「宝石の王様」と呼ばれることも多いダイヤモンド。
その輝きは常に人類を魅了し、多くの人々を虜にしてきました。
ダイヤモンドの輝きは、カットにより生み出されます。
人類の長い歴史の中で、多くのダイヤモンドカッターがダイヤモンドの輝きをより美しく見せるために、悩み、試行錯誤を繰り返してきました。
その結果、数多くのカット方法が生まれ、現在ダイヤモンドの輝きを最も美しく見せるカットといわれているのが、「ラウンドブリリアントカット」です。
恐らく「ダイヤモンドと聞いて、多くの人がまず思い浮かべるであろう程、最も定番で、人気があるカットでもありますね。
今回は、そんなラウンドブリリアントカットダイヤモンドについて、その歴史や魅力をたっぷりお話していきましょう♪
目次
ラウンドブリリアントカットはどんなカット?
ダイヤモンドのカットはプロポーションと、仕上げの度合いが大切で、カットの良し悪しがダイヤモンドの輝きを左右するといわれます。
カット方法によっても引き出される輝きは異なり、ダイヤモンドが見せる表情も変わります。
ラウンドブリリアントカットの多くは「ファセット」と呼ばれる研磨面が58面あります。
※中にはキューレットがないものもあり、それらはキューレットを除いた57面で構成されています。
その構成は、大きく分けると「クラウン」と「パビリオン」の二つに分かれます。
クラウン
ダイヤモンドを側面から見て、ガードルから上の部分がクラウンです。
テーブルファセットと呼ばれる平らで一番広い面は上から光を集める働きをします。
テーブルファセットを囲むようにして、8つのベゼルファセット、同じく8つのスターファセットがあり、更にその周りに16のアッパーハーフファセットがあり、それら33面で「クラウン」を構成しています。
パビリオン
一方、ガードルから下はパビリオンと呼ばれます。
パビリオンは、16のロワーハーフファセットと、8つのメインファセット、そして一番下の尖ったように見えるキューレットで構成されます。
パビリオンはクラウンを通して、光を反射させる作りになっているそうです。
ラウンドブリリアントカットはどのようにして生まれたのか?
ラウンドブリリアントカットが誕生するまでにとても長い年月が掛っています。
その間多くのダイヤモンドカッター達が技術を磨き、そしてその技術を後世に繋ぎながら、少しずつ発展していったのだと思います。
果たしてどういった経緯で生まれたのか。その歴史を紐解いてみましょう。
最初のダイヤモンドのカットは?
ダイヤモンドのカットの歴史は、紀元前800年のインドから始まったとされています。
初めは半円形のカボッションカットだったと伝えられています。
それをお守りのように身に着け、わずかな輝きを楽しむためのものだったのかもしれません。
さまざまなカットが生まれた中世
ダイヤモンドはその硬さから、長い間、研磨をすることができなかったといわれています。
この世で一番硬い鉱物とされていましたから、それを研磨する方法を知り得なかったからなのでしょう。
しかし、ダイヤモンドの研磨方法が発見されたことにより、色んなカット方法が考案されるようになります。
14世紀から16世紀にかけては「いかに宝石を輝かせるか?」という研究が進みました。
そして16世紀になって、表面を三角形にカットしたローズカットが生まれました。
その後ローゼンツカット、テーブルカットなど新しいカットが登場。
ローゼンツカットを元に、スクエアカットなども完成しました。
カットの開発がさかんになった近代
ダイヤモンドの新たな鉱山の発見、それに伴う流通量の増加などにより、カットの開発が更に盛んになったのが17世紀頃だといわれています。
ブリリアントカットの原型といわれるマゼランカットが発明されたのもこの頃だそうです。
そして、17世紀末から18世紀初めには、クラウンとパビリオンを持つカットが登場します。
正方形に近いフォルムに58面体のファセット(研磨面)を持つオールドマインカット(別名:オールドクッションシェイプブリリアントカット)と呼ばれるカットです。
