最近はインターネットオークションやフリマサイトなど、ネット通販でも高額商品を購入するという人が増えてきています。そして、悔しい結果になる人も跡を絶ちません。
「鑑別書、鑑定書がついていれば大丈夫でしょ?」
と、思われる方も多いかもしれません。しかし、以前経験談を書いた記事にもありますが、インターネット販売にはいろいろな危険が潜んでいるのです。
今回は鑑別書、鑑定書に潜むおそろしいお話です。
鑑別書・鑑定書がついていれば本当に大丈夫?
鑑別機関は日本国内でもいろいろなレベルがあって、なかには「相手の言う通りに証明書を出す」というところもあるとか。
話すと長くなるので、鑑別機関についてはコチラの記事をご参照ください。
日本国内でもそんな話があるくらいなのに、それが海外の鑑別機関だとどうなってしまうのでしょう。
出品者に悪気のないケース
あるとき、オークションで見かけた、どう見ても怪しい色のパパラチアサファイアがありました。
見たことのない海外のソーティングが付いています。GIAという文字が目立ちますが、GIAが出しているものではないようです。
安かったこともあって好奇心から落札。早速、日本の鑑別機関に提出してみました。
結果……ピンクサファイアどころか、ルビー。
もちろん、同じコランダムですし、基準となる色が違えばこういうことは起きるのかもしれませんが…。
ちなみに、こちらを出品していた方は悪気があったわけではなく、海外でルースを購入した際に付いてきたソーティングだったということで、返品させていただくことができました。
やる気満々の業者のケース
こちらは知り合いの業者に聞いた話です。
これは、最高級とされる「ピジョンブラッドルビー」の非加熱ルビーの鑑別書。しかも3ctUP!
ちなみに、ルビーの「ピジョンブラット」や、サファイアの「ロイヤルブルー」「コーンフラワー」という表記は日本の鑑別機関では取り扱いがありません。
したがって、どうしても海外の鑑別機関の証明書になってしまうということになります。
業者間の取引きだったこともあって、鑑別書がついているのであれば問題ないと思って数百万のルースを購入してお客様に販売。
その後、お客様の方で別の鑑別機関で鑑別書をとったそうで、なんとその結果が「加熱」。
非加熱と加熱では価値も価格も大きく違います。
タイの老舗鑑別機関であるAIGSなどであれば間違いないと思いますが、全く聞いたことのない鑑別機関だった場合は調べてから購入したほうが良さそうですね。
ちなみに、最初に販売してきた業者に返品しようとしたところ、「倒産したから無理」といわれたとか。
倒産した業者はその後すぐに新しい会社を立ち上げ、今も何食わぬ顔でオークションやフリマサイトに生息しています。
他の業者からもこの業者に「騙された」という声を聞いているので、そういった業者もいるというということを頭に入れておきましょう。
それ以外にもある怖い話
これはもうどう気をつけたら良いのかわからないのですが、ひとつ本物を持っていて、その鑑別書を別のルースや商品に付けて売るという手法もあるようです。
カラット数や大きさには差があると思うのですが、宝石によって比重も違うし1カラットが200mgという重さなので目で見てわかるほどの違いではないんですよね。
想像しただけでも簡単にできそうな詐欺ですよね……。
そんな危険が潜んでいるのがわかっていても、インターネットにしかないもの、実店舗では手が届かないようなものを見つけたら、「欲しい!」と思ってしまうことはあると思います。
対応策でもなんでもないかもしれないですが、私が心がけているのは「もし詐欺だったとしても後悔しない買い物をする」ということですね。
そもそも、ネット通販のように実物を見ないで購入するということは、真偽以前に「イメージ違い」という大きな壁が立ちはだかっていると思います。
「どうしても欲しい!」と思ってしまった場合には、ぜひ、一度「どんなものが届いても後悔しないか?」とご自身に問いかけてみてください。
そして、できればお客様を大切にしてくれるショップを探しましょう。
カラッツ編集部 監修