最近街中などでアルコール消毒をする機会が増えましたよね。
指輪などのジュエリーをつけている場合、ふと「このまま消毒して良いか、外すべきか」と迷ったことはありませんか。
今回色々調べたところ、アルコールが付着しても問題ないかどうかは宝石や貴金属の種類によって異なるようです。
アルコール消毒液に弱いものもあり、種類によってはダメージを与えてしまう恐れがあるのですね。
あなたの大切なジュエリーを長持ちさせるために、アルコール消毒の際に外した方が良い宝石や貴金属についてご説明していきますね!
目次
アルコール消毒する時ジュエリーは外した方が良い?
アルコール消毒する際に指輪などの手元のジュエリーを外した方が良いかどうかというと、全般的に外したほうがベターだそうです。
ただ、一部を除き、多くの宝石は、多少のアルコールであればかかっても問題ないため過度に心配する必要はなさそうです。
貴金属も種類によっては問題ないとされています。
逆に言えば、種類によって注意が必要なものもありますので、どの宝石や貴金属がアルコールNGなのか覚えておくと安心かもしれません。
とは言え、もし誤って消毒液をつけてしまっても、すぐに柔らかい布やティッシュで拭き取り、アルコール成分を残さないようにすれば大丈夫な場合もありますので、焦らず対処するようにして下さいね。
では、アルコール消毒NGなものから順番に見ていきましょう!
アルコール消毒NGな宝石1:有機質の宝石
宝石の中でアルコール消毒液に注意すべき種類のひとつが、有機質のものです。
有機質の宝石とは、動物の器官や遺骸、植物の樹脂など自然界の生物や植物に起因してできたものを指します。
これらにアルコール消毒液が付着すると、品質が劣化してしまう恐れがありますので、指輪として身に付けている場合などは消毒する前に外すように心がけてくださいね。
なお、有機質の宝石は水洗いも禁物です。
もし誤ってアルコール消毒液が付いた場合には水洗いするのではなく、ティッシュや柔らかい布などで丁寧に拭き取ってあげましょう。
では代表的な有機質の宝石を幾つかご紹介しましょう。
真珠(パール)
真珠(パール)は母貝の体内で生成する宝石です。
カルシウムを主成分とし、熱・水・酸に弱いという特徴をもちます。
汗やほこりにも弱いほか、アルコール消毒液が真珠に付着すると、光沢が失われたり、黄色くなってしまう可能性があります。
真珠は一般的に過酸化水素で漂白されることが多くありますが、その結果脆くなることも多く、アルコール消毒液なども吸収しやすくなるので注意が必要です。
珊瑚(コーラル)
珊瑚(コーラル)は、深海で「サンゴ虫」という小さな生物が群体を作り生成したものです。
主成分は炭酸カルシウムで、真珠と同様に汗や酸に弱いという性質をもちます。
アルコール消毒液にも弱いため、付着すると劣化する恐れがあります。
珊瑚にも漂白や染色が施される場合があります。
特に染色したものは、アルコール消毒液に触れることで染料がはがれ落ちる恐れがあるので、使用は避けてください。
琥珀(アンバー)
琥珀(アンバー)とは、太古の時代に樹木から樹脂が流れ出し、長い年月を経て地層の中で化石化したものです。
酸に弱く、アルコール消毒液に触れると変色する恐れがあるそうですので、付着しないように注意しましょう。
このほかにも長時間光にさらすと変色する、低温でも燃える、衝撃に弱いといった性質をもちます。
その他の有機質の宝石
そのほか、
べっ甲(ウミガメの甲羅)、象牙(ゾウの牙)、アンモライト(遊色効果を見せるアンモナイト)、ジェット(化石化した樹木)など。
も有機質の宝石です。
アルコール消毒NGな宝石2:多孔質の宝石
多孔質とは表面に微細な穴が空いている性質を指します。
顕微鏡でも見ることが困難なほど小さな穴なので、肉眼で確認することはほぼ出来ないと思います。
多孔質の宝石は水分を吸収しやすいため、アルコールなどの化学薬品が付着すると中に染み込み成分が残り劣化の原因になりかねません。
そのため付着しないよう注意が必要です。
誤って付いてしまった場合は、ティッシュや柔らかい布で丁寧にふき取ってくださいね。
では多孔質の宝石についても代表的なものを幾つかご紹介しましょう。
