モアサナイト(モアッサナイト)という宝石をご存知でしょうか?
コレクターの間で最近密かに人気上昇中と聞きます。
しかしその一方で、ダイヤモンドと見た目や性質がよく似ており、出回り始めた当初はダイヤモンドを見分ける専用機材でも見抜けず、一部業者の間で混乱が起きたといわれる宝石でもあります。
見た目だけでは、宝石のプロでもダイヤモンドとの判別が難しい、モアサナイト(モアッサナイト)について色々ご紹介しましょう。
目次
モアサナイト(モアッサナイト)とは
モアサナイト(モアッサナイト)は、炭化ケイ素(Silicon carbide)でできた鉱物です。
自然界にも存在しますが、限られた地層にごくわずかに存在するのみで、見つけるのはとても困難だといわれています。
市場で見かけるモアサナイトのほとんどは人工的に作られる合成石です。
鉱物としての基本情報
英名 | Moissanite(モアサナイト、モアッサナイト) |
化学組成式 | SiC |
モース硬度 | 9.24 – 9.5 |
比重 | 3.22 |
屈折率 | 2.654 – 2.697 |
分散率 | 0.104 |
モアサナイト(モアッサナイト)の特徴
モアサナイトとダイヤモンドはよく似ていると先にお伝えしましたが、実は合成モアサナイトはダイヤモンドの合成実験中に偶然生まれたのだそうです。
ダイヤモンドとモアサナイトにはそんな因縁もあったのですね。
合成宝石の世界もいろいろな歴史があって、調べてみると案外面白いものです。
複屈折率が0.043と高いことからダブリングする特徴があります。
天然のモアサナイトは1893年に、キャニオン・ディアブロ隕石の中から初めて見つかったといわれています。
その後も他の隕石や岩石などから見つかったことはあるようですが、いずれも少量だったとのことです。
モアサナイト(モアッサナイト)の色
モアサナイトの色は、ブラック、グリーン、イエローなどです。
合成モアサナイトの色は、カラーレス~ライトイエロー、ブルー、グリーン、グレー、ブラック、ブラウン、レッドなど様々です。生成後、放射線照射処理にて着色されることもあります。
モアサナイト(モアッサナイト)の名前の意味
新鉱物であることを発見した、アンリ・モアサン(Henri Moissan)に敬意を評し、1905年にモアサナイト(モアッサナイト)と名付けられたといわれています。
合成モアサナイト(モアッサナイト)はダイヤモンドの偽物?価値はない?
では、ダイヤモンドとよく似た性質をもつ合成モアサナイトはダイヤモンドの偽物と言って良いのでしょうか。
合成石だからと言って一概に偽物とは言い切れません。
確かに、一部の業者がモアサナイトダイヤモンド(モアッサナイトダイヤモンド)などという紛らわしい名前を付けて販売し、消費者がお買い得なダイヤモンドと勘違いして購入してしまうケースはあると聞きます。
また古いダイヤモンドテスターだとダイヤモンドと判断されてしまうことから、最新機器を持たない質屋や買取店などが混乱してしまったという話も事実としてあります。
こういった話が独り歩きし、合成モアサナイト=ダイヤモンドの偽物と思われてしまう節があるのは確かです。
ただ、合成石や人造石にもそれぞれの魅力があり、人工宝石だからこその楽しみ方もあると思います。
実際合成モアサナイトの美しさに価値を見出し、合成モアサナイトとして販売しているお店も多いです。
悪意のある一部業者の売り出し方によって、なんとなく偽物の印象がついてしまいましたが、合成モアサナイトの強いファイアはダイヤモンドのそれとは異なる魅力があります。
最近コレクター人気が上昇している理由も、合成モアサナイトならではの美しさに魅了され、コレクションしたり身につけたりしたいと思う方が増えたからだと思います。
量産も可能なことから、天然石のような価値はありませんが、消費者が納得して購入し、合成モアサナイトとして楽しむのであれば問題ないのです。
宝石業界にいる身としては、モアサナイトのような人工宝石に悪いイメージを持たせないためにも業者や小売店が宝石に対する正しい知識を身に着け、一般消費者の方が混乱しないような環境がもっと整っていけば良いなと思います。
※合成石自体が悪い訳ではありません。悪いのは業者が事実を隠して高額に売ることです。モアサナイトときちんと明記し販売されているものを消費者が納得して購入するのは問題ありません。
モアサナイト(モアッサナイト)とダイヤモンドの類似点と相違点
次に、モアサナイト(モアッサナイト)とダイヤモンドの類似点と相違点について、簡単にご紹介します。
類似点
画像:左-ダイヤモンド 右-モアサナイト
自然界に存在するモアサナイト(モアッサナイト)はごく僅かだといわれますが、結晶も透明ではなく濁っているといいます。
一方、人工的につくられる合成モアサナイトは透明度が高く、光の屈折率、熱伝導率がダイヤモンドと近いといわれています。
ダイヤモンドと類似石とを見分ける時に使用するダイヤモンドテスターという機械があるのですが、光の屈折率や熱伝導率などでダイヤモンドか否かを判断するそうで、古い機械だとモアサナイトをダイヤモンドだと判別してしまうことも多かったそうです。
今は機械が進化したことから、きちんと判別できるものも多いといいますからご安心下さいね。
また、見た目ですが、モアサナイトはDカラーのダイヤモンドと比べてごくわずかに色がついていることが多かったそうですが、技術の進化により、最近ではDカラーに近いモアサナイトも出回っています。
相違点
画像:左-ダイヤモンド 右-モアサナイト
石の硬さを表す数値に、モース硬度という項目がありますが、ダイヤモンドは最も硬い、硬度10です。
モアサナイト(モアッサナイト)は9.24~9.5でダイヤモンドに比べるとやや低めですが、天然石でダイヤモンドの次に硬いと言われるコランダム(ルビー、サファイア)が9ですので、ダイヤモンドの次に硬い宝石と言えます。
また、モアサナイトは分散率がダイヤモンドよりも高いことからカットによってはダイヤモンドよりも強いファイアを放ちます。
合成モアサナイト(モアッサナイト)の魅力
合成モアサナイト(モアッサナイト)ならではの魅力についてもご紹介していきましょう。
百聞は一見にしかず、まずは写真をご覧ください。
こちらはグリーンが強いモアサナイトです。
光を当てると異空間にワープしてしまいそうな輝きを放っているようにも見えますね。
カラーレスに近いモアサナイトにも違った魅力があります。
ダイヤモンドにはない輝き、というのは何となくお分かり頂けますでしょうか。
ブルーグリーンのモアサナイトです。
光があるのとないのとでは表情が大きく変わり、ずっと眺めていられそうな不思議な魅力を感じます。
特殊なカットを施すとまた違った世界が広がります。
細かく角が付けられ、ファセット面も多いことからギラギラと強いファイアを放っています。
最後は甲州貴石切子が施されたモアサナイトです。
こちらも独特の雰囲気を醸し出していて素敵ですね!
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最後に
いかがでしたでしょうか。
最近では、モアサナイト(合成モアサナイト)と明記して販売されることも増えているように思います。
モアサナイトを好んで購入し、楽しんでいるコレクターの方がSNSなどを通しその魅力を発信していたりもしますよね。
ダイヤモンドとも違う独特の強い輝きを放つモアサナイト。
この機にぜひ注目してみて下さいね。
カラッツ編集部 監修