更にそれを発展させたヨーロピアンカット、続いてサーキュラーブリリアントが発明され、現在のラウンドブリリアントカットに少しずつ繋がっていきます。
時が経つにつれ、テーブルファセットが広く、キューレットは小さく、ロワーハーフファセットは長くなっていきました。
20世紀、ついにラウンドブリリアントカットが完成
そして1919年、ベルギーの数学者で宝石職人でもあるマルセル・トルコフスキーにより、ダイヤモンドの光学特性に基づいて計算された「ブリリアントカットのプロポーション」が発表されました。
ダイヤモンドの反射・屈折率などの光学特性を数学的に考慮し、ダイヤモンドが最も美しく輝くプロポーションを割り出したものでした。
そしてこのブリリアントカットをもとに、ついにラウンドブリリアントカットが誕生しました。
ちなみに、同じ時期に、ペアシェイプ・ブリリアントカットやハートシェイプ・ブリリアントカットなども同じ理論を元に発明されたといわれています。
また、マーキスカット、プリンセスカットなども20世紀に誕生したといわれるカットです。
ラウンドブリリアントカットの価値基準
では、ランドブリリアントカットの良し悪しを判断する基準とは何なのでしょうか?
その指標となるものに、鑑定書のカット評価があります。
ダイヤモンドの鑑定書にカット評価が入るのは、ラウンドブリリアントカットだけです。
カット評価は「カット(プロポーションなど総合評価)」「ポリッシュ(研磨の仕上がり)」「シンメトリー(対称性)」の3点で評価されます。
そして、それぞれ次の5段階で階級付けされます。
excellent(エクセレント) | 最高級 |
verygood(ベリーグッド) | とても理想的 |
good(グッド) | 理想的 |
fair(フェアー) | やや劣る |
poor(プアー) | 劣る |
なお、カット評価に加え、付加価値高く評価されるのが「トリプルエクセレント」と「ハート&キューピッド」です。
婚約指輪としても、人気がありますよね。
では、その二つの特徴についてご説明しましょう。
トリプルエクセレント
トリプルエクセレント(略して3EX)は、カット評価の要素すべてに最高グレードの「エクセレント」がついた石を指します。
カット評価の要素とは、つまり、カット、ポリッシュ、シンメトリーの3点です。
それらの3点全てにおいて「エクセレント」と評価されたものを「トリプルエクセレント」というのですね。
しかし、3EXというグレードがある訳ではなく、鑑定書に表記されない場合もありますのでご注意下さいね。
ハート&キューピッド
ハート&キューピッドとは、ダイヤモンドを顕微鏡で見た時に、テーブル側に8つの矢(キューピッド)、パビリオン側に8つのハートが現れるものを指します。
対称性に優れた、バランスの良いカットにしか現れないため、高く評価されています。
カットとして素晴らしいうえ、「ハートを射止める輝き」という意味でもとても人気があるようです。
ラウンドブリリアントカットの魅力
ラウンドブリリアントカットの最大の魅力は、なんと言っても「輝き」ですよね。
ダイヤモンドの輝きを決めるのに、三つの要素があるといわれています。それについてもご紹介しましょう。
輝きを決める三つの要素
ダイヤモンドの輝きは、ブリリアンシー、ディスパーション(ファイア)、シンチレーション、の三つの要素の相乗効果から成り立つといわれています。
ブリリアンシー(ブリリアンス)
クラウンに入った光が、石の下まで届き何度も屈折して、再びクラウンに出てくることを「ブリリアンシー」または「ブリリアンス」と呼びます。
ディスパーション(ファイア)
内部に入った光が、プリズム効果で七色に分散されて輝くことを指します。
ディスパーションとは、「分散する」という意味だそうで、一般的にファイアとも呼ばれていますね。
シンチレーション
