ブルーやクリアな色合いが魅力的なレアストーン、ヘミモルファイト。
結晶用語を生み出すほど個性的な結晶で、原石のまま集めるコレクターも多いといわれている鉱物です。
今回はそんなヘミモルファイトの特徴と共に、原石の形や間違えやすい似ている石のことも交えてお話ししたいと思います!
ヘミモルファイトとは?
特徴
ヘミモルファイトは、“結晶の先端と付け根部分の形が違う「異極像/ヘミモルフィ」という結晶用語の由来となった鉱物です。
この異極像はトルマリンやクォーツにも見られます。
いくつもの結晶が霜柱のように密集し、ひとつひとつの結晶は剣のような形をしています。
モース硬度は4.5~5。
ガラスや水晶よりも柔らかいので、取り扱いには注意が必要です。
名前の意味
結晶の両端の形が異なることから由来して、ギリシャ語で半分を意味する“ヘミ(Hemi)”と形を意味する“モルフェ(Morphe)”から名付けられました。
カラミンという別名もあるといわれますが、これはかつてのアメリカでヘミモルファイトとスミソナイトの両方を指す名前だったともいわれ、なかなか複雑な歴史があるようです。
和名は異極鉱(いきょくこう)といいます。
色
クリア、ホワイト、ライトブルー、ライトイエロー、グリーン、ブラウンなど。
産地
アルジェリア、ナミビア、ドイツ、メキシコ、アメリカ、スペイン、オーストラリア、イタリア、オーストリア、中国など。
メキシコでは、グリーンのヘミモルファイトが産出し「アステックストーン」と呼ばれます。
ヘミモルファイトの原石
名前の由来にもなるほど結晶に特徴のある鉱物で、葡萄状や塊状、粒状、繊維状、皮殻状とさまざまな結晶で発見されます。
面白いのは、結晶の形によって見つかる色の比率が異なることです。
順番にご説明しますね!
繊維状
「異極晶」であるヘミモルファイトの結晶の多くは、剣のようになっていて、母岩に密集しているので両端をお目にかかることは難しいのですが、よくよく観察してみるといくつか確認することができます。
先にできた結晶に後からできた結晶が上乗せされていく形で成長していき、このように“細かい結晶が集合した形”を「コロフォーム」といいます。
このタイプの結晶はメキシコで多く見つかり、無色透明か、白色、褐色系のものがほとんどだといわれています。
葡萄状、粒状
メノウのように層となって珊瑚のようにも見える、もこもことした葡萄状に産出するものもあります。
この場合、白いものもありますが多くはブルーを帯びて産出します。
こちらの原石の形は中国でも多く見つかっています。
繊維状のものと同じ鉱物とは思えないですね・・・!
ヘミモルファイトと間違われやすい石
スミソナイト
ヘミモルファイトと非常に似ているとされるのが、スミソナイト。
ブルーのヘミモルファイトとスミソナイトは共生していることもあるので、余計に間違えられやすいのですが、比べるとヘミモルファイトの方がブルーの色合いが濃いことが多いようです。
確実に見分けるには、塩酸に浸けるといいます。
スミソナイトは塩酸に浸けると発砲しながら溶けるので、溶けない方がヘミモルファイトだそうです。
大事な宝石を塩酸につける勇気はなかなか出ないと思いますが・・
ラリマー
ラリマーもヘミモルファイトとよく似た宝石です。
ですがヘミモルファイトの偽物というよりも、上質なラリマーの色合いに近いヘミモルファイトがラリマーとして販売されていることの方が多く見られます。
実際はヘミモルファイトの方が希少性の高い宝石なのですが、ラリマーの方が知名度が高く販売しやすいことが理由のようです。
原石の染色も…
ヘミモルファイトは研磨されたものだけでなく、原石のままでも人気の鉱物です。
そのせいで、原石の状態でも偽物が販売されることもあるとか。。。
多くはアラゴナイトやカルサイトを青く染色したもので、色がまばらについているのが特徴だといわれています。
ヘミモルファイトの価格相場
カラッツSTOREでのヘミモルファイトの価格相場は、1ctあたりで大体1000円~20000円位となっています。
上記の画像のヘミモルファイトは、17.329ctのルースで118,000円です。※現在は販売終了しております。
鮮やかなスカイブルーと、ぼんやりとみられる白い模様が美しいですね!
こちらのヘミモルファイトは、17.649ctのルースで123,000円です。※現在は販売終了しております。
少し深めのブルーがのぞき、涼を感じさせますよね。
改めてみるとヘミモルファイトのライトブルーは美しく、波を感じさせる海のモチーフに似合う宝石だなあと思わされます。
最後に
鮮やかなブルーに白い波のような模様を持つ、ヘミモルファイト。
原石として見かける方が多い気がしますが、青い宝石が好きな方には特におすすめしたい魅力ある宝石の一つです。
ガラスよりも柔らかいことから、趣味で自分で原石から磨き上げる・・・なんて話も過去に聞いたことがありますが、ハンドメイドでも扱いやすい宝石だったりするのでしょうか。
機会があったら是非お手に取ってみてくださいね♪
カラッツ編集部 監修