出典元:TVアニメ『宝石の国』公式サイト
宝石の国の中で、パパラチアが登場するのは全巻中たった1回のみ。(2018年9巻現在)5巻の中でわずか9ページしか登場しないパパラチア。その理由はきっとパパラチアが「幻の宝石」といわれるぐらい希少な存在だからでしょう。
そう、パパラチアはとにかくメチャクチャ美しい!(宝石の国の中のパパラチアもものすごいイケメン王子でしたね)
現実の宝石でも、パパラチアは「パライバトルマリン」「アレキサンドライト」と並ぶ3大希少石。宝石屋でも滅多にお目にかかれないとびきりの美しさを持った石なのです。
しかしこのパパラチアが実はルビーやサファイアと同じ仲間だって知っていましたか?今回はパパラチアを全力で解説します。
パパラチアの美しさの秘密は
ワーカホリックな医師、ルチルが暇さえあれば緒の浜で探していたのが、パパラチアの部品でした。(パパラチアはルチルのパートナーだったのです。)
「硬度は9、靭性は準1級、ボルツの次に強く、イエローダイヤモンドと同じくらいの年で、生まれつき体にたくさんの穴が空いている」
というパパラチア。パパラチア、正式名称パパラチアサファイアはルビーやサファイアと同じコランダムという鉱物。コランダムは1円玉の材料にも使われている酸化アルミニウムの結晶からできた鉱物で、本来は無色透明です。
サファイアの色は10種類以上
ざっくり説明すると、無色透明なコランダムに鉄とチタンが混ざると青いサファイアとなり、ごくわずかなクロムが混ざると赤いルビーになります。
もともとサファイアはカラーバリエーションが豊富。無色透明から赤、黄、青、紫、ピンク、黒など10種類以上の色があります。
そして、パパラチアサファイアは、オレンジとピンクが混ざったような中間色です。
パパラチアはサファイアの中の「キングオブサファイア」
たくさんのカラーバリエーションのあるサファイアのなかで、パパラチアサファイアのオレンジピンクはかなり希少で高価なものの一つです。
体にたくさんの穴が空いている、という説明は、パパラチアサファイアの色が「ハスの花」の色にたとえられるから?それともこの奇跡のように美しい色になるための不純物が複雑すぎて分析できないからでしょうか。
どちらにしても、サファイアの王様といっても過言ではない存在なのです。
パパラチアサファイアは人工処理で作れる!?
極上の美しさをもつパパラチアサファイア。しかしもしあなたが宝石店でパパラチアサファイアを見かけたら、購入する前にちょっと注意が必要。
鑑別書を見ればわかりますが、天然のパパラチアサファイアもほとんどが加熱処理を施されています。
もともと加熱処理はサファイアに対して通常的に行われる処理でおり、加熱されているからといってそのサファイアの価値が下がるということはありません。
気をつけたいのは「ベリリウム拡散加熱処理」という方法で、人工的にパパラチア色を再現したサファイアです。
宝石としての価値はほとんど無く、海外の展示会では1石100〜200円で取引されていたりもするので注意が必要です。
▶パパラチアサファイアに施される「ベリリウム拡散加熱処理」についてはコチラの記事を参考に
また、京セラという会社は、「人造パパラチアサファイア」の特許も持っています。
もちろん、事前にわかっていて購入する分には良いと思いますが、なかには人工石であることを伏せて販売する業者もいますので、注意してくださいね。
最後に
宝石の国の中で、ルチルの医務室で「231年11ヶ月1日」眠り続けていたパパラチア。(その間ルチルは30万30回もパパラチアの改造を試みていました。)
パパラチアの穴を埋めるために、ルチルはルビーのかけらを使っていましたが、パパラチアはいわばルビーとサファイアの中間にある石。
言わば、ルビーのとサファイアのの両方の「魅力」を兼ね備えているパパラチアサファイア。その力はかなり強力ですよね。
しかし、パパラチアサファイアのピンクオレンジの美しい色は、実は各国の鑑別機関によってカラー基準が異なります。
ダイヤモンドのように統一されたグレーディングがないため、日本では淡いピンク系が、ヨーロッパではオレンジの強いサファイアがパパラチアサファイアだと認識されているようです。(ドイツでは「夕焼け色」だとか。詩的ですね。)
つまり、パパラチアサファイアの色は1つではありません。あなただけの「パパラチア」をインスピレーションで見つけてみてはいかがでしょうか。
カラッツ編集部 監修