スパークルとパターンと呼ばれる二つの要素から構成されるシンチレーション。
スパークルとは、ファセット面から入った光がフラッシュのようにチカチカと輝く効果のこと。
そしてパターンは、光の反射によってできる明暗のコントラストやその配置・大きさのことをあらわします。
ラウンドブリリアントカットの指輪を選ぶ時のポイント
婚約指輪として選ばれる石で、圧倒的に多いのがラウンドブリリアントカットダイヤモンドではないかと思います。
そして婚約指輪など特別なものを選ぶ際には、多くの方が鑑定書に記載される4Cを考慮するのではないでしょうか。
カラー(色)、クラリティ(透明度)、カット(研磨)、カラット(重量)のうちどれを一番に優先させるべきか?迷われる方も多いかもしれません。
個人的には、「カット」が最も重要ではないかと思います。
その理由は、冒頭でお話したとおり、カットの良し悪しが、ダイヤモンドの輝きを大きく左右するからです。
そういった観点からいくと、先ほどお話した「トリプルエクセレント(3EX)」や「ハート&キューピッド」のダイヤモンドは、カットが美しいと評価されたものですので、婚約指輪としてもオススメですね。
両方がついている場合もありますので、それがカットとしての最高評価といえるかもしれません。
予算もあるとは思いますが、予算が許す限り良いものを選んで頂くと、それだけダイヤモンドの輝きを楽しめるのではないかと思いますよ♪
ラウンドブリリアントカットダイヤモンドのジュエリー
では、実際ラウンドブリリアントカットを使用したダイヤモンドのジュエリーにどんなものがあるか、ダイヤモンドの品質に定評のある、2つのハイブランドのダイヤモンドジュエリーをご紹介しますね。
ハリーウィストン
「同じダイヤモンドはひとつとしてありません」と語った創始者ハリー・ウィンストン。
ひとつひとつのダイヤモンドが本来もっている輝きを最大限に引き出すことを心がけ、高い美意識とクラフトマンシップが今も息づいています。
「キングオブ・ダイヤモンド」と称される、世界中の人々が憧れるハイジュエリーブランドです。
ハリーウィストンでご紹介するのは、ラウンド・マイクロパヴェ・ペンダントです。
出典元:ハリーウィンストン公式サイト |
センターストーンの周囲を繊細に輝くダイヤモンドを、ひとつひとつ丁寧にセッティング。
マイクロパヴェの繊細な輝きが美しい、ハリーウィストンを代表するデザインのペンダントです。
画像の商品のセンターストーンは1.0ct台。0.7ct台から取り扱いがあります。
ティファニー
美への探求心が強く、ダイヤモンドに対して並々ならぬ情熱をもっていたといわれる、ティファニー創始者のチャールズ・ルイス・ティファニー。
世界各国の王室や大統領夫人、女優など多くのセレブリティから愛されるジュエラーです。
ティファニー® セッティング エンゲージメント リング プラチナをご紹介しましょう。
出典元:ティファニー公式サイト |
ティファニーが誇る至高のデザイン「ティファニーセッティング」。
まるで6本の爪が消えてしまったかのように、ラウンドブリリアントカットダイヤモンドを指輪の上の光の中に浮かび上がらせます。
計算された完璧な仕上がりを誇る、130年以上世界中で愛され続けるデザインです。
画像の商品のダイヤモンドは2ctです。0.25ctから取り扱いがあります。
最後に
ラウンドブリリアントカットダイヤモンドの魅力について、お伝えしてまいりました。
ダイヤモンドの輝きを最大限に引き出すべく、何百年も研究を重ねて出来上がったものがラウンドブリリアントカットだったのですね。
「宝石の王様」と呼ばれるダイヤモンドですが、現在の宝石市場の流通量の約7割程度を占めているといわれているようです。
今も昔も、どれだけの多くの人々がダイヤモンドに魅せられてきたかを覗い知ることができますね。
ため息が出るほど美しい、ラウンドブリリアントカットダイヤモンド。
その輝きのヒミツが少しでも多くの方に伝わると嬉しいです。
カラッツ編集部 監修