オパール
オパールは、シリカゲルが硬化して出来たと考えられている非晶質の宝石です。
肉眼では見えないほどの超微粒のシリカ球が何十億も積み重なって層を作り出来上がったものといわれています。
そのため石の表面には細かい穴が無数に空いており、水分を吸収しやすいという性質をもちます。
付着したアルコール消毒液などを吸収してしまうと、石の中に成分が残ってしまう恐れがあります。
表面にダメージを与えたり、ヒビ割れが生じる恐れもあり、さらにヒビからばい菌が侵入し、石の内部で成長する可能性も考えられるとのこと。
指輪など消毒液がかかりやすいものは、使用前に外すようにしましょう。
ターコイズ
ターコイズは、酸性で銅が含まれた地下水とリン、アルミニウムを含んだ鉱物が混ざり、微粒子状の結晶集合が塊となって生成したものです。
そのため水分を吸収しやすく、酸にも弱いという特徴をもち、汗や皮脂などが付いたままにしただけで変色するほどデリケートな宝石です。
化学薬品にも弱く、アルコール消毒液も例外ではありません。
更にターコイズは耐久性を上げるため樹脂含浸や染色などの人工処理を施す場合が殆どです。
処理に用いた薬品や染料などがはがれ落ちる可能性もありますので、アルコール消毒液を使用する際は十分に注意して下さいね。
アルコール消毒NGな宝石3:そのほか
無数の結晶粒が集合することで生成する多結晶質の宝石の中にも幾つかアルコール消毒液を避けた方が良いものがあります。
多結晶質の宝石の中には、集まった結晶粒同士の隙間ができるものもあり、これらの隙間は肉眼では確認できないほど小さいそうです。
隙間があることで、染料が染み込みやすく着色には向いていますが、アルコールなどの化学薬品が染み込むと劣化の原因になりかねません。
アルコール消毒する際、念のため指輪などは外した方が無難です。
特に注意が必要なものをご紹介しましょう。
ラピスラズリ
ラピスラズリは、複数の鉱物が混ざり合って生成する多結晶質の宝石です。
群青色に真鍮色のパイライトを含んだものなどは、夜空に星が煌めくような印象を醸し出し人気があります。
ラピスラズリは、結晶構造上、表面にざらつきが見られるものが多く、そこからアルコール消毒液が染み込んでしまう恐れがあります。
消毒液使用前は指輪などは外した方が無難です。
マラカイト
マラカイトは、空気中に溶け込んだ二酸化炭素や地下水によって風化した銅鉱石で生成した宝石で、グリーンの地色に独特の模様を描いています。
多結晶質であるため、結晶構造により微細な隙間が空いているものがあります。
そのため柔らかくて水に溶けやすいため、他の鉱物とも混ざりやすい特徴をもちます。
マラカイトに付着したアルコール消毒液も染み込みやすく、表面の光沢を失われるなどの影響が考えられますので、注意が必要です。
避けた方が良い宝石
前項で述べたもの以外にも注意が必要な宝石はあります。
例えば、含浸処理やワックス処理、着色処理などが施されている宝石もアルコール消毒液によって影響が出る恐れがありますので、使用の際は念のため外した方が良いでしょう。
これらもアルコール消毒液が付いてしまったら、柔らかい布やティッシュで優しくふき取るだけにしてください。
これらの人工処理が一般的に施される宝石についても一部ご紹介しますね。
エメラルド
エメラルドはもろくてひび割れが生じやすいため、通常はオイルによる含浸処理が施されています。
アルコール消毒液が付着すると、エメラルドに浸されたオイルが乾燥してしまう恐れがあります。
その結果、エメラルドの色や透明感が失われる可能性が生じるので、使用の際は指輪などは外すようにしましょう。
翡翠(ジェダイト)
通常ほとんどの翡翠には染色や漂白処理、ポリマー(含浸)処理、ワックス加工などが施されています。
そのため、これらにアルコール消毒液が付くと染料や薬品が剥がれるなど人工処理を施した部分が影響を受ける恐れがあります。
品質が低下する可能性が考えられますので、消毒液がかからないよう注意が必要です
カルセドニー
カルセドニーはクォーツの仲間で、繊細な結晶が集まった潜晶質集合体です。
多結晶質の宝石ではありますが、ラピスラズリやマラカイトに比べると比較的安定しており、取り扱いやすい宝石です。
