突然ですが、皆様は沢山あるカルセドニーの中で、どれが好きでしょうか?
カルセドニーはクオーツの一種ですが、実に多くの種類が存在しますよね。
半透明から不透明のものまで様々で、色や模様もそれぞれ異なります。ひとつずつの個性が強いので、ついつい深く知ってみたくなる宝石ではないでしょうか。
カルセドニーとはどんな宝石?それぞれの名前の意味やおもな種類とは?
今回は、知れば知るほど世界が広がる、とっても奥が深い宝石カルセドニーについてお伝えしていきたいと思います。
カルセドニーとは?
カルセドニーは多結晶質の石英(クォーツ)です。
まずクォーツといえば、ロッククリスタルやアメジスト、シトリンなど透明な鉱物を思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかしカルセドニーはそれらとは異なり、半透明から不透明をした鉱物です。
同じ石英(クオーツ)なのにどうして外観が大きく異なる鉱物が生成するのでしょうか?
それは、まずカルセドニーは潜晶質という結晶構造をもっていることが影響しています。
実はクオーツの内部には、顕微鏡でしか見えない、と~っても繊細な結晶があるのです。
そして、これらの微小な結晶が網目のように細かく集まり、しっかりと固まることで出来上がった鉱物が「カルセドニー」なのです。
またカルセドニーは色が均一なものから縞模様や木の枝や苔に似たインクルージョンを見せるものまで、実に種類が豊富です。
彫刻が施しやすいため、古来から装飾品やカメオなどに加工されていることでも知られています。
鉱物としての基本情報
カルセドニーは、鉱物として以下の様な性質をもちます。基本的には結晶質のクオーツと同じです。
結晶系 | 三方晶系 |
化学組成 | SiO2 |
硬度 | 7 |
比重 | 2.57 – 2.70 |
屈折率 | 1.53-1.55 |
複屈折量 | 0.004 |
光沢 | ガラス光沢 |
カルセドニーの名前の意味
カルセドニーは、和名を玉髄(ぎょくずい)といいます。
英語のカルセドニー(Chalcedony)という名前は、ラテン語のカルセドニウス(Chalcedonius)という言葉を由来とします。
この言葉は、プリニー・ザ・エルダーによる「自然史」の文中に、半透明の宝石を現す名前として記されていたそうです。
また、ビザンチウム地域にあった古都カルセドン(Chalcedon)が由来だという説もあります。
カルセドニーの種類
カルセドニーを大きく分けると、
「アゲート」と呼ばれる縞模様があるのもの
「ジャスパー」と呼ばれる不透明なもの
そのどちらにも属さないもの
の3つに分けられます。
大きなくくりの中ではそのいずれも全てカルセドニーですが、変種として独自の名前をもつものも多くあります。
※独自の変種名がないものは、鑑別などで「カルセドニー」として扱われます。
では、主なものを幾つかご紹介していきますね。
アゲート
アゲートは主に火山岩中に塊状で発見され、鉱物を割ると内部で特有の縞模様を見せます。
アゲートという名前は、ギリシャ語の「Achates」に由来します。
この石を最初に発見したのがギリシャ人の哲学者で、シチリア島にあるAchates河のほとりで見つけたことから、こう名付けたられたといわれています。
独特の模様が馬の脳に似ていることから、和名では瑪瑙(メノウ)と呼ばれています。
アゲートはほかのカルセドニーとは違う、独特の模様をもつものが多いことも特徴の一つです。形や模様のバリエーションが多く、さらに以下の様な種類に分類されます。
▼アゲートについて詳しくは下記記事で
モスアゲート(苔めのう)
半透明または無色や白色、灰色の地色に、緑色をしたインクルージョンが苔や樹枝に似た模様をなしたものです。モスは苔という意味をもちます。
▼モスアゲートについて詳しくは下記記事で
ピクチャーメノウ
鉄の酸化物と水酸化物のインクルージョンなどを含み、木や風景のように見えるアゲートです。
染色処理が施されているものもあります。
ファイアアゲート
結晶内にある鉄酸化物の層により、虹色の油脂に似た独特のイリデッセンスを呈します。炎のような見た目から、こう呼ばれています。
ジャスパー(碧玉)
ジャスパーは、不透明なカルセドニーです。
