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オードリー・ヘップバーンが主演した映画「マイ・フェア・レディ」をご存じでしょうか?
エドワード朝の時代を舞台に、一人の女性の生活が変わっていく姿を描いたロマンティック・コメディです。
素敵なストーリーと共に、オードリーが着用した洋服やジュエリーが、時代を超えて多くの女性を魅了しています。
今回は、そんな映画「マイ・フェア・レディ」の魅力と、オードリーが着用したジュエリーなどについてご紹介していきます。
映画のトリビアや、オードリーのもう一つの名作「ティファニーで朝食を」のジュエリーについても併せてお話したいと思います。
目次
映画「マイ・フェア・レディ」
映画「マイ・フェア・レディ(原題:My Fair Lady)」は1964年に公開されたハリウッドのミュージカル映画です。
1956年からニューヨークのブロードウェイで公演され、6年6か月にも渡るロングランとして大ヒットしていた、同名ミュージカルを映画化した作品です。
監督は『若草物語』『ボーン・イエスタディ』などでアカデミー賞にノミネートされたジョージ・キューカーが務め、1965年のアカデミー賞で最優秀作品賞や監督賞、主演男優賞などを含む8部門で受賞しました。
ストーリーは、オードリー・ヘップバーン演じる下町育ちの花売りイライザが、レックス・ハリソン演じる言語学専門のヒギンズ教授によって、一流のレディへと磨き上げられるシンデレラ・ストーリーです。
あらすじ
ロンドンの下町で花売りをしていたイライザは、ヒギンズ教授から声をかけられ、コックニー訛り(ロンドンの下町訛り)を直し、礼儀作法を習えば上流階級のレディになれると誘われます。
合意したイライザは教授の元でレッスンを受け、貴族たちの社交場であるアスコット競馬場やパーティへ出席するなど、華やかな社交界の仲間入りをします。
その後イライザは、ヒギンズ教授が友人と「イライザをレディに仕立て上げられるか」という賭けをしていたことを知り、衝撃のあまりヒギンズ教授の元から姿を消してしまいます。
突然イライザがいなくなり、彼女への想いに気付く教授・・・。
オードリー演じるイライザが、失敗しながらも努力して磨かれていく姿は、なんとも言えない可愛らしさがあり、周囲の人達を虜にしていきます。
ミュージカル仕立てなので歌やダンスも楽しめる上に、時代風景に合わせた素晴らしいコスチュームやヘアスタイルも見ものです。
そんなストーリーの中で、大きな注目を浴びたのが、オードリーが着用した素晴らしいジュエリーたちです。
マイ・フェア・レディに登場したジュエリーと宝石について、次の項で詳しくお伝えしていきましょう。
映画「マイ・フェア・レディ」に登場するジュエリーと宝石
ミュージカル『マイ・フェア・レディ』はアイルランドの劇作家ジョージ・バーナード・ショウが1913年に発表した戯曲『ピグマリオン』をベースに作られたといわれています。
時代設定はイギリスのエドワード期であるため、コスチュームやジュエリーも当時のファッションに合わせて作られました。
エドワード期はエドワード7世が国王として在位した1901年から1910年を指しますが、ファッションやジュエリーの歴史上では、第一次世界大戦が始まる1914年頃までに作られたものを「エドワーディアン」と呼んでいます。
イライザがパーティへ出席するシーンでは、セシル・ビートンによるスパンコールを散りばめた白いドレスを着て、ダイヤモンドを配したチョーカーとティアラ、イヤリングを身に着けています。
イライザが着けた大ぶりのチョーカーは、首にぴったりと巻き付くフォルムで、金属による曲線を幾重にも重ねた優美なスタイルです。
このジュエリーは、当時のハリウッド映画で数多くのジュエリー制作を手掛けた会社「ジョセフ・オブ・ハリウッド」が制作したものです。
ジュエリーには、エドワード朝の頃に流行した「ガーランド様式」のデザインが用いられました。
花や植物、リボンなどをモチーフにした繊細なデザインで、まるでレース編みのように見えるのが特徴的です。
実は、こういったチョーカーを流行させたのは、エドワード7世の妻となったアレクサンドラ妃でした。
当時イギリスのファッションリーダーであった王妃が、ダイヤモンドとパールを配した、首全体を覆い隠すようなチョーカーを身に着けたことから「ドッグカラー(犬の首輪)」と呼ばれ、イギリスの上流社会で大流行しました。
「マイ・フェア・レディ」に関するトリビア
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①オードリーのドレス姿に・・
オードリー演じるイライザが華やかなドレスとジュエリーを纏い、パーティシーンの撮影現場に現れた時のことです。
オードリーが登場した瞬間、彼女のあまりの美しさに、撮影陣やキャスト全員が見とれてしまい、現場が静まり返ってしまったという逸話が残っています。
しばらくすると、オードリーに大きな拍手と喝采が贈られたそうです。
②オードリーの歌は吹替え
イライザ役を演じることが決まったオードリーですが、彼女の声が長時間歌い続けられる程強くはないことから、吹替えを使うことを伝えられました。
ショックを受けたオードリーは撮影所を去りますが、翌日戻って謝罪したそうです。
映画でオードリーが歌う殆どの歌は、ハリウッドを陰で支えたゴーストシンガー、マーニ・ニクソンが歌ったものです。
後にオードリーは、もし歌が吹替えになると事前に知っていたら、オファーを断っていたと明かしています。
③1000着以上ものコスチュームを製作
映画「マイ・フェア・レディ」のキャストは、エドワード期の貴族が着ていたものを再現した、うっとりするような衣装を着用して、ダンスや歌を披露しています。
映画の衣装製作はデザイナーのセシル・ビートンが担当しましたが、ビートンはこの映画のために、1000着以上ものコスチュームを制作したといわれています。
オードリー・ヘップバーンが他の映画で着用した有名ジュエリー
ティファニーで朝食を
1961年に公開された、トルーマン・カポーティ原作の同名小説を映画化した作品です。
ニューヨークの小さなアパートで猫と暮らすヒロインが、理想の男性と出会うまでを描いたロマンティックストーリーです。
オープニングで、オードリー演じるホリーが、ティファニーのニューヨーク5番街本店の前で、クロワッサンを口にするシーンが有名になりました。
映画公開後、ティファニー本店は観光名所となったほどです。
映画のプロモーション用ポスターでは、オードリーがティファニーのイエロー・ダイヤモンドを配した「リボン・ロゼット・ネックレス」を着用しました。
128.54カラットのイエロー・ダイヤモンドは「ティファニー・ダイヤモンド」と呼ばれ、後に「バード・オン・ロック」と呼ばれる鳥モチーフのブローチに生まれ変わりました。
その後、再びダイヤモンドネックレスに配され、現在もティファニー本店に展示されています。
2019年のアカデミー賞授賞式では、レッドカーペットでレディー・ガガがこのネックレスを着用しました。
最後に
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イギリスのエドワード期は、庶民と貴族の階級の違いがはっきりと分かれていた時代です。
お金がない人達はまともな教育が受けられない、そんな時代でした。
しかし、育ちはどうであれ、誰だって磨けばダイヤモンドの様に輝ける可能性を秘めているんだ・・・と、当時の階級制度に訴えかけるストーリーのように思います。
今回ご紹介した「マイ・フェア・レディ」は、時代が移り変わっても色褪せない作品として愛されています。
ストーリーや演出はもちろん、キャストが着用したコスチュームとジュエリーも、ため息が出るほどに素敵です。
もし機会があれば、ぜひご覧になってみてくださいね。
カラッツ編集部 監修