ガーネットと一口に言っても様々な色や種類があります。
お馴染みのレッド系からグリーン、オレンジ系まで、実はカラーバリエーションが豊富な宝石です。
今回お話するのは、その中の一つである、ロードライトガーネット。
その美しい色合いで人気のある種類の一つです。
ロードライトガーネットの基本情報、名前の意味、価値基準、市場価格など少し深掘りしてお話していきますね!
目次
ロードライトガーネットとは?
ガーネットは、20種類以上からなる宝石のグループ名です。
その中でレッド系の色合いが多いものは主に3つ。
アルマンディンガーネット、パイロープガーネットと今回のテーマであるロードライトガーネットです。
ガーネットには大きく分けて、レッド・オレンジ系のアルミニウムガーネットとグリーン・褐色系のカルシウムガーネットの2種類があります。
アルマンディンガーネットとパイロープガーネットは共にアルミニウムガーネットに属します。
そして、ロードライトガーネットはアルマンディンとパイロープの成分が混ざり合ってできた2つの中間体にあたる種類です。
詳細は後ほどお話するとして、まずは基本情報から見ていきましょう!
鉱物としての基本情報
英名 | Rhodolite Garnet(ロードライトガーネット) |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
結晶系 | 等軸晶系 |
化学組成 | (Fe,Mg)3Al2(SiO4)3 |
モース硬度 | 7 – 7.5 |
比重 | 3.70 – 3.95 |
屈折率 | 1.74 – 1.78 |
光沢 | ガラス光沢 |
特徴
ロードライトガーネットは、ワインレッドのような美しい色合いをした宝石です。
先程お伝えしたとおり、アルマンディンガーネットとパイロープガーネットの中間体に位置します。
ガーネットは複数の種類が混ざり合いやすい鉱物で、これら中間体にあたる鉱物を専門用語で固溶体と呼びます。
という訳で、ロードライトガーネットはアルマンディンとパイロープの固溶体にあたります。
多くは同じグループ内、つまりアルミニウムガーネット同士やカルシウムガーネット同士で混ざり合うといいますが、稀にアルミニウムガーネットとカルシウムガーネットの固溶体も見られます。
固溶体の中で、最も産出量が多く有名なものがロードライトガーネット。
他にはマラヤガーネット、マリガーネット、カラーチェンジガーネットなどがあります。
固溶体の分類方法
ちなみに、固溶体である鉱物をどう分類するかというと、成分分析の結果から判断します。
固溶体に限らず、自然界で生まれる鉱物の成分比率はさまざま、個体によって異なります。
固溶体である鉱物はその成分比率によってどの種類に属するかが決められます。
つまり、ロードライトガーネットと判断されるものは、その比率がロードライトガーネットの条件に合ったものであり、中には、比率が合致せずロードライトガーネットと認められないものもあります。
そういったものはロードライトガーネットではなく、パイロープ/アルマンダインガーネットなどと鑑別書に記載されたりするのだそうです。
本当に奥深いガーネットの世界です!
色
ロードライトガーネットはワインレッドのようにやや紫がかった赤色をしています。
個人的にはガーネットの中でもっとも好きな色がこのロードライトです。
紫色を帯びた赤色が品の良い可愛らしさを醸し出している感じがして、お気に入りの宝石の一つです。
産地
有名な産地としてはタンザニア、スリランカ、アメリカなどが挙げられます。
名前の意味
ロードライトの名前はギリシア語からきているもので、バラを意味するrhodoと石という意味のliteが合わさってrhodoliteになったといわれています。
バラの花びらのような色という、まさしくロードライトガーネットの色味を表した美しい名称ですね。
ガーネットの和名である柘榴石から薔薇柘榴石(ばらざくろいし)なんて呼ばれることもあるそうですよ。
誕生石と石言葉
ガーネットが1月の誕生石ですので、ロードライトガーネットも1月の誕生石です。
ガーネットの石言葉は「真実」「友愛」「貞操」などです。
ロードライトガーネットに施される処理
ロードライトガーネットは、今のところ、処理されているものを見かけたことはありません。
ただ、わずかながら偽物はあるようなので、ご注意くださいね。
グレープガーネットとどう違う?
