ソーダライトと聞いてもピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんね。
でも実は皆さんが恐らくよくご存じであろう宝石と関係があります。
その宝石とはラピスラズリ。
見た目も似ているこの2つの宝石にはどんな関係があるのでしょうか。
また、どうしてソーダライトという名前がついたのでしょう。
光ったり色が変わったりするっていう噂もあるけど本当?
今回はそんな不思議な宝石、ソーダライトについて解説したいと思います!
目次
ソーダライトとは?
ソーダライトは、ラピスラズリと共に「青い宝石」として紀元前から知られていたといわれている宝石です。
和名は「方ソーダ石」。
宝石としてのみ使用されている、数少ない鉱物のひとつだそうです。
まずはソーダライトの鉱物としての基本情報や、特徴などから見ていきましょう。
鉱物としての基本情報
英名 | Sodalite |
和名 | 方ソーダ石 |
分類 | アルミノ珪酸塩塩化物 |
結晶系 | 等軸晶系 |
化学組成 | Na4Al3Si3O12Cl |
比重 | 2.14 – 2.40 |
屈折率 | 1.48 – 1.49 |
モース硬度 | 5.5 – 6 |
光 沢 | ガラス光沢~油脂光沢 |
ソーダライトは種類としては準長石に分類されるそうです。
化学組成が長石に似ていることからなのだそうです。
特徴
ソーダライトの結晶は等軸晶系であるにもかかわらず、その多くは塊状で産出されており、表面には特有の白い脈模様があります。
紫外線を当てると、赤や黄色に蛍光するものもあり、神秘さをもった鉱物の一つではないかと思います。
色
正直ソーダライトといえば、不透明な青い石とばかり思っていました。
しかし他にも不透明の灰色や白、そして黒っぽいものもあるそうです。
そして実はそれだけではなく、もっと奥が深い宝石だったのです!
透明感のあるソーダライトもある事を、私は今回初めて知りました。
カナダのモン・サン・ティレールやナミビアからは透明度の高いソーダライトが産出されることもあり、それらはインペリアルソーダライトと呼ばれているそうです。
へー、ですよね。
また、ロイヤルブルーのサファイアかと思うような、透明度が高くて美しい青のソーダライトもあるのだとか。
さらに、タグトゥパイト(レッドソーダライト)と呼ばれる、ピンクからオレンジ色の変種もグリーンランドで発見されたことがあるといわれています。
どれも一度見てみたいですね!
産地
ソーダライトの主な産地は、ロシア・ドイツ・インド・カナダ・アメリカなどといわれています。
他にもブラジル・ナミビア・イタリア・ノルウェー・ボリビア・エクアドル・ルーマニア・グリーンランド・ミャンマーなどからも産出されるといいます。
私はスリランカの宝石店で、丸いビーズ状にカットされたソーダライトをよく見かけました。
色別に分けられ、長い糸に通されて連なっていました。
購入するときはメートル単位で、かなり安かったのを覚えています。
ソーダライト以外の半貴石も、色とりどりのビーズになって売られていましたよ。
当時は半貴石に全く興味が無かったし、1メートルものビーズの使い道がわからなかったので購入しませんでしたが、すごく安かったので買っておけば良かったなぁーと今になって後悔しています。
原石の形
前述したとおり、ソーダライトの結晶は等軸晶系です。
本来はひし形12面体や8面体なのですが、結晶体で産出されるのはとても稀だといわれています。
多くは先ほども触れたとおり、塊状で産出されているのです。
また準長石であるソーダライトは、シリカ(ケイ酸)に乏しい火成岩や接触変性を受けた石灰岩の中に含まれているそうで、日本のような酸性環境からは生まれないといわれています。
青いガラス状の鉱物の表面に、白い網目や脈模様が走っていて美しいことから、彫刻作品も数多く作られています。
割れやすい性質もあるので、熟練した技で彫られたそうですよ。
名前の意味
紀元前から宝石として使われていたソーダライトですが、その名前にはどのような由来があるのでしょうか。
「ソーダ」とは「ナトリウム」のことを指すのだそうです。
つまり、ナトリウムを多く含んだ鉱物ということでソーダライトと命名されたんだそうです。
ソーダライトは、ナトリウムと塩素を含むアルミノ珪酸塩鉱物なんですねー。
ちなみに、和名は前述の通り「方ソーダ石」ですが、和名にある「方」の意味は「等軸結晶系」の事なんだそうですよ。
ソーダライトとラピスラズリの関係
画像はラピスラズリ
では、冒頭でお話した、ラピスラズリとの関係についてお話していきますね。
ソーダライトとラピスラズリの外観はとてもよく似ています。
同じ等軸晶系の珪酸塩鉱物であるこの2つ、実はソーダライトはラピスラズリを構成する鉱物のひとつなのです。
そんな深い関係にあったんですねー。
では逆にその違いはどこなのでしょうか。
両者の大きな違いの一つは、ラピスラズリは粉にして青の顔料としても使われていますが、ソーダライトは粉にすると青色が消えてしまい、顔料にはできないという点です。
1600年代に活躍した画家フェルメールは、「フェルメール・ブルー」と呼ばれているラピスラズリの顔料を使った作品が多いことで有名です。
代表作の一つである「真珠の耳飾りの少女」に使われた印象的な青もラピスラズリの色だといわれていますよね。
ソーダライトもラピスラズリにそっくりなのに、顔料にならないなんて少し残念ですね。
ソーダライトの歴史
ソーダライトはラピスラズリと同じ位古くから産出され、同様に扱われてきたと考えられています。
実際古代文明のお墓などから出土されることもあるようですね。
古代エジプトでは邪悪なものから身を守ってくれる石と信じられており、魔除けや宗教的な目的で用いられることも多かったといわれています。
それから目の病気の治療や解毒剤として用いられていたこともあったのだとか。
鉱物にも歴史あり!ですね☆
光る変種 ハックマナイトとは?
