8月の誕生石サードオニキス|古代ローマで人気を博したその歴史とサードとの違い

サードオニキス ルース

サードオニキスは赤褐色などの地に白い縞模様をもつ宝石です。

丸いビーズ状に研磨され、ブレスレットなどに加工されることも多いですが、昔から芸術作品やカメオなどにも多く用いられ、長く愛されてきたという歴史もあります。

またサードオニキスとよく似たサードという宝石もありますが、この2つの違いは一体何なのでしょう?

今回はサードオニキスについて探ってまいりましょう♪

サードオニキス(サードニクス)とは?

サードオニキス ルース
サードオニキスは、多結晶質のクォーツ(石英)、カルセドニーの一種です。

サードニクス」「サードオニックス」などと呼ばれることもあります。

早速、鉱物としての基本情報から少しずつ深掘って見ていきましょう!

鉱物としての基本情報

英名 Sardonyx(サードオニキス、サードニクス)
和名 紅縞瑪瑙(べにしまめのう)
鉱物名 クォーツ(多結晶)
分類 珪酸塩鉱物
結晶系 三方晶系
化学組成 SiO2
モース硬度 7
比重 2.57 – 2.70
屈折率 1.53 – 1.55
光沢 ガラス光沢

薄褐色、濃褐色、赤褐色の地色に白い縞模様

産地

ブラジル、ウルグアイ、インド、インドネシア、アメリカ、中国、ドイツ、日本 など

サードオニキスとサードの違い

サード

冒頭でもお話したように、サードオニキスによく似たサードという宝石があります

この2つの違いは何かというと、

白い縞模様があるかどうか

です。

つまり、薄褐色、濃褐色、赤褐色の地色で半透明のカルセドニーがサード、サードに白い縞模様が入ったものがサードオニキスです。

ちなみにカルセドニーとは、多結晶質のクォーツ(石英)のことで、細かなクォーツ(石英)の結晶が網目状に集まり緻密に固まった、潜晶質と呼ばれる結晶構造をもつものを指します。

サードやサードオニキス以外にも数多くの変種が存在し、バラエティ豊かな宝石です

▼とっても奥の深いカルセドニーの世界は下記記事を参考に☆

カルセドニー ルース

とっても奥が深いカルセドニーの世界|名前の意味やおもな種類とは

サードオニキスの名前の意味

サードオニキス ルース
サードオニキスの名前は、ギリシャ語で茶色を意味する「sard」、縞、かぎ爪を意味する「onux」に由来するといわれています。

もともとは爪の根元にある半月形の白い模様のことを「onux」と呼んでおり、それが転じて、白い縞模様のあるカルセドニーを「onux」と呼ぶようになったのだとか。

サードの色合いに縞模様のオニキスが合わさって「サードオニキス」ということですね。

ちなみに、「Sard」には、古代ギリシアのリディア王国の首都サルディスに由来して名付けられたという説もあるようです

サードオニキスの歴史

カメオ

新約聖書の「都の城壁の土台を飾る12種類の宝石のひとつ」としても登場するサードオニキス。大変長い歴史があります。

サードオニキスのもつ美しい縞模様に魅せられ、特に古代ローマでは絶大な人気を博していたと伝わっています。

熱せられたワックスがサードオニキスには付着しないことから、ローマの紋章や印章(はんこ)、シグネットリング(印章や紋章を彫刻した指輪)などとしても重宝されたのだそうですよ。

また、層状で色相が違うという特徴を利用して、浮き彫りを施したカメオ、沈み彫りが施されたインタリオなどの装飾品としても、何千年もの間愛され続けてきました。

サードも古くからカメオやインタリオなどに使われていたといいますので、この2つの主張しすぎない、優しく愛らしい色合いが人々の心を癒していたのかもしれませんね。

サードオニキスは8月の誕生石

サードオニキス
8月の誕生石といえば、ペリドットが有名かと思いますが、2021年12月、全国宝石卸商協同組合により、サードオニキスもスピネルとともに「日本の8月の誕生石」に加えられました

サードオニキスの石言葉は「夫婦の幸福」「和合」「結婚運」などといわれています

ちなみにペリドットの石言葉も「夫婦愛」「夫婦の幸福」「豊穣」などといわれていますので似ていますね。

8月は夫婦の愛や幸福を確かめ合う季節と考えられていたのでしょうか。

アイアゲート(天眼石)とは?

Photo by : Mazur Travel / Shutterstock.com

オニキスの中で、目玉のように見える模様がある石を「アイアゲート」と呼びます

和名は「天眼石」といい、「天から降ってきた神の眼」という意味が込められているそうです。

昔のヨーロッパでは、模様を彫り出して「魔除けの目」として身に着けられていたといいます。

チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世もこのアイアゲートを愛用していたといわれ、ノーベル平和賞受賞時にも身に着けていたのだそうですよ。

最後に

サードオニキス ルース

古代ローマやギリシャ時代に人気を博したといわれるサードオニキス。

特にギリシャ神話の神々や英雄の彫刻が施されたカメオが好まれていたと言い伝えられています。

また日本には、出雲大社にまつられる御神体が巨大なサードオニキスでできているという云われがあります。ただ、実際、御神体は封印されており、真相は謎に包まれている・・・とも聞きますが。

神に通じるような神秘的なものさえ感じるサードオニキス。

今回いろいろ調べてみて、ずっと長い間、人々の暮らしに寄り添ってきたということがよく分かりました。これからは少し違った目線でサードオニキスを見てみたいと思います。

カラッツ編集部 監修