スリランカの宝石が見られる博物館や寺院

スリランカ コロンボ国立博物館

Photo by : saiko3p

アーユボーワン!(こんにちは)

インド洋の真珠とも称されるスリランカは、宝石産地として古くから知られている国です。

宝石店は数多くありますし、採掘現場の見学も可能。ローズクォーツでできた山に登ることもできますよ。

スリランカで宝石は、装飾品としてだけでなく、伝統医療や占星術にも用いられます。スリランカの人々にとって宝石はとても身近な存在なのです。

そんなスリランカで宝石や鉱物が見られる場所として、そこに10年以上暮らした私がご紹介したいのは、コロンボ国立博物館と仏教寺院の宝物殿です。

コロンボ国立博物館は、スリランカで採れる全ての鉱物を体系的に学べるところがオススメポイント。

仏教寺院の宝物殿は、敬虔な仏教徒が奉納した高品質の宝石が納められており、宝石と仏教の国スリランカらしさが感じられる場所としてオススメです。

中でも今回は、ガンガラーマ寺院仏歯寺ケラニヤ寺院を取り上げて、ご紹介したいと思います。

また、スリランカを旅する時に、少しご注意頂きたいGem Museum(宝石博物館)」についても併せてお話ししますよ。では早速始めましょう。

※筆者がスリランカで暮らした頃の経験を元に書いています。現在の状況と異なる部分があるかもしれませんが、予めご了承下さい。

スリランカに宝石旅に行く場合におすすめの場所などについては下記記事でご紹介しています。

宝石の国 スリランカの魅力 -Part1-|スリランカの歴史と宝石旅にオススメの場所

宝石の国 スリランカの魅力 -Part2-|オススメの宝石土産と注意したいこと

コロンボ国立博物館

スリランカ コロンボ国立博物館

Photo by : saiko3p

コロンボ国立博物館は1877に設立された、スリランカ最大の博物館です。

白亜のコロニアル建築が美しく、南国の青空に良く映えます。

とても賑やかなコロンボの街中にありながら、ホッとするような静けさを感じることができるでしょう。

仏教関係の資料や民俗学的な展示が有名ですが、宝石好きな方は、ぜひ地質学の部門に行ってみて下さい。

鉱物と岩石のコレクションコーナーには、スリランカで採れるほぼ全ての鉱物と岩石が収蔵されています。

私が行ったときは、鉱物と共に研磨されたルースが展示してありましたよ。

この岩石からこんな宝石が生まれるのね!と感動したことを覚えています。

ガンガラーマ寺院(コロンボ)

スリランカ ガンガラーマ寺院

ガンガラーマ寺院は、コロンボで一番大きい仏教寺院です。

ベイラ湖の中心部にある美しい祠は、夕涼み場所としても人気。ヨガや瞑想をする人もいますよ。

観光客がガンガラーマ寺院に入るには入場料が必要。

寺院の敷地に入ると、牙を持つ大きな象に会うことができるでしょう。

この象はガンガラーマ寺院が開催する2月のお祭り「ナワン・ペラヘラ」で、電飾のついたコスチュームを着て仏舎利を運ぶという重要な役割を持っています。

「ペラへラ」とは行列のことで、各地の寺院で行われる宗教的行事です。何十頭もの象が着飾り、スリランカの伝統舞踊や音楽と共に練り歩く、盛大で珍しいお祭りとして知られています。

ガンガラーマ寺院の宝物殿

ガンガラーマ寺院(ガンガラーマ・ウィハーラヤ)には展示場がいくつもあります。

各国の貴重な仏像が集まっている部屋、様々な骨董品が詰まった部屋、ゾウのはく製やクラシックカー、金や象牙細工の品々、ハンバーガーショップのオマケなど雑多な日用品の数々まで、まさに玉石混交と言った感じに並べられています。

この不思議な空間に展示してあるものは全て、信者たちが奉納したものです。

その中で、宝石好きの皆さんにお勧めしたいのが宝石や鉱物が納められた宝物殿

お坊さんに鍵を開けていただき、薄暗い部屋に入るとそこはキラキラの宝石だらけ!

