強い輝きと美しい煌めきを発する宝石クリソベリル。神秘的な効果を表すアレキサンドライトやキャッツアイも、クリソベリルの一種です。
こちらでは、クリソベリルに関する知識と、ロンドンの博物館が所蔵する45カラットのクリソベリルについてなどをお伝えしていきます。
目次
クリソベリルの基礎知識

クリソベリルの性質
結晶系 | 斜方晶系 |
化学組成 | ベリリウム・アルミニウム酸化物 |
硬度 | 8.5 |
比重 | 3.71 |
屈折率 | 1.74-1.75 |
複屈折 | 0.009 |
光沢 | ガラス状 |
クリソベリルの原石
クリソベリルはモース硬度が高く、耐久性に優れた宝石です。色は緑色、黄緑色、褐色、黄色などを表します。中でも金褐色を呈するものには、高い価値が付けられています。
ファセットカットを施すことで、キラキラとした高い煌めきを発して美しく輝くのが特徴的です。ただし、ダイヤモンドのような虹色のきらめきは発しません。
名前の由来
ギリシャ語で金という意味の「chrysos」と、科学成分であるベリルという意味の「beryllos」を合わせた言葉が由来といわれています。
和名では金緑石(きんりょくせき)と呼ばれています。
結晶
クリソベリルは、2つの結晶が結びついたV字双晶や、V字双晶が3つ並んだ3連輪座双晶などが見られます。
特に3連輪座双晶は外側が六角に分かれて、花びらのような可愛い形をしています。こんぺいとうみたいなので、コレクションとして大切にしたくなる愛嬌があります。
産地
ロシアのウラル鉱山をはじめ、スリランカ、ブラジル、ミャンマー、ジンバブエ、タンザニア、マダガスカルなどで産出されています。
クリソベリルの種類
クリソベリルというのは鉱物の名前ですが、クリソベリルからは、物性が同じでも見た目の異なる2種類の宝石ができます。
アレキサンドライト
太陽光の下では緑色ですが、白熱灯の下では赤や紫色に変化するという、変色効果をもつ宝石です。ロシアのアレキサンドル2世の誕生日に発見されたのが名前の由来といわれています。
キャッツアイ
カボションカットにすると表面に白い線が現れて、猫の目のように見える「シャトヤンシー」を表現するので、そのまま「キャッツアイ」という宝石名が付けられました。
アレキサンドライト・キャッツアイ
変色効果のある石にキャッツアイ効果も表れるという、大変レアなクリソベリルです。
誕生石としてのクリソベリルや意味は?

何月の誕生石?
クリソベリルの原石は、7月13日の誕生石です。
さらに細かく分けると…。
- キャッツアイは10月5日の誕生石。
- アレキサンドライトは6月全体と6月5日の誕生石。
- アレキサンドライト・キャッツアイは1月31日の誕生石。
と分類されます。ご自分や知り合いの誕生日とぴったり合えば、お守りやプレゼントとして特別な宝石になりますよ。
クリソベリルに込められた意味
東洋では古来から、悪魔の眼から身を守る宝石として大切にされてきました。魔除けのパワーをもつといわれ、クリソベリルのもつ強いエネルギーが、持つ人の精神をポジティブに変換すると信じられてきたからです。
他人に対する思いやりや、自分に対する自信も向上するので、コミュニケーション力が高まり、恋愛運や人間関係も良好になるといわれています。
45カラットの「ホープ」クリソベリルとは?

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黄色味を帯びた緑色をしており、オーヴァル・ブリリアント・カット、フローレスで45カラットという大きさのクリソベリルです。
所有していたのは、19世紀初頭に宝石をコレクションしていた裕福な英国人の銀行家、ヘンリー・フィリップ・ホープでした(正確には父のトーマス・ホープから引き継いだもの)。
有名な呪いの「ホープ・ダイヤモンド」を一時期所有し、その名前の由来となったことでも有名な人物です。
その後このクリソベリルは、フランシス・ホープに引き継がれましたが、破産したことから1866年に売却されました。その後ロンドンの自然史博物館に売却され、現在も同博物館が所蔵しています。
まとめ
高い耐久性を持ち、美しい色と強い輝きを呈するクリソベリル。18世紀のヨーロッパ南部ではジュエリーとして多く用いられており、現在もアンティーク・ジュエリーとして素晴らしい作品の数々が残されています。
カラッツ編集部 監修