パライバトルマリンの色を徹底研究!あなたはグリーン派?ブルー派?価値の違いは?

パライバトルマリン 色の違い ブルー グリーン ルース

南国の海の色ともいわれるネオンブルー~ネオングリーンの色合いが特徴のパライバトルマリン。

今となっては想像もつきませんが、初めて市場に登場したときは、この天然とはとても思えない人工的なネオン感に賛否両論だったとか。

現在は不動の人気を誇り、ファーストパライバ、セカンドパライバと、いくつもコレクションしている方も少なくないのではないでしょうか。

今回はそんな人々を魅了し続けるパライバトルマリンの色についてのお話です。

パライバトルマリンの全般的なお話を知りたい方は下記記事を参考に。

パライバトルマリン ルース 原石 ジュエリー

パライバトルマリンとは|特徴、産地、偽物、施される処理など

パライバトルマリンの色は何で決まる?

パライバトルマリン バイカラー ルース

宝石の色は様々な要因により決まりますが、含まれる微量元素の作用によるというものも多いです。

そしてパライバトルマリンの色は銅とマンガンの影響が大きいと考えられています。

宝石の発色要因について詳しく知りたい方はこちらの記事を参考に。

トルマリン ルース

宝石の色の不思議:なぜいろいろな色があるの?何が違う?

成分分析報告書

パライバトルマリンと呼ばれるための定義は、ネオンブルー~ネオングリーンの色合いと銅の含有です。

逆に言えば、銅の含有がないとパライバトルマリンとは呼べません

そのため、鑑別の際は必ず成分分析が行われ、鑑別機関によっては、鑑別書の他に「成分分析報告書」というものを発行しています。

パライバトルマリン 成分分析書

成分分析報告書は、そのパライバトルマリンの銅とマンガンの含有量についての報告書で、銅とマンガンがそれぞれ何%含まれているかということが数値やグラフによって記されています

「成分分析報告書」に銅だけでなく、マンガンまで記載されるのは、かつてパライバトルマリンは銅とマンガンが含まれるトルマリンと定義されていたから。(※)

現在、鑑別機関によってはマンガンの含有は必須ではないと定義変更されていますが、成分分析書には、今も変わらずマンガンの含有まで記載されます。

とは言え、正直数値だけ見てもよく分からない!という方も多いかと思いますので、私の経験から得た何となくの目安をお伝えいたしますね。

※パライバトルマリンの定義については鑑別機関によって見解が異なる場合がございます。

銅が多いパライバトルマリン

パライバトルマリン ブルー 原石

銅の含有量が多いパライバトルマリンはブルーの発色が強くなることが多いです。一般的に含有量が多ければ多いほど、ブルーが濃くなるといわれています。

流通量は少ないですが、銅が2%以上あると、鮮やかなブルーのものが多い印象です。

もちろん、銅の含有量のみで色が決まるわけではないですが、画像の原石は銅が約3%、マンガン約0.5%のパライバトルマリン。鮮やかなネオンブルーが美しいですね。

また、諸説ありますが、1.0~1.5%ほどの含有量があれば、ブラジル産の可能性が高いともいわれています。

マンガンが多いパライバトルマリン

パライバトルマリン グリーン ルース

一方で、マンガンが多く含まれる場合にはグリーンの発色が強くなるといわれています。

画像のパライバトルマリンは銅が約1%でマンガンが4%を超えていました。

ただし、銅もマンガンも多い場合はブルーになるというケースもあったので、一概にはいえません。ただ、実物を見ることができず、数値と画像のみで判断する際の目安にはなると思います。

マンガンも2~3%含まれているものに色濃く美しいものが多い気がします。4%以上含まれている場合には、かなりグリーンの印象が強くなります。

分析報告書に数値の記載がない!?