ソーダライトの変種に「ハックマナイト」という蛍光性をもつ宝石があるのをご存知でしょうか。
これは、ソーダライトに硫黄が含まれたものだそうで、ブラックライトを5~10秒ほど当てると紫色に変わり、しばらく色が戻らないという性質があるというのです。
なんでも紫外線に反応して変色するということらしく、とても不思議な印象を与える石なんです。
この石を発見した人の名前がハックマンだったそうで、それにちなんで「ハックマナイト」と名付けられたそうです。
なお、「ソーダライトの特徴」のところで、ソーダライトの中にブラックライトで蛍光する種類があると紹介しましたが、蛍光性のあるソーダライト=ハックマナイトではありません。
その違いはというと、蛍光性のあるソーダライトはブラックライトを当てている間のみ蛍光するのに対し、ハックマナイトは光を遮断した後もしばらく色が戻らないところにあるといわれています。
面白い特性ですよね!
ソーダライトを買う前に知っておきたいこと
価値基準
ソーダライトの多くは不透明で白い網目状の模様がついていますが、全般的に青い部分が多い方が好まれる傾向にあるそうです。
中には透明度が高く、まるでサファイアのようなソーダライトもあり、珍重されているといいます。
透明なもの、ピンクやオレンジ色のもの、はっきりとした蛍光色を示すものなども、レアストーンとしてコレクターを中心に人気がありますね。
市場価格
ソーダライトは不透明なものであれば、1ct以上するものも数千円~見かけます。
透明度が高いものは、0.2ct程度でもクォリティによっては一万円前後するものもあります。
畜光性をもつ変種であるハックマナイトは、数千円~数万円位で販売されているものを見かけることが多い気がします。
どこで買える?
不透明なソーダライトはパワーストーンとして扱われることも多いと言いますが、日本ではそれ程多く市場に出回っている印象はありません。
宝石品質で透明度の高いソーダライトやハックマナイトは最近ルースの取り扱いの多いお店で見かけることが増えた気がします。
オンラインショップでも時々目にしますね。
ソーダライトのお手入れ方法
ソーダライトはモース硬度が5.5-6と高い方ではありません。
ぶつけたり、より硬度の高い宝石と一緒に保管して擦れあった時、傷が付いてしまう恐れがありますので注意して下さい。
熱に弱いため、高温になりやすい場所で保管したり近づけ過ぎたりしない方が安心です。
超音波洗浄機やスチーム洗浄機の使用も避けた方が良いです。
また、化学薬品などが付いたまま放置すると劣化する恐れもあるようですので、ジュエリーやアクセサリーとして身につける場合は、香水などが付かないよう、念のため身支度が済んでからつけるようにして下さいね。
最後に
ソーダライトは紀元前から青い宝石として人々に用いられてきました。
不透明で青色のものはラピスラズリに似ていますが、粉にすると青色が抜けてしまい、顔料にできないところが大きな違いですね。
私は不透明でビーズ状になったソーダライトしか見たことがありませんが、色々調べてみるうちに透明度の高いものや蛍光性のあるソーダライトも見てみたくなりました。
ソーダライトの変種であるハックマナイトも魅力的ですよね!
素敵な宝石と出会えますように!
カラッツ編集部 監修