貴重な宝石の数々や、人が入れそうなアメジストドーム、巨大な水晶クラスターなどにも驚きましたが、とくに私が感動したのは大粒で見事な色のパパラチアサファイアでした。

こんな素晴らしいパパラチアサファイアを自分のものにせず、お寺に寄進するなんて!私だったら自分で使うのに・・・などと罰当たりなことを考えてしまいました。

信者からの奉納は日々行われているので、宝物殿の宝物も増える一方でしょう。目を惹く宝石が新たに収められているかもしれません。

仏歯寺(キャンディ)

スリランカ キャンディ 仏歯寺

Photo by : SamanWeeratunga

スリランカの中央部高原に位置する古都キャンディ

歴史の古い地域で、日本の京都の様だともいわれています。

そこには、スリランカで一番権威の高い仏教寺院、仏歯寺(スリ・ダラダ・マーリガーワ)があります。

その名の通り、仏陀の歯が納められていることで有名。それからスリランカ最大の祭り「エサラ・ペラヘラ」が開催される寺院としても知られています。

ここも観光客は入場料が必要です。寺院に併設された博物館の入場料も含まれているので良かったら行ってみて下さい。

寺院では1日に3回厳かな祈りの時間があります。伝統的なドラムの音やほら貝の響きに合わせて花や供え物を捧げる信者を見たり、礼拝の行列に参加して仏歯のご利益を頂くことも可能ですよ。

仏歯寺博物館と宝物殿

寺院に併設されている博物館には、古都キャンディを物語るお宝の数々が展示されています。

ただ、残念ながらこの博物館では、貴重な宝石の展示は見られません小さな宝石がついた象牙細工や金細工などはありますが、宝石好きな方には少し物足りないかもしれません。

実は、仏歯寺の中にはよほどのツテがない限り入れない、宝物殿があります。そこには信者たちから寄進された高品質で貴重な宝石の数々が納められています

私は偉いお坊さんと一緒だったので宝物殿に入ることが許されました。コーンフラワーブルーサファイアはじめ、宝石店かと思う位沢山の宝石が展示されていましたよ。どれもとても大粒で高品質でした。

宝物殿の奥には仏歯に直接礼拝することができる部屋があります。そこには非常に限られたVIPしか入ることが許されません。

一般の参拝客は1日3回の礼拝時にのみ、仏歯が入っている黄金の入れ物を見ることができます。金の装飾や宝石が散りばめられており、その輝きはまぶしいほどです。

仏歯は数年に一度、一般公開されます。その日は国中の信者が押し寄せ、キャンディの街は大変な騒ぎになります。

ケラニヤ寺院(ケラニヤ)

スリランカ ケラニヤ寺院

ケラニヤ寺院(マハー・ラジャ・ヴィハーラ)はコロンボ郊外ケラニヤにある仏教寺院です。

仏陀がスリランカに現れて沐浴したといわれているケラニ川のほとりに建ち、寺院を飾る壁画や彫刻が特に美しいことで有名です。

満月のケラニヤ寺院は花と灯明で飾られ、香りのよい線香の煙で満ちています。

白い服を着た信者が大勢集まり、祠の前や菩提樹の下で祈りを捧げる光景はとても幻想的。

スリランカは満月の日は休日で、敬虔な仏教徒はお寺で1日を過ごします。法話を聞いたり瞑想したり、祈りを捧げたりします。

どこのお寺も満月には花と灯明が捧げられますが、ケラニヤ寺院は特に美しいと評判です。

毎年1月には「ドゥルス・ペラへラ」が開催され、ゾウやダンサーの行列祭りを見ることができます。「子どもペラへラ」も楽しめますよ。

ケラニヤ寺院の宝物殿

私はケラニヤ寺院の宝物殿で、大きなアレキサンドライトを見たことがあります。

入ってすぐ左側のガラスケースに展示されていました。

濃くて深いブルーグリーンのアレキサンドライトで、見る角度によって赤がチラチラ走るような感じがしました。

他にも様々な宝石や、貴重な骨とう品などが展示されていましたよ。

大きなアクアマリンが何十粒も細工された首飾りも忘れられません。ブルーとグリーンの中間色がそれはそれは美しく、見とれてしまい動けなかった記憶があります。

これら数々のお宝が納められている宝物殿は、年に数回、特別な日だけ一般公開されていました

「Gem Museum」には注意が必要!?

