オレンジやレッドのガーネットにヘソナイトと呼ばれるものがあります。
グロッシュラーガーネットの一種とされるヘソナイトガーネットは、古代ギリシャやローマ時代から何千年もの長きに渡って愛されてきました。
今回はそんな歴史ある宝石の一つ、ヘソナイトガーネットについてお話ししたいと思います!
ヘソナイトガーネットとは
ヘソナイトガーネットとは、グロッシュラーガーネット【和名:灰礬石榴石(はいばんざくろいし)】の一種で、オレンジカラーやレッドカラーのガーネットのこと。
オレンジガーネットと呼ばれることもありますが、正式名称はヘソナイトガーネットです。
マンガンと鉄が含まれることで、イエローやオレンジ、褐色を発色すると考えられています。
かつて赤みがかったオレンジのものをシナモン・ストーン、ブラウンがかったオレンジのものをジャーシンス(またはヒヤシンス)と呼ばれていたこともあったといいます。
しかしながら、この名前はサファイアやジルコンなどの他の宝石にも使われ混同されてしまうことがあり、現在では使われなくなりつつあるそうです。
高品質とされるヘソナイトガーネットは、明度の高いゴールデンカラーのオレンジで、はちみつ色にオレンジカラーを合わせたような色合いです。
内包物が比較的多い宝石なのですが透明度の高いもの程、高品質とされます。
ヘソナイトガーネットの意味
ヘソナイトガーネットの名前はギリシャ語のhesson(エッソン)に由来するといわれています。
意味は「劣る」や「数字が低い」なのですが、ヘソナイトガーネットが他のガーネットと比べると、硬度や屈折率が低く、若干柔らかいことから名付けられたのだそうです。
ヘソナイトガーネットの産地
ガーネットは世界各国で産出していますが、ヘソナイトガーネットはスリランカ、アメリカ、カナダなどが主な産出地となっています。
ヘソナイトガーネットとマンダリンガーネットの違い
ヘソナイトガーネットは同じオレンジの色合いから、しばしばマンダリンガーネットと混同されてしまうことがあるといいます。
この二つのガーネットの大きな違いは鉱物種。同じガーネットでも化学組成式、つまり成分が異なります。
ヘソナイトガーネットはグロッシュラーガーネットであるのに対し、マンダリンガーネットはスペサルティンガーネットです。
ヘソナイトガーネットとマンダリンガーネットを肉眼で見分けるには、2つのポイントがありますので、順番にご説明しますね♪
1.色を見比べる
ヘソナイトガーネットとマンダリンガーネットの二つを肉眼で見分ける場合、まずは色を見比べます。
ヘソナイトガーネットの多くは、濃いめのレッドや茶褐色、そして落ち着いたオレンジカラーです。
一方のマンダリンガーネットはヘソナイトガーネットと似たようなレッドやオレンジでも、より明るめのものが多く、鮮やかな色合いが中心です。
なのですが、高品質なヘソナイトガーネットの場合、ゴールデンカラーの明るく鮮やかなオレンジもあり、個体によってぱっと見では見分けがつきにくいものもあります。
2.インクルージョン(内包物)を見る
色で見分けるには難しい場合は、内包物(インクルージョン)を見ます。
ヘソナイトガーネットには、特徴の一つである「糖蜜状組織(トリークル)」と言われる内包物が確認できます。
糖蜜状組織とは、
水の中に濃度の高いシロップや蜂蜜を流し込む際に出来る、色むらのような不均一な組織のこと
で専門家は「スタビー結晶インクルージョン」ともいいます。
画像にあるもやもやっとした内包物が糖蜜状組織です。
この内包物は、宝石品質のものであるほど確認しにくいのですが、これが確認出来たらヘソナイトガーネットで間違いありません。
最後に
他のガーネットと比べると比重や硬度、屈折率が低く、そのせいで「劣る」といった意味の名前が付けられたヘソナイトガーネットですが、落ち着いたオレンジカラーやレッドカラーはシックで、とても魅力のある宝石です。
特に糖蜜状組織のインクルージョンはユニークなので、ガーネット種の中でもマニアックな宝石と位置づけられ、コレクター人気も高いようですよ。
透明度の高いヘソナイトガーネットは美しく、希少石として扱われます。
少し落ち着いた色合いのオレンジ系の宝石をお探しの方には特に、ヘソナイトガーネットはお気に召していただけるのではないかと思います♪
カラッツ編集部 監修