鮮やかなネオンブルーの宝石、パライバトルマリン。
希少な上に人気のある宝石で3カラット以上のものはなかなか手にすることができないといわれています。
それでもいつか、小さくても良いから手に入れたいと思っている方も多いのではないでしょうか?
しかし希少で人気な宝石には、当然ともいうべく偽物も多く出回っているもの。
パライバトルマリンも例外ではありません。
代用品として売られているものも含め幾つか偽物が存在するのですが、その中で今回は最近多く見かけるようになった、「パライバブルートパーズ」についてお話ししたいと思います!
パライバトルマリンとは?
偽物について語る前に、まずはパライバトルマリンについて簡単におさらいしておきましょう。
パライバトルマリンは、1987年に発見された比較的歴史の浅い宝石です。
蛍光感のある鮮やかなネオンブルー~グリーンの色合いが印象的で、コレクターも多く、世界中から熱く支持され続けている「世界三大希少石」の一つといわれる宝石です。
※ちなみに世界三大稀少石の他の2つはアレキサンドライトとパパラチアサファイアだそうです。
最大の魅力は、その独特の色合いと特有のテリ。
人気が高い上に、産出量もそれ程多くないことから、最も上質とされるブラジル産(宝石品質)の1カラット当たりの価格は、宝石の中でトップクラスといわれ、現在でも価格が高騰し続けているそうです。
パライバトルマリンの偽物
そんな人気の希少石、パライバトルマリンですから、冒頭でも説明したとおり偽物が多く出回っています。
恐らく一番よく見かけるのが、アパタイト。
アパタイトもさまざまな色合いを見せてくれる、とても魅力ある宝石ですので、偽物というには忍びないのですが・・
パライバトルマリンのようなネオンブルーのものも産出され、パライバブルーアパタイトと呼ばれることもあるほど、2つは似ているといいます。
実はそもそもアパタイトを有名にしたのも、「ブルーのアパタイトはパライバトルマリンに似ている」と注目されたことがきっかけだったとか。
しかしそれが故に、それを悪用してパライバトルマリンと偽って販売する業者も出てきたという訳です。
そして近年流通量が増えてきているとされるのが、今回のテーマである「パライバブルートパーズ」。
これは、パライバトルマリンのように鮮やかなブルーの色合いをもつトパーズのこと。
もともとブルートパーズは一般的に照射処理という人工的な処理を施すことによって色調整されているのですが、パライバブルートパーズはそれとはまた異なる処理により着色されているのだそうです。
それは一体何なのか、次の項目で詳しくご説明していきましょう。
パライバブルートパーズに施される処理とは
パライバブルートパーズには照射処理ではなく、コーティング処理が施されているといわれます。
その理由はパライバトルマリンのようなネオンカラーの色合いは、照射処理では実現できないからだそうです。
ただ、だからといって、着色加工そのものが悪い、という訳ではありません。
きちんと明記され、適正価格で売っていれば良いのです。
しかし「コーティング処理を施されたトパーズ」であるということが明記されずにパライバトルマリンや未処理の宝石として適正価格より高く販売されてしまうことがある、だから問題なのです。
なぜ、アパタイトではなく新しい宝石なのか?
パライバトルマリンの偽物として多く出回っていると先述したアパタイト。
アパタイトはパライバトルマリンに比べれば安価な上に、見た目だけではプロでも簡単に判別できない程よく似ているといわれます。
では何故アパタイトではなく、コーティング処理を施したパライバブルートパーズが作られるようになったのでしょうか?
それは恐らくですが、アパタイトはモース硬度が5と、ガラスで傷が付いてしまうほど耐久性が低いため、ジュエリーにはあまり向かない宝石です。
しかし、その点トパーズなら、安価な上にモース硬度が8と比較的扱いやすく、ジュエリー加工もしやすいため、よりパライバトルマリンに見せかけて売りやすいからではないかと考えられます。
勿論分かった上で代用品として楽しむのであれば、安価でパライバトルマリンと同じ色を楽しめるパライバブルートパーズも悪くはないと思います。
しかしパライバブルートパーズとしてではなく、パライバトルマリンとして高額で販売されるのは許されることではありませんよね。
だからそんな世にはびこる悪徳業者に騙されないよう注意して欲しいのです。
コーティング処理の見分け方
という訳で。
コーティング処理されたパライバブルートパーズをパライバトルマリンと間違えて買ってしまわないために、コーティング処理の見分け方について少しお勉強しましょう!
コーティング処理とは、表面に酸化金属化合物の非常に薄い層でコーティングされている処理で、研磨剤や研磨用のバフなどで摩擦すると色が剥げてしまい、耐久性が高くありません。
そのため、画像の赤丸の部分のようにキューレットやファセット稜線にコーティングの剥がれが見られることが多いそうなのです。
web上でも比較的見つけやすいと思いますので、尖った部分に色剥げがないか、画像をよくチェックしてみてください。
サイト上に画像が少なすぎて、色んな角度から見られないようであれば、他の角度の写真がないかお店に問い合わせてみるのも良いでしょう。
万が一対応してくれないようであれば、偽物を疑って購入しない選択もアリだと思います。
最後に
人気の宝石であるほど、知識や見極めが必要となってしまう偽物の存在。
アパタイトはアパタイトとしての、トパーズはトパーズとしての魅力があるので、各々の宝石として楽しむのが本来の姿です。
しかし需要と供給の合わない宝石に一部の悪徳業者が付け込み、偽物を流通させているのも悲しき現状です。
大金を出してやっと手にした憧れのパライバトルマリンが偽物だった・・・なんてことがないよう、パライバトルマリンを購入する際には、出来るだけ信用のおけるお店からや、信頼のできる鑑別機関のソーティングや鑑別書付きのものを選ぶことを強くオススメします!
カラッツ編集部 監修