石の中に植物が?モスアゲートってどんな石?

モスアゲート ルース

まるで石の中に植物が入り込んでいるように見える不思議な石、モスアゲート

その模様は、苔のようでもあり、水中の藻のようでもあり、木の枝や森林を思わせるような深い緑色をしたものもあります。

誰もが思わず見入ってしまう神秘的な石、モスアゲートとはどういう石なのでしょうか?ご紹介してまいりましょう♪

モスアゲートはアゲートの一種

アゲート 種類

モスアゲートはその名のとおりアゲートの一種です。

さらにアゲートとはカルセドニーの変種の一つです。

しかし多くのアゲートに見られるような縞模様がほとんどのモスアゲートには見られないことから、「アゲート」と名は付いているものの実際には「モスアゲート」ではなく「モスカルセドニー」の方が正しいのではないかという説もあるようです。

※カルセドニーとアゲートについての詳細はコチラの記事を参考に。

名前の意味とモスアゲートの歴史

モスアゲート 原石とルース
モスは日本語で「苔(こけ)」を意味します。

アゲートの中の緑色の内包物が、苔が入っているように見えるため、モスアゲートと名付けられたといわれています。
そのままかもしれませんが、とても分かりやすいですよね。

和名は「苔瑪瑙(こけめのう)」または「草入り瑪瑙」といいます。

‘植物の精’だと考えられていた?モスアゲートの歴史

Photo by : Grossinger / Shutterstock.com

古い記録から、モスアゲートの歴史の始まりは紀元前2世紀頃ではないかといわれています。

場所はスコットランド。

自国で産出したアゲートや水晶で装飾品を作るという習わしがあったこの地方で、スコティッシュジュエリーと呼ばれるその民族品の中にモスアゲートも使われていたといわれています。

キルトピンなど衣装に合わせたピンが作られていたとか。

また古代ヨーロッパでは、まるで植物が入り込んだように見えるモスアゲートは、植物の精が宿った石だと考えられていていたとか、農耕民族の間では古くから繁栄のお守りとして大切にされていたとかという言い伝えもあるようです。

石の特徴

モスアゲート ルース

モスアゲートの天然石特有の内包物は、のようにも水中の藻のようにも見え、何とも不思議な世界があるように思います。

「どうやってこのような模様ができたのだろう」という想像力を掻き立てられる神秘的な美しさですね。透明感とやわらかい雰囲気のある親しみやすい鉱物です。

苔の正体とは?

ではその苔の正体とは何か、というと。
もちろん、苔や植物ではありません。

クロライト角閃石、または鉄やマンガンの酸化物や水酸化物だといわれています。

それらが生成中のアゲートの中に入り込むことで、苔や藻のような模様となって残るということだそうです。まさに自然が作り出す神秘な世界といえますね。

ちなみにモスアゲートの地の色は白から透明で、苔のように見える内包物は、緑色のほかに赤や黒などもあります。色の違いは内包物の成分の違いによるものだとか。

またその模様は実に多彩で、中には枯れ木や風景のように見えるものさえあり、それらはランドスケープアゲート(ピクチャーメノウ)とも呼ばれています。

産地

主な産地はインド、アメリカ、ブラジルなど。そのほかにもタンザニア、中国、日本などで産出されるといわれています。

お手入れ方法

モスアゲートは硬度が高く、比較的取り扱いやすい石です。
汚れが目立ってきたら、水洗いしましょう。水洗いした後は、水分をしっかり拭き取り、自然乾燥させます。

モスアゲートの原石と楽しみ方

モスアゲート 原石

モスアゲートの原石は他のアゲート同様に塊状で産出されます
上の画像のように、塊状の状態でも苔が密集しているように見え、古代の人が苔や植物が閉じ込められたと感じたのも納得できますよね。

モスアゲート ブレスレット

原石のままで楽しむことも良いですが、カボッションカットを施してペンダントヘッドや指輪にしたり、丸いビーズに加工されたもので作られたブレスレットなど、ジュエリーとしての楽しみ方も色々できそうです。

モスアゲート 彫刻

色味や模様の入り方がさまざまで、ひとつとして同じものはありませんので、彫刻をほどこしたものや比較的大きめのルースを観賞用としてコレクションしても楽しいかもしれませんね。

最後に

モスアゲート ルース

まるで植物が入り込んだような不思議な石、モスアゲートをご紹介しました。

いつまでも眺めていたいような神秘的な美しさがある石ですね。

ひとつとして同じ模様はありませんから、ご自分だけのお気に入りを探してみるのも楽しそうです。

この機会に、モスアゲートに興味を持っていただけたら嬉しいです。

カラッツ編集部 監修