画像:左-ロードライトガーネット 右-グレープガーネット
葡萄を連想させる色合いが美しいグレープガーネット。
流通量も比較的多く、こちらも人気のある種類ですね。
実はグレープガーネットとロードライトガーネットは同じ種類です。
ロードライトガーネットの中で紫味の強い色合いをもつものがグレープガーネットと呼ばれます。
「パープルガーネット」と呼ばれることもありますが、それも同じですね。
ただし、グレープガーネットやパープルガーネットはコマーシャルネーム、つまり流通名となりますので、鑑別書には記載されません。
鑑別書上の宝石名はいずれもロードライトガーネットです。
ロードライトガーネットの歴史
1882年にアメリカのノースカロライナで初めてロードライトガーネットが発見されたといわれています。
しかし残念ながらその鉱山は枯渇してしまったそうです。
その後1964年にタンザニアでも良質なロードライトが見つかり、現在でも採掘が続いているといわれています。
ロードライトガーネットの魅力
宝石の種類によっては、カラットが大きな状態で発見されることが少ないものも多い中、ガーネットは比較的大きなカラットでも採掘されています。
そのためボリューム感あるデザインのものから、カジュアルなピアスに至るまで、その用途に合わせて数多くのデザインが流通しています。
同じ赤系統でもルビーになると、お値段の桁が変わってきますので、ガーネットはお財布にも優しい宝石といえますね。
しかもだからといって、安かろう悪かろうではなく、日本でガーネット人気が高いこともあって、品質が良くデザインも豊富だったりするので、ガーネット好きには恵まれている環境かと思います。
ロードライトガーネットの偽物
ロードライトガーネットの偽物は、今のところ多く流通している様子はありません。
しかし稀に、コーティング処理を施されたクォーツやホワイトトパーズがロードライトガーネットとして販売されていることはあるようです。
上の画像の赤丸で囲まれた箇所を見て頂くとファセット稜線に色抜けがあるのが分かると思います。
これはコーティング処理を施された石に現れる特徴で、判断材料の一つになります。
このほか、ロットで購入したものの中に、ガラスなどが混ざっていることもあるようなので、注意が必要です。
どうしても気になる場合は鑑別機関で見てもらうと良いかもしれません。
ロードライトガーネットを安く大量に提供出来ると宝石商に紹介されましたが…違和感あるの分かりますか?
先月のタイ・バンコクで買い付けの際にロードライトガーネットとして紹介されたルースで、500ピース以上ありました。
拡大すると怪しい箇所が… pic.twitter.com/cwXFdHlK32
— KARATZ代表|小山慶一郎 (@keiichiro_oyama) December 17, 2019
ロードライトガーネットの価値基準と市場価格
ロードライトガーネットを買うなら、どこで、どんな点に気をつければよいでしょうか。
価値基準
ロードライトガーネットは、他の色石と同じように、色が鮮やかなもの、透明度が高いもの、カラット数の大きなもの、カットの美しいものが価値が高くなる傾向があります。
色は、紫がかった赤が最良とされています。
市場価格
ロードライトガーネットの一般的な市場価格は、数千円から数万円位が多いです。
カラット数が大きく、クォリティの高いものは数万円以上しますが、比較的リーズナブルに購入できる宝石ではないかと思います。
グレープガーネットと呼ばれる、パープルが濃いものは全体的に価格が上がる傾向にあり、中には数十万円以上するものもあります。
どこで買える?
数あるガーネットの種類の中でも、人気の高いロードライトガーネットはルースでもジュエリーでも比較的多くのお店で取り扱っています。
実店舗でもオンラインショップでも色々探せると思いますので、幾つかのお店を見比べながら選んでも良いかもしれませんね!
ロードライトガーネットのお手入れ方法
ロードライトガーネットの日常的なお手入れは簡単で、ジュエリーとして身につけた後、柔らかい布で汗や皮脂汚れを軽く拭き取ってあげる位で十分です。
汚れが目立つ時は、石鹸や中性洗剤を薄めたぬるま湯の中で、柔らかい歯ブラシなどで優しく洗ってあげて下さい。
泡をしっかり洗い流した後は柔らかい布で水気をきちんと拭くことも忘れないで下さいね。
多少のアルコールは問題ありませんので、目立つ汚れをアルコールティッシュなどで拭いてもキレイになります。
但し、ティッシュの繊維などが宝石に残らないように注意が必要です。
超音波洗浄機やスチーム洗浄機は使用しないで下さい。
高熱に弱いため、高温になりやすい場所に放置することも避けた方が良いでしょう。
保管する際には個別の箱などに入れて他の宝石とぶつからないようにすると表面に傷がつく心配も少ないと思います。
最後に
ガーネットの中で比較的流通量の多いロードライトガーネットについてご紹介してきました。
他のレッド系ガーネットに比べて、パープルが混ざったレッドという色合いがロードライトガーネットの特徴です。
個人的なおすすめアイテムとしてはやっぱりリング。
色味の美しさを十分堪能できるカラット数のものが探しやすく、耐久性にも優れているロードライトガーネットはリングにしても最適です。
一日中指先を見てしまわないように注意が必要です!
カラッツ編集部 監修