ダイヤのインクルージョン(内包物)ができる理由と種類を知りたい!
ほとんどのダイヤモンドは、内部に個性的なインクルージョンを持っています。この世に全く同じダイヤモンドは存在しないというほど、インクルージョンの種類や場所によって個性が変わります。
ダイヤモンドには、なぜインクルージョンができるのでしょうか。そしてどんな種類があるのでしょうか。こちらでは、ダイヤモンドのインクルージョンができる原因と、インクルージョンの種類についてご説明していきます。
目次
- ダイヤモンドにインクルージョンができるのはなぜ?
- インクルージョンの種類
- チップ(Chip/Ch)
- ピンポイント(Pinpoints/Pp)
- クラウド(Cloud/Cld)
- クリスタル(Crystal/Xtl)
- フェザー(Feather/Ftr)
- ニードル(Needle/Ndl)
- トゥイニング・ウィスプス(Twinning Wisps/W)
- クリベージ(Cleavage/Clv)
- グレインセンター(Grain Center/GrCnt)
- 内部グレイニング(Internal Graining/IntGr)
- ブルーズ(Bruise/Br)
- ベアデッドガードル(Bearded Girdle/BG)
- ノット(Knot/K)
- インデンテッド・ナチュラル(Indented Natural/IndN)
- キャビティ(Cavity/Cv)
- レーザードリルホール(Laser Drill Hole/LDH)
- まとめ
ダイヤモンドにインクルージョンができるのはなぜ?
ダイヤモンドの原石は、地中の奥深くのマグマの近くで、数千年以上もの長い歳月の間、高温と高圧に耐えながら成長します。
長い成長過程の間に、衝撃が加わったり、ひびや曇りが生じたり、結晶が歪んだりした結果、結晶内部に欠点ができてしまいます。偶然ほかのクリスタルが混入したりするものもあり、内包物の種類もさまざまです。
またこういった天然のインクルージョンのほかに、カットや研磨時、天然インクルージョンを除去する際などにできる、人工的なインクルージョンなども見られます。
インクルージョンの種類
出典元:http://tappers.com/ |
チップ(Chip/Ch)
表面に何らかの衝撃が与えられてできる、浅くて小さな開口部分です。ファセット、ガードル、キュレットの境界線に見つかります。
ピンポイント(Pinpoints/Pp)
非常に小さい点状のクリスタルです。通常は白か黒色をしており、10倍ルーペで確認できます。
クラウド(Cloud/Cld)
微細なピンポイントが多数集まり、雲(クラウド)のように見えるものです。
クリスタル(Crystal/Xtl)
原石の内部に赤いガーネットや緑のペリドットなどの結晶が入り込んだものです。無色ダイヤモンドや黒い炭素が発見される場合もあります。
フェザー(Feather/Ftr)
内部にヒビや欠けが生じたもので、光を受けると白い羽根(フェザー)のように見えるものです。ヒビが大きいと割れる心配があるので注意です。
ニードル(Needle/Ndl)
針(ニードル)のように細長く、透明~白色をしたものです。ニードルが多いと透明度が低くなります。
トゥイニング・ウィスプス(Twinning Wisps/W)
原石の成長過程で何かしらの不都合が生じて成長が一時的にストップすると、再度成長が始まった時には別の方向を向いて成長してしまいます。
その結果歪みが生じ、双晶面や曇りが発生します。クリスタルやフェザー、ピンポイント、クラウドなどの内包物が混ざることが原因です。
クリベージ(Cleavage/Clv)
結晶内の原子の結合力が弱いことが原因で生じる、ひび割れです。
グレインセンター(Grain Center/GrCnt)
結晶構造中にひずみが生じ、白~暗い色をしたものが見られます。糸状やピンポイント状の内包物を伴うことが多くあります。
内部グレイニング(Internal Graining/IntGr)
成長過程で結晶に何らかの不規則が生じたために、内部に薄いラインや乳白色などの色が発生したものです。
ブルーズ(Bruise/Br)
外部からの強い衝撃によって発生したくぼみや欠けで、ファセットの境界線近くに多く見られます。フェザーに覆われたものもあります。
ベアデッドガードル(Bearded Girdle/BG)
原石をカットするときにできる、フェザー(羽)状の内包物。ガードルから内部に向けて伸びますが、多い場合はスクラッチ状に見え、やや灰色味が増します。
ノット(Knot/K)
研磨をすることにより、内部に存在した無色のクリスタルが表面に現れたものです。
インデンテッド・ナチュラル(Indented Natural/IndN)
研磨をしたときに研磨機に触れることがなく、原石のままの地肌が残されたものです。ほとんどがガードル近くの内部に発見されます。
キャビティ(Cavity/Cv)
研磨時にインクルージョンを除去する際に表面にできる、大きな穴です。穴に汚れが溜まると黒味が増し、目立ちやすくなります。ダイヤのサイズを保つために削らずに残しておくことがほとんどです。
レーザードリルホール(Laser Drill Hole/LDH)
レーザー光線で内部のインクルージョンを除去するため、パビリオンから開けた穴が見られるものです。内部レーザードリリングでは、表面まで届くフェザーが生じます。
まとめ
インクルージョンはダイヤモンドの成長過程を表す、プロフィールのようなものです。インクルージョンの場所や数によっては、透明度や耐久性に影響が出ることがあります。鑑定書にはインクルージョンの場所や種類が詳しく記載されているので、購入前には必ず参考にしてくださいね。
カラッツ編集部 監修