ターフェアイトって、聞きなれない名前ですよね?
それもそのはず、世界の希少石トップ10に入る、知る人ぞ知るレア中のレアストーンなのです。
発見されたのは20世紀に入ってからとごく最近な上、ジュエリーとして流通することはごく稀なことから、一般的にはあまり知られていません。
今回は、そんなターフェアイトの歴史から特徴や産地、さらに価値についてなど、その魅力のすべてをお伝えしていきます。
目次
ターフェアイトの歴史
1945年の10月、アイルランドの首都ダブリンに住むエドワード・C・R・ターフェという人物が、馴染みの宝石商に標本を見せてもらいました。
ターフェ伯爵はオーストリア出身の宝石学者。
宝石商が古いジュエリーから取り外したという、オールドカットの宝石を大量に譲り受けていました。
そしてこの日、宝石商の標本箱の中から、クッションカットが施された『スピネル似の淡い藤色の宝石』を見つけました。
この宝石に興味を持ったターフェ伯爵は、早速鑑定を始めます。
すると、スピネル似のその宝石は
『スピネルに似ているものの、スピネルにはない複屈折を見せる』
ことが明らかになったのです。
新たな宝石の大発見かも!?
と驚いたターフェ伯爵は、早速宝石の標本をロンドンの研究所に送ります。
しかしこの時の鑑定の結果は、「この石がスピネルと異なるかどうかは不明」という残念なものでした。。
ところがその4年後、同様の結晶が発見され、ついにこの宝石が新種の石であることが決定付けられたのです。
ちなみに、このターフェアイト、最初は1.419カラットでしたが、0.55カラットにリカットして分析が行われました。
そして後に、ターフェ伯爵へ贈与されたそうです。
ターフェアイトの名前の由来
世界で初めて、この宝石が他のものとは違う新種であることを発見したのが、前述の通りターフェ伯爵です。
このことに敬意を表し、ターフェ伯爵の苗字『Taaffe』を由来とするターフェアイト(Taaffeite)と名付けられたそうです。
ターフェアイトの性質
結晶系 | 六方晶系 |
化学組成 | ベリリウム・マグネシウム・アルミニウム酸化物 |
硬度 | 8 |
比重 | 3.61 |
屈折率 | 1.719-1.723 |
複屈折率 | 0.004 |
光沢 | ガラス状 |
ターフェアイトの鉱物の特徴
出典元:http://www.civilminerals.com/ |
ターフェアイトの原石は炭酸塩岩に生成しますが、トルマリンやスピネル、フローライト、マイカ(雲母)などを伴います。
結晶は透明から亜透明で、形は沖積粒やプリズム(角柱)で発見されています。
ターフェアイトの色
最初に発見されたターフェアイトは、淡いふじ色のような紫でした。
紫色のほかにも、無色から赤、青、灰色味やピンク味を帯びたヴァイオレット、薄緑色をしたものなどが見つかっています。
ターフェアイトの産地
ターフェアイトはこれまでスリランカとタンザニアで見つかっています。中国でも採られていた記録が残っています。なお希少石であるターフェアイトは、データが少なすぎて産地鑑別までは至っていません。
ターフェアイトの希少性
ターフェアイトは極めてレアな宝石です。ジュエリーとして市場に流通することはほとんどなく、大抵は博物館やコレクションのためにカットされています。
世界中の宝石の中でも希少価値が高く、1カラット当たりの平均価格は1500ドル(約16万5千円)~2500ドル(約27万5千円)といわれています。
ターフェアイトは、世界のレアストーントップ10にランキング入りしているような希少な宝石。
産出量も少なく、最初に発見された後、世界でほんの一握りほどしか見つかっていないといいます。
最初に発見された3つのターフェアイト
では具体的にはどのくらい希少なのでしょうか?
まず、最初のターフェアイトの発見はターフェ伯爵が見つけた1945年でした。
2番目のターフェアイトが見つかったのは、4年後の1949年。ここまでは前述した通りですね。
そしてこの後、1970年代半ば頃までにもうひとつのターフェアイトが確認されます。
つまり。
最初の発見からおよそ30年もの間、世界中でターフェアイトと認められたものはたった3石だけだったというコトです!
驚きですね!
その後1980年までに10石が発見され、1983年頃には世界中で50石ほどがターフェアイトだと認められたそうです。
ちなみに発見された順番はこちら。
- 1945年、最初に発見された0.55カラット。現在はターフェ伯爵所有。
- 0.86カラット。ロンドン自然博物館所蔵。
- 0.84カラット。ニューヨークのGIAで鑑定後、所蔵されています。
大きなターフェアイト
ちなみに、スリランカのコレクターは、以下に挙げる大きなターフェアイトのルースを含む、多くのターフェアイトを所有しているそうです。
- 13.22カラットで薄紫色をしたオーバルカット、FLクラス。
- 10.13カラットで灰紫色をしたオーバルカット、SIクラス。
- 11.24カラットのピンク色をしたオーバルカット。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ターフェアイトという宝石は、宝石学者のターフェ伯爵がカット石に目を付けたことから、その存在が明らかになったのですね。
宝石との出会いって、本当に不思議だと思いませんか?
ただ、ターフェアイトは産出量が少なくサイズも小粒なことから、良質のルースを入手することは困難な宝石です。コレクターにとってはたまらない宝石かも。
もしも偶然見つけることがあったなら、是非とも手に入れてみたい宝石のひとつですよね。
カラッツ編集部 監修