濃く赤い色合いが特徴的なパイロープガーネット。
ガーネットと一口に言っても、実は種類の多い宝石であることをご存知でしょうか?
今回はそんなガーネットの中でも赤色が美しいパイロープガーネットをご紹介したいと思います!
目次
ガーネットとは?

パイロープガーネットの説明をするためにまずは簡単にガーネットについてお話ししたいと思います。よくご存じという方は飛ばしてくださいね。
ガーネットというと赤い石を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、実は色も種類も豊富な宝石です。
それもそのはずガーネットとは、単体の宝石名ではなく同系統の鉱物のグループ名に当たるからです。
それぞれ細かく分ければ含まれる成分や産地なども異なりますので、色や特徴も様々という訳ですね。
大きくはアルミニウムガーネットとカルシウムガーネットの2つに分けられ、その中でそれぞれ3種類ずつ(アルミニウムガーネットはパイロープ、アルマンディン、スぺサルティン、カルシウムガーネットはグロッシュラー、アンドラダイト、ウバロバイト)の主に6つの種類に分けられます。
さらに細かく言えば、2つ以上のガーネットが均等に混ざり合った固溶体と呼ばれるものもあります。
宝石としての歴史も古く、色調整などの目的で施される人工的な処理を行わないものが多いのも特徴の一つで、無処理でも美しい色と透明度と輝きが人々を長年魅了し続けている宝石です。
パイロープガーネットとは?

それでは今回のテーマである、パイロープガーネットの説明に入っていきましょう!
パイロープガーネットはマグネシウムとアルミニウムを含むケイ酸塩鉱物です。
濃く赤い色が特徴的で、チェコのボヘミア地方が主産地の一つであることから、ボヘミアンガーネットと呼ばれることもあるそうです。
アルミニウムガーネット(3種類の頭文字を取ってパイラルスパイトと呼ばれることもあります)の中では、最も産出量が少ないといわれています。
2ctを超える大粒のものはほとんどなく、多くは小粒で産出されることから、装飾品に利用される際にはビーズやパヴェなどにして仕立てられることが多いそうです。
鉱物としての基本情報を簡単にまとめましたのでご覧ください!
鉱物としての基本情報
英名 | Pyrope Garnet(パイロープガーネット) |
和名 | 苦礬柘榴石(くばんざくろいし) |
鉱物名 | ガーネット |
分類 | ケイ酸塩鉱物 |
結晶系 | 等軸晶系 |
化学組成 | Mg3Al2(SiO4)3 |
モース硬度 | 7 – 7.5 |
比重 | 3.6 – 3.75 |
屈折率 | 1.73 – 1.74 |
産地
チェコ、ノルウェー、アメリカ、タンザニア、南アフリカ、オーストラリア、イタリア、ブラジルなど。
原石の形

ざくろの実のような、形の整った12面体や偏菱(へんりょう)24面体、またはその組み合わさった形などで産出されるといわれています。
宝石品質のパイロープガーネットの多くは、河の礫(れき)として見つかりますが、母岩となる他の鉱物に包含される形で産出されることもあるといいます。
高圧鉱物であるパイロープガーネットは変成岩やキンバーライトなどに含まれることが多いそうです。
名前の意味
ギリシャ語で“火”や“炎のような目をした” という意味をもつ「ピロポス/Puropus (Pyropos)」から由来して名付けられたといわれています。※諸説あり
パイロープガーネットの色
パイロープガーネットの赤色は、主に鉄、クロムの影響によるもので、成分比によって色が変わると考えられています。
主な色は、帯紫赤、赤、オレンジレッド、ローズレッド、ピンクなど。
産出される殆どのパイロープガーネットはレッド系の色合いをしているといわれていますが、それは単にアルマンディンガーネットと常に混ざり合っているからで、パイロープガーネットの本来の色は無色透明のようです。
実際イタリアから僅かにピンク色を帯びる程度の無色に近いものが見つかることもあるそうです。
またクロムを含むパイロープガーネットの場合、光源を変えると色が変わって見えるカラーチェンジ効果が見られるものもあるそうです。
パイロープガーネットの固溶体

前述した通り、ガーネットには6つの種類と、それらが均等に混ざり合ったいくつかの固溶体が存在します。
パイロープガーネットの固溶体も存在しますので、順番にご紹介しますね!
ロードライトガーネット
葡萄のようなパープリッシュレッドの色合いが特徴的なロードライトガーネット。
アルマンディンとパイロープが混ざり合って出来た固溶体で、くすみの少ない鮮やかさも魅力の一つです。
「グレープガーネット」や「パープルガーネット」と呼ばれる、パープル系のロードライトガーネットも注目されていますね。
産出量が多く市場にも多く出回っているので、比較的リーズナブルに手にすることができます。
マラヤガーネット
可愛らしいピンク~オレンジが特徴のマラヤガーネット。
パイロープとスペサルティン、または、パイロープ、スペサルティン、アルマンディンが混ざり合って出来た固溶体です。
マラヤの意味合いがあまりよくない、ということからウンバライトとも呼ばれることもあるそうです。
マラヤガーネットの中にはカラーチェンジ効果をもつものもあります。
パイロープガーネットを買う前に知りたいこと

価値基準
パイロープガーネットは「真紅の薔薇」や「血赤色」と言われる通り、赤の色合いが評価に影響します。
深めのレッドカラーが好まれますが、ブラウンやブラックを帯びた暗い色合いのものよりも、明るく鮮やかな色合いほど評価される傾向にありますね。
また、内包物などがなく透明度の高いもの程、評価が上がります。
ただ、パイロープガーネットは流通量が少ないため、市場に出回る数も少ないです。
それ故、一般的な相場というものが言い難く、お店によって価格にバラツキが見られます。
最後に

落ち着いたレッドカラーが魅力のパイロープガーネット。
さまざまな種類が存在するガーネットですが、大人っぽく落ち着いた中にも鮮やかさが見られるレッドカラーがパイロープガーネットの魅力です。
ジュエリーとして楽しむのに十分な硬さがありますので、日常的に活躍してくれる宝石ですよ♪
カラッツ編集部 監修