光りを反射して真夏の太陽のように眩しい光沢を発するスフェーン。
ダイヤモンドよりも強力なファイアを放つ魅力的な宝石として、コレクターからの人気が高まっています。
一般的にはまだそれ程知名度が高くないとされるスフェーンですが、一体どんな宝石なのでしょうか。
こちらでは、スフェーンの特徴や産地から色やファイアの特質、そして価値についてなどをまとめてみました!
スフェーンの特徴

スフェーンは正式にはチタナイトという鉱物です。和名はチタン石またはくさび石と呼ばれています。
スフェーンという名前はギリシャ語の「sphenos(くさび)」という言葉を由来としています。※綴りには諸説あるようです。
原石の結晶が三角のくさび形をしていることから、このように名付けられたといわれています。
ダイヤモンドより強いファイアを放つのが特徴的で、色の種類も豊富です。
硬度が5と比較的柔らかいため、宝石としてカットされることは稀でした。
しかし最近、黄、緑、褐色のスフェーンがジュエリーに加工されることが出てきたためか、コレクターの注目度も上昇しているようです。
スフェーンの性質
結晶系 | 単斜晶系 |
化学組成 | カルシウム・チタン・珪酸塩 |
硬度 | 5-5.5 |
比重 | 3.48-3.60 |
屈折率 | 1.84-2.03 |
複屈折率 | 0.120 |
光沢 | 金剛光沢 |
スフェーンの産地
スフェーンの主な産地はブラジルとマダガスカルです。
ほかにも、オーストリア、カナダ、スイス、メキシコ、イタリア、ロシア、パキスタン、カナダ、米国、中国、ミャンマーなどで産出しています。
スフェーンのカラーバリエーション

スフェーンは黄色、褐色、赤色、緑色、灰色といった豊富なカラーバリエーションを呈する宝石です。
特に黄色や緑色のスフェーンは人気が高い種類ですが、これらの色は少量の鉄分を含むことに起因します。
スフェーンの原石は半透明から透明のものがありますが、透明のものは強い3色の多色性を示します。
さらに複屈折量が大きいことから、カットしたファセットの裏面が二重に見える効果を表します。
スフェーンのファイアについて

スフェーンは光の分散率が高く、ダイヤモンドよりも強いファイアを発します。
カットしたスフェーンを動かしてみると、外部から吸収した光を反射して、眩しいほどに強い光沢を発するのが特徴的。
光りの分散が大きいことから、ファセット稜線が様々な色に輝いて見えるのもスフェーンの魅力です。
スフェーンの価値

前述した通り、スフェーンの正しい名称はチタナイトという鉱物名ですが、一般的には宝石名「スフェーン」で呼ばれています。
チタナイトはチタンを含有することから、黒味を帯びた原石が多く見られます。
わずかな鉄分を含有することで美しい緑や黄色を呈しますが、鉄分が多すぎると黒や茶色の色味が濃くなります。
このため、実はジェムクオリティといえるスフェーンが産出されるのは大変稀なことです。
さらに硬度が5と低く、もろいため、宝石として加工するのは高い技術が必要となるのです。
産出量が少ないこととカットが困難なことから、宝石としてのスフェーンは貴重な存在であり、その分高い価値が付けられています。
まとめ

黄金色の輝きと豪華なファイアを見せるスフェーンは、最近コレクターの間で人気が上昇している宝石のひとつです。
ただ、柔らかい宝石なので、ジュエリーとして着用される場合には衝撃を与えないなど、取り扱いには十分注意してくださいね。
カラッツ編集部 監修