スリランカ 宝石店

Photo by : Sunset And Sea Designa

スリランカの観光地などでよく、「Gem Museum」「Gemological Museum」「Natural Gems and Gemological Museum」という看板を目にすることがあります。

名前の意味としては、「宝石博物館」や「宝石と鉱物の博物館」になりますが、主に宝石店が経営していることが多いため、少し注意が必要です。

博物館に入ったつもりが宝石を買わされた、どうしても断り切れなかった、という日本人観光客の話をよく聞いたものです。

タクシーの運転手やガイドなどから勧められ、連れて行かれることもあるようです。

宝石について学べることは事実なのですが、そこには宝石店があり、宝石を売ることがメインの場所だということを予め頭に入れておくと、入ってから驚かなくて良いと思います。

宝石を購入されたい場合は問題ないと思います。但しその場合、何軒か回って品質や価格を比べることが重要です。

特に高額のものは信頼のできる機関が発行した鑑別書が付いているものを購入してくださいね。

「Gem Museum」の上手な利用法

とは言え、宝石店が経営しているGem Museum(宝石博物館)は、工夫を凝らした展示がされ、宝石について楽しく学べる場所が多かったことも事実です。私はよく訪問して宝石や鉱物を眺めていましたよ。

スリランカは蒸し暑いため、エアコンのよく効いた宝石博物館や宝石店は、気軽に入って涼むことができる、快適な場所でもありました。

ジュースのサービスがある所も多く、トイレも外にあるものよりはずっと綺麗なので、休憩する場所として、上手に利用するのも良いかと思います。

私は宝石を見るのがとても好きなので、色々見せてもらったり話を聞いたりして、気に入ったものがあれば交渉して買っていましたよ。

中には良心的な価格のお店や、強引な売り込みをしてこないお店もありますので、上手く選べば十分楽しむこともできるでしょう。

ドライバーやガイドが連れて行ってくれた場合、購入した宝石に彼らのマージンが上乗せされますが、お礼を込めて安い宝石を購入するのも良いかもしれません。

しかし、買う気がないときはキッパリと断りましょうね。

博物館との違いは?

前述のコロンボ国立博物館のような公的な博物館と宝石店が経営しているGem Museum(宝石博物館)の最も大きな違いは入場料です。

宝石店経営のGem Museum(宝石博物館)は、基本入場無料なのに対し、公的な博物館は入場料が必要なところが多いです。

私がスリランカに住んでいた2000年初頭、宝石店経営の所以外で宝石が展示してある博物館は、私が知る限り、コロンボ国立博物館と宝石の町ラトナプラにある国立博物館、そしてラトナプラ郊外の小さな宝石博物館だけでした。

ラトナプラ国立博物館は、コロンボ国立博物館を小さくしたような展示内容だったのを覚えています。どちらか一方に行けば充分かな、という感じ。

しかし宝石の町だけあって、ラトナプラの宝石に特化した展示や宝石採掘に関しての展示はコロンボ国立博物館より詳細だったかもしれません。今はさらに充実していることを願います。

私の記憶では、ラトナプラ国立博物館より、郊外の小さな宝石博物館の方が宝石だけの展示で分かりやすかったように思います。

しかしいずれにせよ、ライティングや展示内容などは宝石店経営の博物館の方が優れていた、という記憶があります。

最後に

スリランカ

Photo by : SamanWeeratunga

スリランカで、宝石や鉱物が見られる場所についてお話ししてきました。

敬虔な仏教徒が多いスリランカには、仏教寺院が無数にあります。どの寺院にもお宝を収めている部屋があるので、お願いすると見せてくれるかもしれませんよ。

宝物殿にあるお宝は宝石だけではありません

例えば海辺の街ゴールにはオランダ東インド会社(VOC)の拠点があったので、周辺の寺院には、その時代に流通していた世界の宝物が奉納されていたりします。

佐賀県有田町で17世紀ごろ作られていたVOCマークが入った大皿は、バブル時代に1億円の値が付くこともありました。それと同じものがゴールにある仏教寺院の宝物殿に何枚も収められていましたよ。

寺院に行くときは、ノースリーブや半ズボンなど肌が露出する服装は避けてくださいね。特別に宝物殿を見せてもらったら、お布施を渡すのも忘れずに

そして宝石店が経営するGem Museum(宝石博物館)は注意しつつも上手に利用して、実り多い宝石旅にしてくださいね。

ナワタ・ハムウェム(また会いましょう)

※筆者がスリランカで暮らした頃の経験を元に書いています。現在の状況と異なる部分があるかもしれませんが、予めご了承下さい。

スリランカに宝石旅に行く場合におすすめの場所などについては下記記事でご紹介しています。

宝石の国 スリランカの魅力 -Part1-|スリランカの歴史と宝石旅にオススメの場所

宝石の国 スリランカの魅力 -Part2-|オススメの宝石土産と注意したいこと

カラッツ編集部 監修