パパラチアサファイアに施される「ベリリウム拡散加熱処理」とは

パパラチアサファイアは、「蓮の花」という意味をもつ名前のサファイア。オレンジとピンクが混ざったような色合いが特徴の宝石です。

サファイア自体はそれほど珍しいものではありませんが、この微妙な色合いのものは希少。

かつてそのほとんどはスリランカで採掘されていました。

2001年からマダガスカル産が多く出回るようになりましたが、後にベリリウム拡散加熱処理を施されたピンクサファイアが含まれていると判明したのです。

宝石の「処理」の中には注意すべきものとしなくても良いものがありますが、パパラチアサファイアのベリリウム拡散加熱処理は明らかに「注意すべき」ものに該当します。

そんなパパラチアサファイアのベリリウム拡散加熱処理についてまとめてみました。

※ベリリウム拡散加熱処理を施すこと自体が悪い訳ではありません。悪いのは業者が事実を隠して高額に売ることです。処理方法を明記し販売しているものを消費者が納得して購入するのは問題ありません。

ベリリウム拡散加熱処理とは

ベリリウム拡散処理サファイア
宝石には美しさを引き出すための「処理」が施されるケースがよくあります。

例えばサファイアの場合には加熱処理という処理が行われているのが一般的です。

約95%のサファイアには加熱処理が行われているといわれているので、加熱処理が行われているからといってそのサファイアの価値が下がるようなことは基本的にはありません

一方、今回ご紹介するベリリウム拡散加熱処理は要注意な処理です。

ピンクサファイアの加熱処理の過程で、表面にベリリウムを含ませることにより、彩度の高いパパラチアカラーに変化させてしまうのです。

ベリリウム拡散が行われたパパラチアサファイアには宝石としての価値はほぼ認められません。

ベリリウム拡散加熱処理の特徴


ベリリウム拡散処理されたパパラチアサファイアの特徴は下記の通り。

  • 彩度が極めて高い
  • インクルージョンがほぼ無い

彩度というのは色の濃さ(鮮やかさ)や強さのことです。

ちなみに、画像のサファイアは、全てベリリウム拡散加熱処理が施されたもの。このような鮮やかな色のものは、ベリリウム拡散加熱処理の可能性が高いです。さらに価格が安い場合は安易に購入しないほうがよいと思います。

パパラチアサファイアの価値について


どの宝石でもいえることですが、「無処理(非加熱)」で「美しい」ものは希少性などから評価が高くなります。

そのため、加熱処理が行われたサファイアは、無処理(非加熱)のものと比較すると多少価値は下がります。

しかしベリリウム拡散加熱処理という処理が認められた場合には、ほとんど価値なしと見なされます。

もちろん、ベリリウム拡散加熱処理を施されたサファイアは、最高級のパパラチアカラーとなり、非常に美しい宝石であるといえます。しかし、美しいのは表面だけ。割ってみた場合には、表面と中の色が全く違うというものになっているのです。

パパラチアサファイアにおける鑑別書の重要性


2004年以降は、ベリリウム拡散加熱処理が認められたものについては、「パパラチアサファイア」という表記はされなくなりました。

「拡散処理のサファイア」と明記されるため、しっかりとした鑑別書があれば安心です。

しかし、過去に、タイのGITという国立の鑑別機関などで、ベリリウム拡散加熱処理のサファイアに対して「通常の加熱処理」という判定を行っていたという事件がありました。

そのため、どこの鑑別機関でも良いというわけではなく、こちらに業界内で信頼されてる鑑別機関をまとめましたので良ければご覧下さい。

また、古い日付の鑑別書の場合(特に20年以上前に発行された鑑別書)は、あまり信用できません。

鑑別書に「通常、色の改善を目的とした加熱が行われています」と書かれているにもかかわらず、ベリリウム加熱処理が行われている可能性があるのです。あまりにも鑑別書の日付が古い場合には、新しく取り直すことをおすすめします。

パパラチアサファイア購入時の注意点

先日、ネットショップで見つけたのが「拡散処理のパパラチアサファイアです」という文言。

拡散処理というのは、ベリリウム拡散加熱処理のことを指すと思いますので、「パパラチアサファイアです」とは書けないはずなんですよね。

それ以外にも「特殊な処理が行われています」「新しい処理がなされています」といった、あいまいな説明のみで高値で販売しようとしている業者が後を絶ちません。

ベリリウム拡散処理が施されていることを明記していれば良いですが、怪しい表記には注意が必要です。

しかし、ベリリウム拡散加熱処理の有無を肉眼で判別することはまず不可能です。しっかりと知識のある質屋さん等でも7割くらいしか分からない程難易度が高いといわれています。

つまり、最終的には専門機器で正確な検査をする必要があるのです。

分析には1万円前後の費用が発生するので、それよりも安いような宝石であれば、ちょっとためらってしまいますが、特別な1石には必ず鑑別書を付けた方が良いですね。

※ベリリウム拡散加熱処理を施すこと自体が悪い訳ではありません。悪いのは業者が事実を隠して高額に売ることです。処理方法を明記し販売しているものを消費者が納得して購入するのは問題ありません。

カラッツ編集部 監修

ABOUT US

趣味で20年以上レアストーン寄りの宝石やジュエリーを収集しています。メキシコのウォーターオパールからはじまり、既に50種類以上のルースを所持しています。王道(?)のグランディディエライトやレッドベリルをはじめ、コーネルピンやペツォッタイトといった誰も知らないような希少石も大好物。宝石を太陽光に当てたり、ブラックライトで照らしたりしてマニアックに宝石を楽しんでいます。