鑑定書と鑑別書、名前がとてもよく似ていますが、実は全く別物なのです。
これさえ読めば違いが一目瞭然!わかりやすくご紹介していきます。
鑑定書とは
鑑定書とはダイヤモンドにのみ発行される証明書(別名:グレーディングレポート)で、例えるなら「血統書」のようなものでしょうか・・・。
ダイヤモンドには4Cと呼ばれる、評価基準があります。このダイヤモンドはこの点がこれだけすごい!(こんなにすごい家柄だ!)というのを数値化して表にしたものが鑑定書ということになります。
ダイヤモンドの4C
鑑定書の評価基準となっている項目はそれぞれの頭文字のCをとって4Cと呼ばれています。
Carat(カラット:重量)、Cut(カット:カットの美しさ)Color(カラー:色味)、Clarity(クラリティ:透明度)※の4項目です。よく耳にする言葉かもしれませんね。
※実際の鑑別においてクラリティ評価は、透明度だけではなく内包物の量や位置、キズなどの総合評価にて判断されます。
4Cについての詳しい解説はこちら
▶まずは基本から ダイヤモンドの「4C」って?
鑑定書が発行されるのはダイヤモンドだけ
この4Cの項目に沿ってグレード分けされるのは、数ある宝石の中でもダイヤモンドだけです。
同じ項目でエメラルドを評価する、ということはなく、あくまでダイヤモンドのみ、しかもブリリアントカットという一つのカットを施したものに限られているのです。
なぜブリリアントカットかというと、ダイヤモンドが最も美しく見えるといわれているカットだからです。同じカットのダイヤモンドだけを対象にすることで、個々のダイヤモンドを比較しやすくしています。
ブリリアントカット以外のカットが施されたダイヤモンドも鑑定書は発行されますが、カット評価はされず、3Cの評価のみが記載されることになります。
またファンシーカラーダイヤモンドも同様で、カット評価はされないため、3Cのみの記載となります。
鑑定書が付いているほうが良いダイヤモンド?
鑑定書が付いていないダイヤモンドは品質が劣るというわけではありませんが、良いダイヤモンドでもその良さをわかりやすくアピールできなければ売ることができません。
特にTV通販等、どんなダイヤモンドなのか手に取ることもできない中で購入するのは不安材料がたくさんです。
そのような不安材料を消すための一つのツールとして鑑定書を付けたりします。
例えば私自身が過去にTV通販でとっておきのダイヤモンドを売る時は、こんなに良い条件のダイヤモンドなのにこのお値段!ということがわかりやすいように、鑑定書を付けていました。
特に最高級カラーであるDカラーダイヤモンドやカット評価の高いトリプルエクセレントのダイヤモンドの時は鑑定書を付けたほうがお客様に喜んでいただけたからです。
このように、鑑定書はダイヤモンドを手に取らなくても品質を証明してくれるわかりやすいツールとしてよく用いられています。
鑑定書についてもっと詳しく知りたい方はこちら
▶︎ダイヤモンドの鑑定書(グレーディングレポート)て?
鑑別書とは
では次に鑑別書についてお話しましょう。
上述したように、鑑定書は4Cという、国際的評価基準のあるダイヤモンドのみに発行されるものであり、色石には適用されません。
では色石の場合はどのように品質を証明するのかというと、それが「鑑別書」という別の形になる訳ですね。
鑑別書は優劣を感じさせるような鑑定書と異なり、石がどういう状態かというありのままを記したもので、例えるのならお医者さんによる「健康診断書」のようなものです。
鑑別書には何が書いてあるの?
鑑別書にはその宝石が天然なのかそうでないのか、何色なのか、大きさはどのくらいか?等その宝石の紹介が書かれています。
他にもカットの種類や処理の有無といった、その宝石の特徴ともいえることも細かく書いてあります。(もう少し固い文章で書いてあります。)
例えば単なる赤い石をルビーだと言われて渡されても、本物か?と疑ってしまいますよね。
しかし信頼のおける機関で発行された鑑別書が付いているだけで、単なる赤い石だったものをルビーと証明して販売できるというわけなのです。
お客様に信頼していただくためのツールという意味では鑑定書と鑑別書、使い方は同じだといえますね。
鑑別書についてもっと詳しく知りたい方はこちら
▶︎ルビーやサファイアにある鑑別書て何のこと?
鑑定書と鑑別書の違いはココ!
それぞれの特徴をお伝えしてきましたが、要するにどこが違うかをまとめてみると、
・鑑定書はダイヤモンドのみの品質証明書(血統書)
ラウンドブリリアントカット以外のシェイプやファンシーカラーダイヤモンドにも鑑定書は発行されますが、カットグレードが記載されません。
・鑑別書はその宝石のありのままを記載した石の自己紹介書(健康診断書)
ちなみに、ダイヤモンドは鑑定書も鑑別書も発行することができます。鑑別書は宝石であれば基本的には発行することができるからです。
鑑定書と鑑別書、名前が似ていますが、内容が全く違うことをお分かりいただけましたでしょうか?違いがわかるとどんな目的で鑑定書や鑑別書を付けているのか、という背景も見えてきて面白いかもしれませんね。
カラッツ編集部 監修