三つの願いを叶える?宝石トリプライトの秘密と魅力

トリプライト

オレンジからサーモンピンクの色合いが魅力的な宝石、トリプライト。

ある特徴から“三つの願いを叶えてくれる”というロマンティックな言い伝えをもつ宝石です。

今回はそんな、トリプライトの特徴や魅力についてお話しします!

トリプライトとは

トリプライト
冒頭でもふれたように、“三つの願いを叶えてくれる”といわれている宝石トリプライト。

透明感のあるオレンジ色~サーモンピンクの色合いが美しい宝石ですが、宝石品質といわれるような高品質の結晶が採れることが少ないといわれる希少石の一つです。

どんな特徴をもつのか、まずは鉱物としての基本情報から早速見ていきましょう!

基本情報

英名 Triplite
和名 トリプル石
結晶系 単斜晶系
化学組成 マンガンのフッ化リン酸塩鉱物:(Mn,Fe,Mg)2PO4(F,OH)
硬度 5 -5.5
比重 3.5 – 3.9
屈折率 1.64 – 1.70
光沢 ガラス光沢~樹脂光沢

特徴

トリプライトは、ペグマタイト(巨晶花崗岩)という鉱物の中に結晶を作ります

産出される多くが不透明な岩石のような見た目のもので、透明度の高い宝石品質のものは非常に稀だといわれています。

結晶が発達しにくいといわれ、とても小さな結晶が多いそうです。

そのため、産出される宝石品質のトリプライトは0.5ct程度の小粒なものが殆どなんだとか。

希少石として扱われ、ジュエリーというよりもコレクターストーンとして市場に出回ることの方が多いといわれる宝石です。

モース硬度は5から5.5ありますが、劈開(へきかい)という性質をもち、一定方向から強い衝撃が加わると割れてしまうことから、加工が難しい宝石といわれています。

栗茶、赤褐色、赤、オレンジ、サーモンピンクなど

マンガンの含有量が多いと赤褐色~サーモンピンクになると考えられています。

産地

ブラジル、パキスタン、アルゼンチンなど

鉱物としての特徴

トリプライト ルース
マンガンのフッ化リン酸塩鉱物であるトリプライト。

マンガンの一部が鉄やマグネシウムに置き換わっているものが殆どだといわれています。

アパタイトなど他のリン酸塩鉱物とともに花崗岩ペグマタイトやスズの熱水鉱脈の中で生成し、塊状の集合体の形で産出されることが多いそうです。

3つの願いを叶えてくれる宝石

ギリシア語で“3”を意味する「トリプル(triplos)」から由来して名付けられたという、トリプライト。

和名もそのままトリプル石

何かと“3”に因んだ宝石です。

その理由はというと、トリプライトが「三方向に完全な劈開をもつ」ことからきているといわれています。

そしてこのことから「三つの道を切り開いて、三つの願いを叶えてくれる宝石」と信じられるようになったと言い伝えられています。

インカローズとトリプライト

※画像はロードクロサイトとインカローズ

ピンクのトリプライトにゴールドのインクルージョンがあるものを「ゴールデン・インカローズ」として販売されていることがあるそうです。

パワーストーンとしてのトリプライトは透明度が低く、インカローズによく似たピンク色をしていることからこの名前が付けられたそうですが、インカローズとトリプライトは全く別の鉱物です。注意しましょう。

最後に


硬度もそこまで高くない上、三方向に完全なへき開を持つので割れやすくなかなか加工の難しい宝石ですが、稀に見つかる宝石品質のトリプライトの色合いや高い透明度は魅力的で、マニアが夢中になるのも納得の宝石です。

とにかく出回ることが少ないレアストーンですので、見つけたらラッキーといえるかもしれませんね。

カラッツ編集部 監修

ABOUT US

毎日200個以上の宝石に触れる仕事に就いています。タンザナイト、ベニトアイト、パパラチアサファイアなど多色性のある宝石が好み。宝石のことをあまり知らない方にも、分かりやすい記事作りを心掛けます。