まずは、ルースにヒビやキズがないことを確かめましょう。加工の途中で割れる危険性があるからです。
プレシャスオパールの場合、遊色効果が見やすいようにカボッションカットが施されることが多いです。あまりに高さのあるものはジュエリーにセットしにくいようです。
同じカラットであれば、高さのあるものよりは低くてもテーブル面が広いルースの方が、ジュエリーに加工した時にオパールが大きく見えるといいます。
プレシャスオパールの場合は、ジュエリーにセットした時に遊色効果が良く見えるよう、遊色の位置や出方をチェックすることも重要だと思います。
どのアイテムにするか、その種類によって選ぶべきオパールの色や形も変わります。大きくて美しい遊色効果のあるルースはリングやペンダント、ブローチなどが良いでしょう。
イヤリングやピアスを作る場合は、地色や大きさが似たルースを二つ揃えるとバランス良く付けられると思います。
ジュエリー
オパールのジュエリーを選ぶ時のポイントは何でしょうか。
先ず、オパールの表面にキズが付いていたり、割れていないか確かめましょう。
次に、石がしっかりと固定されていることを確かめてください。石留めの爪などが緩んでいると、布に引っ掛かったり、オパールが落ちたりすることも考えられます。
これらはオパールに限らずどんな宝石の場合も購入する前に必ず確認することをオススメします。後から気づいて後悔したり、すぐに修理に出さないといけない事態をなるべく避けるためです。
プレシャスオパールの場合は、遊色の見え方も確かめましょう。
地金がゴールド系なのかシルバー系なのかによっても着用した時の印象が異なります。
実際に付けたり、肌にあてられる状況であれば、鏡を見ながら肌映りの良いものや自肌とのバランスを確認したり、合わせたい洋服やシーンを想像して使いやすいデザインかどうかを見極めることも大切でしょう。
また、ジュエリーはブランドで選ぶという方法もあります。お好みのブランドがオパールジュエリーを作っているのか調べてみるのも楽しいですね。
原石
画像:ハイアライトオパール
オパールは、岩石の割れ目などにシリカ球が侵入し、長い年月をかけて積み重なり生成されると考えられていますが、実は詳しいことは分かっていないそうです。
一説によると、オパールが1㎝の大きさになるのに500万年かかるとも・・・。
オパールは岩の隙間で生成されるだけでなく、つらら状の鍾乳石になったり、たけのこ状になったり、化石がオパール化したりと、原石の状態も実に多様です。
様々な形の原石をコレクションしても楽しいでしょうね。
原石にはカット石にはない素朴さや自然が作った雄大さを感じられるものも多く、原石ならではの楽しみ方があると思います。
形や遊色の出方などを見て、自分好みのものを探すと良いでしょう。
原石を手にする場合、母岩などがギザギザしているものがあるので、ケガをしないよう気を付けましょう。
ジュエリーの種類によって、楽しみ方や選び方のポイントの違いはある?
オパールのジュエリーは、楽しみ方や選び方にどのようなポイントがあるのでしょうか。
前述したように、オパールは強い衝撃や乾燥に弱いという性質をもつため、ジュエリーとして身につける場合にも注意が必要です。
どのアイテムであっても、帰宅したらすぐに取り外し、柔らかい布で拭いてからしまうと良いでしょう。
また、保管する際は、他のジュエリーとぶつからないよう、仕切りのある箱や小袋に入れるなど個別にしまうことをオススメします。
リングやネックレス、ピアスなど、アイテム別のポイントも見てみましょう。
オパールリングの楽しみ方と選び方
遊色効果を示すオパールをリングにすれば、虹色の揺らめきを常に見ることができ、オパール特有の美を堪能することができます。
出かけた先々の様々なシチュエーションで指を光にかざし、遊色や地色とのコントラストを楽しむのは至福のひと時でしょう。
しかしオパールは繊細な宝石。
前述の通りオパールは多孔質で、乾燥したり、水分の影響を受けやすい性質があります。
暖房器具やドライヤーの風が直接当たるような環境は避けた方が良いでしょう。
化粧品や香水などが掛かってしまい、それらが吸収されてオパールの中に入り込むと化学物質が中に残って、変色の原因になる可能性もあるようです。
全ての身支度が終わってから着用し、帰宅したら最初に取り外すことをオススメします。
また同じ理由で、アルコール消毒液も掛からないようにご注意頂いた方が良いです。万が一掛かってしまったら、素早く柔らかい布などで拭き取ってあげて下さいね。
衝撃にも弱いため、家事をしたり重いものを運ぶ際は必ず外して下さい。壁に擦ることもできれば避けたいです。
オパールネックレスの楽しみ方と選び方
オパールジュエリーは個性的で神秘的な印象をもちます。
特にネックレスは、他人の目に写りやすいアイテムです。
大きくてオーロラのように美しい遊色効果のあるオパールネックレスはきっと注目されやすいでしょう。
種類や地色、デザインによっても印象が変わりますので、TPOなどに合わせて選ぶのも良いですね。
個人的なイメージかもしれませんが、ブラックオパールには神秘的な、ホワイトオパールには優しく可愛らしい印象があるように思います。
リングに比べれば、ぶつける可能性が低いネックレスですが、チェーンが長いタイプは何かの拍子に壁や柱などにぶつける可能性があります。振り向く時などはゆっくりと、エレガントに動くようにしてくださいね。
オパールピアス・イヤリングの楽しみ方と選び方
耳元で揺らめくオパール特有の光は、着けている人を一層魅力的に見せることと思います。
ユニークなデザインのものなどは、敢えてシンプルな装いにして、耳元にポイントを置くのも素敵だと思います。
キャッチが緩いと、ピアスが髪やマスクなどに絡まり、知らない間に外れてしまうこともよくありますので注意しましょう。
イヤリングの場合もバネが緩くなっていないか、逆にきつ過ぎないか確認してください。緩いと落としてしまいがちですし、きついと耳が痛くなってしまいます。
そしてリングやネックレスと同様に、乾燥、熱、衝撃などに注意しましょう。
最後に
オパールの価値基準や選び方などについて紹介しました。
実は多種多様なオパール。種類の多さに驚いた方もいるかもしれませんね。私も昔はオパールにはブラックオパールとホワイトオパール位しかないと思っていました。
そして、ちょっとレトロで貝殻ボタンのような地味な宝石という間違った印象を持っていました。
オパールがいかに多彩な宝石であるかを知った時は本当に驚きましたよ!オパールにひれ伏して謝りたい気分でいっぱいでした。
オーストラリア産のハーレクインともいえるオパールを見せてもらったことがありますが、あまりに劇的な色の移り変わりに、畏れさえ感じたことを覚えています。
オパールの中にルビーのレッド、サファイアのブルー、エメラルドのグリーン・アメジストのパープルなどが集められ、入れ代わり立ち代わり輝いているかのようでした。
冒頭でお伝えしたプリニウスが「カラーストーンがもつ色が凝縮されている」と表現したことに共感せざるを得ません。
素敵なオパールに出会うための参考になれば嬉しく思います。
カラッツ編集部 監修