数値を参考にしてくださいとお話しましたが、実は今の技術ではしっかりとした分析結果が出せないようなのです。

そのため、以前は含有量のパーセンテージが書かれていた報告書に、数値を書かなくなったという鑑別機関もあります。

ただ、正直なところ棒グラフを見ても、素人には何だかよく分かりません…。そんな時は鑑別機関に問い合わせてみましょう。

目安となる数値を教えてくれると思います。

色による価値の違い

パライバトルマリン 色の違い ブルー グリーン ルース2

では色によって価値に違いは出るのか、と言いますと・・・

ズバリ、出ます。

パライバトルマリンの場合、最も人気も価値も高いのは、やはりブルー味の強いもの

ざっと価値の差を比較すると下記の画像のような感じになります。①が一番高く、④が一番安くなるイメージです。

ただ、近年コレクターを中心にグリーン系の人気も高まっているといいますので、今後変わっていく可能性もあります。

パライバトルマリン 価値の違い

更に言うと、初期のブラジル・パライバ州バターリャ鉱山で産出された濃いブルーの色合いをした、通称エイトリータと呼ばれるものがあります。それらがパライバトルマリンの中で最も希少価値が高い色合いといわれています。

中にはロイヤルブルーサファイアのような深い色をしたものもあるそうですよ!

https://twitter.com/keiichiro_oyama/status/1175350933108117504?s=20&t=xq4J2hBlrmu4Y1rMDaZgqA

ただし、現在産出されることはほぼなく、出回るものは還流品かオールドストックだけのため、非常に高値で取引されるといいます。

聞いた話によると、売り主の言い値で売れると言われるほど貴重で、億単位で取引されるものも多いとか。

迷ったときにはどんな色を選ぶといい?

パライバトルマリン 色の違い ブルー グリーン ルース3

先程お伝えしたように、鮮やかなコバルトブルーをした初期のバターリャ産(エイトリータ)が最も人気も価値も高いです。

しかし現在市場に出回るものは非常に少ないため、最近はブルーグリーンのネオン感の強いものが人気です。

ブルーグリーンといっても、その色の配合は色々だと思いますが、ブルーが強く発色している物が高値で取引されているようですね。

どの色が良いか迷ってしまう場合はブルー寄りを選んでおいた方が無難でしょう。コバルトブルーがあればなおよし!ですね。

色以外に気を付けるポイントは?

パライバトルマリン ブルー リング2

パライバトルマリンはその鮮やかな色と、ネオン感が人気の宝石。含有量だけではネオン感は判断できません。

ネオン感がしっかりとあるかどうかを目で確認する必要があります。

加えて、非常にインクルージョンの多い宝石でもあります。それがネオン感に繋がる場合もあるのですが、透明度の高さによる輝きが好きという人も多いはず。

どの宝石でもそうですが、なるべく透明度の高い、インクルージョンの少ないものを選んでおいた方が良いと思います。

また、パライバトルマリンは通常、加熱処理が施される宝石なのですが、近年では透明剤の含浸処理も一般的に行われるようになってきたといいます。

今後、エメラルドやレッドベリルのように、鑑別書に『通常、透明剤の含浸処理が行われています』と一文が追記されるようになる可能性もあるそうですよ。

最後に

パライバトルマリン ルース

ざっくりとパライバトルマリンの選び方についてお話しました。最後にインターネットでジュエリーを購入する場合の注意点についてです。

パライバトルマリンはなぜか写真に撮ると、ブルーが強く写る傾向にあります。また、ネオン感も実物よりも強く写る傾向にあります。

分析の数値があれば、それを目安にできますが、ない場合には実物は写真よりもブルーが薄く、ネオン感も少ないという風に考えておきましょう。

ひとつ手にいれると、また別の色味のものがほしくなる。パライバトルマリンはそんな中毒性のある宝石なので、慎重に購入してくださいね(笑)。

カラッツ編集部 監修

ABOUT US

趣味で20年以上レアストーン寄りの宝石やジュエリーを収集しています。メキシコのウォーターオパールからはじまり、既に50種類以上のルースを所持しています。王道(?)のグランディディエライトやレッドベリルをはじめ、コーネルピンやペツォッタイトといった誰も知らないような希少石も大好物。宝石を太陽光に当てたり、ブラックライトで照らしたりしてマニアックに宝石を楽しんでいます。