宝石の鑑別書に書かれた『充填』『含浸処理』ってどういうこと?

クエスチョンマーク

最近ネットを賑わす格安の大粒ルビー。実は私も、この大粒のルビーをゲットしてしまいました。

その大きさ、なんと10.732カラット!!
そしてお値段は……なんと1万円(≧∇≦)

先日カラッツの社長に見せたところ、

「このルビー、【充填】がなかったら2500万円はいくかも」

という言葉に狂喜乱舞。

あれ、でもちょっと待った、充填

※宝石に処理を施すことが悪い訳ではありません。悪いのは業者が事実を隠して高額に売ることです。処理方法を明記し、適正価格で販売しているものを消費者が納得して購入するのは問題ありません。

充填ってなに?

リカラット鑑別書
ルビーの鑑別書に書かれた『キャビティ中に透明物質の充填を認む。』という一文。

これはこのルビーが「充填されている」という意味だといいます。

でも天然ルビーには変わりないんだよね?

と思いながら何だか気になるこの一文。

そしてもう1つ、色が気に入って購入したヒスイに書かれていた

『含浸処理』

という言葉。
天然ヒスイに含浸処理。。

これってどういう意味なのでしょうか。

宝石に施される「充填」の意味

クエスチョン
この意味をきちんと考えるなら、やはりココはGIAに聞くのが一番でしょう。
GIAのHPを検索して出て来たのが、こちらの内容です。

“表面に達するフラクチャーまたはキャビティを見えにくくするため、また宝石の見た目のクラリティや外観、安定性を改良するため、あるいは極端な例では宝石に僅かに重量を追加するために、ガラス、樹脂、ワックス、オイルなどで充填すること。

充填素材は、固形物(ガラス)から液体(油類)まで様々ですが、ほとんどの場合は無色です(有色の充填材は染料に分類されます)。”

https://www.gia.edu/JP/gem-treatment#より抜粋)

要するに、充填とは宝石の見た目を良くするために、ガラスやワックスなどの「透明剤」を石に埋め込んで補填するということ。

充填した宝石が安い理由


「ルビーは一般的に大丈夫だと言われていますが、エメラルドなんかだと時間が経つと色が変わっちゃうこともありますよね。

鑑定士さんに色々お話を伺っていたところ、そんな言葉が。。

このような処理された宝石の中には、その種類やフラクチャー(割れ目)の大きさなどによって後から透明剤が劣化し変色する可能性が高いものもあるといいます。

絶対にやってはいけないのは、

・アルコールやアセトンなどの溶剤で洗浄する

・長時間紫外線にさらす

・超音波洗浄機で洗う

こと。

充填した宝石が安いのは、こんな理由があるからなんですね。。。

含浸処理とは?

一方含浸処理とは無色のオイルや樹脂を宝石に染み込ませる処理のことです。

ほとんどのエメラルドにはこの含浸処理が施されています。

加工する前のエメラルドの原石は、内部の状態を観察するために通常ベビーオイルに浸すからです。

そのため含浸処理だからという理由でエメラルドの価値が下がるということはありません。

エンハンスメントとトリートメント

一部では石の価値を毀損する処理を「トリートメント」、石の価値を毀損しない処理を「エンハンスメント」と呼ぶそうです。

つまりエメラルドの含浸処理は価値を毀損しないのでエンハンスメントと呼びますが、ルビーに含浸処理をすることはトリートメント扱いになるようです。

ちょっとややこしいですね。

他にも無色のオイルを用いた場合のみエンハンスメント、有色の材料を含浸した場合はトリートメントと区別していたこともあったみたいです。

しかし海外ではこれは区別されないのが一般的。

AGL(一般社団法人 宝石鑑別団体協議会)加盟の鑑別機関でも、トリートメントとエンハンスメントは区別していません。

一部の小売店や、AGLに所属していない鑑別機関が発行する鑑別書には、このトリートメントやエンハンスメントという文言が記載されることがあります。

最後に


鑑別書の見方、慣れてないと本当にわかりにくいですよね。これを逆手にとって、大儲けしたり騙したりする人もきっといるはず。

皆さんも気をつけてくださいね。

ただ、誤解なさらないで頂きたいのが、

充填や含浸処理を施すことが悪い訳ではなく、処理を明記せずに本当の価値を隠して高額に売ることがいけないのです。

処理を明記して販売し、消費者が納得して購入するのであれば何も問題はありませんので間違えないでくださいね。

しかしこのルビー、「1万円でも高いかも」という社長の言葉、聞きたくなかったです。。。

カラッツ編集部 監修