あるとき、宝石の取引きをするなかで知り合った方に「ベキリーブルーガーネットはお持ちですか?」と聞かれたのが、私がカラーチェンジガーネットと出会ったきっかけでした。
実は、それまでカラーチェンジ系の宝石はあまり興味がなかったのですが、調べているうちに、いつの間にか「ベキリーブルー」の魅力にとりつかれていました。
そこで、今回はベキリーブルーと呼ばれるカラーチェンジガーネットの魅力をお伝えします。
目次
ベキリーブルーガーネットってどんな宝石?
ガーネットは実に多くの色がある宝石で、ブルー以外の色はほとんどあるといわれていました。
しかし、実はブルーのガーネットも存在していたのです。それがこのベキリーブルーと呼ばれるカラーチェンジガーネット。
蛍光灯下ではブルーグレーやブルーグリーンの色合いで、白熱灯下ではレッドやパープルに変色します。
アレキサンドライトと似た変色効果であることから、「アレキタイプガーネット」と呼ばれることもあります。
ちなみに、マダガスカルのベキリー地区で発見されたことから、この名前が付けられたそうですが、正式な宝石名ではないため、鑑別書には記載されません。
鑑別書には、「カラーチェンジガーネット」または「ガーネット(カラーチェンジタイプ)」などと記載されることが多いようです。
ベキリーブルーガーネットの魅力
インターネットで調べてもあまり具体的な特徴が書かれていないので、私が見つけたベキリーブルーガーネットの特徴をご紹介します。
チカチカとした赤いファイア
私がこのガーネットに魅了されたのは、チカチカと光るファイアのような輝きが時折見えること。
もともと、ベキリーブルーガーネットはかなり深いブルーなので、先日話をした業者も「ベキリーブルーは真っ黒だよ」と言っていたほどに暗い色の宝石なんです。
その黒に近い深い深いブルーのあちこちから、赤や白、ブルーのチカチカとした光が現れます。
中でも赤い光は地色とは逆の色なので、とても不思議な光景なんですよね。
ちなみに、室内であれば蛍光灯と白熱灯が合わさったようなタイプの照明で赤く光るようですが、私の自宅の蛍光灯では見られません。
太陽光に当てた方がきちんと赤い煌きが見られるような気がします。
また、色が薄めのものと濃いものの2つが手元にあるのですが、比べると色が薄い方がよりファイアが出やすい印象がありますね。
多色性が感じられる不思議さ
ガーネットは多色性がない宝石のはずですが、このガーネットは実にいろいろな色が現れます。
ほんの少しの照明の差ですぐにカラーチェンジするので、青と赤紫が混ざり合った複雑な色合いになっていることも少なくありません。
これもベキリーブルーガーネットの魅力の一つだと思います。
照明によってはグリーン寄りに見えたり、黒に近いブルーグレーに見えたりもします。
蛍光灯を強く当てると、藍色に近いブルーグレーなので、私がもっているルースは地色がブルーグレーなのだと思いますが、なかにはグリーン寄りのブルーもあるみたいですね。
見れば見るほど、本当は何色なのかが分からなくなる不思議な宝石です。
あえて、アレキサンドライトを選ばない理由
「カラーチェンジといえば」というくらいに有名なのはアレキサンドライトですが、私はあえてカラーチェンジガーネットを選びたいですね。
その理由は「大きさ」。
さきほど紹介した赤いファイアは、アレキサンドライトでも見られるようですが、それはやはり大きさがあってこそ。
少なくとも私がもっている0.1ct程度の小さなアレキサンドライトではその特徴は見られません。
そもそも、アレキサンドライトには大きな結晶は少なく、色の濃いものも非常にレアです。運よく見つけられたとしても、恐らく私が手に入れられるような価格ではないでしょう。
永遠に見ていたい「いろいろな表情をみせる宝石」
ベキリー産のブルーガーネットは既に枯渇しているという噂もありますが、ブルー系のカラーチェンジガーネットを見かけることはあるため、他の産地からも見つかっているのかもしれません。
私がもっているルースのうち一つは線状の黒いインクルージョンがいくつか見られるのですが、大好きな宝石はインクルージョンさえ愛しく感じられるのが不思議です。
いつかリングに加工して、あちこちの光源でもっといろいろな表情を見たいなあと考えています。
カラッツ編集部 監修