赤色、褐色、黄色、緑色、帯灰青色やこれらの色が混ざったものなど、バリエーションが豊富です。
不透明で縞模様を見せるものや球状のものなどもあります。
名前は、「斑点のある石」という意味をもつ古代フランス語のjaspre、ラテン語のjaspidem、ギリシャ語jaspisなどが由来です。
代表的なジャスパーは、レッドジャスパー(赤碧玉)、イエロージャスパー(黄碧玉)、グリーンジャスパー(緑碧玉)、オビキュラージャスパー(球状ジャスパー)とブラッドストーン(血石)などです。
▼ジャスパーについて詳しくは下記記事で
3月の誕生石にも選ばれているブラッドストーンについて、少し詳しくご紹介しましょう。
ブラッドストーン(血石)
濃い緑色の地色に、血の色に似た赤斑点が見られるもので、ヘリオトロープと呼ばれることもあります。
グリーンの部分はクローライト(Chlorite/緑泥石)、血液のように見える赤い斑点はヘマタイト(hematite/酸化鉄)であると考えられています。
止血効果があると信じられたことから「ブラッドストーン」と名付けられたと伝わっています。
▼ブラッドストーンについて詳しくは下記記事で
上記以外のカルセドニーの変種
クリソプレーズ(緑玉髄)
アップルグリーンと呼ばれる緑色をした半透明の宝石で、カルセドニーの中では比較的高い価値が付けられているものが多いとされます。
緑色の起因はニッケルで、紫外線を浴びると色褪せしやすいという特徴をもちます。
名前は、ギリシャ語で黄金という意味のchrysosと、西洋ねぎという意味のprasonに由来して付けられたといわれています。
▼クリソプレーズについて詳しくは下記記事で
カーネリアン(紅玉髄)
半透明で赤色を帯びた橙色をしています。赤色は鉄酸化の不純物に起因するもので、うっすらとした色の層が見られることもあります。
名前の由来は諸説あり、一説に中世ラテン語のコーネリアン・チェリーのCornelに由来するというものがあります。
▼カーネリアンについて詳しくは下記記事で
オニキス(黒瑪瑙、縞瑪瑙)
カメオ彫刻などに用いられることが多い宝石として知られています。
オニキスという名前は、ギリシャ語で爪、立て爪の意味を持つ「onyx」が由来とされます。
白い縞模様が爪に似ているから名付けられたといわれています。
元々のオニキスは、黒色と白色の縞模様があるものを指しますが、現在日本で「オニキス」と呼ばれ流通しているものは黒一色のものが一般的です。
厳密にいうと、それらは「ブラックカルセドニー」になるのですが、あまりに「オニキス」=黒一色の石、というのが定着してしまったため、縞模様があるものもないものも「オニキス」として業界的にも認められているのが現状です。
▼オニキスについて詳しくは下記記事で
サード
特徴的な帯赤褐色を呈します。研磨したサードは半透明で色もまだらに広がっています。
ギリシャ語で茶色という意味の「Sard」が名前の由来とされます。
サードニクス(紅縞瑪瑙)
赤褐色と白色からなる縞模様のものをいいます。
▼サードオニキスについて詳しくは下記記事で
カルセドニーの偽物について
プラスチックやガラスなどで出来た人工石のビーズがカルセドニーの偽物として多く出回っていると聞きます。
発色や縞模様が均一過ぎるものや、透明感が高過ぎるものなどには注意が必要です。
また、偽物ではないですが、カルセドニーは全般的に別の色に染めて、違う種類として市場に出回ることも多いです。
例えば無色のカルセドニーを緑色に染めてクリソプレーズとして販売されているケースなどです。
一般的に行われている処理ですので、偽物という位置づけにはなりませんが、中には着色処理が施されている旨を開示せずに売っているお店もあるようです。
きちんと明記されて売っているものを分かった上で購入するのは良いですが、染色されたものを未処理もしくは別の石として知らずに買ってしまわないよう、信頼のおけるお店で買うなど注意してくださいね。
最後に
カルセドニーには、とても多くの種類があることが分かりました。そしてそれぞれがとても奥が深く独自の魅力をもった宝石です。
お手頃価格で手に入るものも多い印象ですので、ぜひお好みのカルセドニーを探してみて下さいね。
カラッツ編集部 監修