但し、カルセドニーは着色処理されることが多いため、これらはアルコール消毒液によって色がはがれ落ちたりする可能性が考えられます。
全てのカルセドニーに処理が施されているわけではありませんが、処理の有無が分からないものもあるため、アルコール消毒液使用の際は指輪などは外した方が無難です。
アルコール消毒OKな宝石
上記で紹介した種類(有機質・多孔質・多結晶質・処理石)以外の宝石は、一般的にはアルコール消毒液によって影響が出ることは少ないとされています。
例えば、ダイヤモンド、サファイア、ルビー、クォーツ、ガーネット、トパーズ、トルマリンなどは、アルコール消毒を使用しても大丈夫といえます。
とは言え、念のため過度には付けないようにした方が良いと思います。
心配な方は、どんな宝石であっても使用前に外したほうが無難だと思いますし、皮脂汚れを取るためにも、ジュエリーを外した後に柔らかい布で拭き取ってからしまうよう習慣づけるとより安心だと思います。
また、中性洗剤や石鹸を溶かしたぬるま湯で、軽く洗い流すこともオススメです。泡分をキレイに洗い流したら、柔らかい布でしっかりと乾燥させてから保管してください。
※宝石によって水や中性洗剤がNGのものもあります。詳細はコチラの記事で
宝石の輝きも保ちやすくなりますよ☆
貴金属はOK?NG?
次に貴金属についてもご紹介します。
貴金属は、プラチナとイエローゴールドは大丈夫ですが、それ以外の素材は品質に影響を及ぼす恐れがあるそうです。
非アルコールの消毒液でも反応する素材があるといいます。
使用可の素材であっても、念のため着用後は柔らかい布で拭いたり、中性洗剤や石鹸を溶かしたぬるま湯で洗ってから保管した方が美しさを長持ちさせることができるためオススメです。
貴金属の素材別に、消毒液による反応の仕方をご説明しますね!
プラチナ
プラチナはアルコール消毒液による影響を受けにくい素材といわれていますので、着用したまま使用しても大丈夫です。
イエローゴールド
イエローゴールドは変色や摩擦を引き起こす膜や層が無い素材といわれています。
アルコール消毒液によるダメージを受けにくい貴金属ですので、こちらも着用したまま使用しても大丈夫です。
ホワイトゴールド
ホワイトゴールドは消毒液による影響を受けやすい素材といわれています。
ホワイトゴールドは、純粋なゴールドにニッケルやシルバー、パラジウムなどを混ぜ合わせて作る合金です。
また、表面にロジウムコーティングを施すことも多く、消毒液を頻繁に使用すると、摩擦や変色が早まり、施されたコーティングが剥がれてしまう恐れがあるといいます。
それ程神経質になる程ではないと聞きますが、心配な方は念のため、外した方が良いかもしれません。
ピンクゴールド(ローズゴールド)
ピンクゴールドも消毒液による影響を受ける恐れがあるといわれています。
ピンクゴールドはゴールドに銅などを加えてピンク色にしたものです。
消毒液に含まれる化学物質が銅成分に反応するため、頻繁に使用すると色に影響が出る恐れがあるのだとか。
こちらも心配な方は念のため、外した方が良いかもしれません。
スターリングシルバー
シルバーは、消毒液を使う際最も気を付けた方が良い貴金属だそうです。
特にシルバーの場合、非アルコール系の消毒液に含まれるクロライン(塩素)にも反応するといわれています。
アルコール系の消毒液でなくても変色したり品質が劣化してしまう恐れがあるそうですので、使用時は念のため外した方が良いでしょう。
※参考サイト:https://jhyoung.com/will-hand-sanitizer-damage-rings/
最後に
アルコール消毒液が付いても大丈夫な宝石や貴金属はありますが、あまり頻繁に使用すると、消毒液の残留物がジュエリーに付いたままになってしまう可能性もあります。
心配な場合は、消毒する際には出来るだけジュエリーを外す、着用後には軽くクリーニングをするといったことなどを習慣付けると良いでしょう。
消毒液がNGな宝石の場合には、外したジュエリーはバッグに入れるなどして、落としたり紛失したりしないように注意してくださいね。
カラッツ編集部 監修