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ダイヤモンドのハート&キューピッド(H&C)

ハートアンドキューピッド

ダイヤモンドを購入する際、4Cと一緒に耳にすることが多いハート&キューピッド(ハートアンドキューピッド)という言葉

ハート&キューピッドは、ハートを射止める輝きであるといわれており、愛を誓う婚約指輪にも人気があります。

しかし、耳にしたことはあるものの、具体的に何を意味するのか、ダイヤモンドの輝きにどう影響するのか、細かくはご存知ないという方も多いかもしれません。

実際時々お客様から、ハート&キューピッドの意味や通常のカットとの違い、どのようにしたら見えるのか、世界的に通じる名称なのか、など質問を受けることがあります。

そんな質問に答えるべく今回は、「ハート&キューピッド」について色々ご紹介したいと思います。

ハート&キューピッドとは

まずハート&キューピッド(ハートアンドキューピッド)とは何なのか、というと、ラウンドブリリアントカットを施したダイヤモンドの中にハートと矢の形が見えるものを指します

「H&C」と表記されることもあります。

クラウン側に矢、パビリオン側にハートがそれぞれ8つずつ、光の反射で現れます。

どんなダイヤモンドでも見られる?

ハート&キューピッドは、全てのラウンドブリリアントカットダイヤモンドに見える訳ではありません

バランス良くカットが施された結果現れると考えられており、プロポーションの他、光学的対称性が非常に優れているダイヤモンドに現れるのだそうです

そのため、良いカットが施されているという意味合いも込め、称号のような形で「ハート&キューピッド」と付けられるのです。

輝きへの影響は?

ハート&キューピッドは、前述したように、バランスの良いカットが施されているため、美しく輝くことは間違いないです。

ただし、ハート&キューピッドが見えずともカット評価が高いものもありますので、それらと比較して特別に美しく輝くという訳ではないと考えて頂いた方が良いと思います。

ハートと矢の形が隠れている、ということがハート&キューピッドの特徴であり、最大の魅力ではないかと思います

カット評価は変わる?

ハート&キューピッドは、カット名称や称号のような位置付けとなり、カットグレードとは関係ありません

そのため、ハート&キューピッドが現れること自体がカットグレードに影響を与えることはありませんが、先程ご説明したように、カットがバランス良く施されたものにハートと矢が現れることが多いため、カット評価が高いものに多く見られるのは事実です。

ダイヤモンドのカット評価は、Cut(カット)、Polish(ポリッシュ)、Symmetry(シンメトリー:対称性)の3つの観点で評価され、それぞれがExcellent(エクセレント)、Very good(ベリーグッド)、good(グッド)、Fair(フェア)、Poor(プアー)の5段階で評価されます

最も評価が高いものがExcellent(エクセレント)となり、3つそれぞれでエクセレントが与えられたものは、「トリプルエクセレント(3EX)」と呼ばれます。

「トリプルエクセレント」と評価されたダイヤモンドの中でハート&キューピッドが見られるものも多くあり、それらはカット評価が最高のものとして取り扱われることが多いです

※AGL(日本の鑑別団体協議会)加盟の鑑別機関においては、カット評価がExcellentとVery Goodの場合のみハート&キューピッドが記載されます。

手持ちのダイヤモンで確認する方法は?

ハート&キューピッドが認められた場合、鑑定書にもその旨が記載されます。

ハート&キューピッドが分かる写真を載せる機関が多いようですが、GIAについては、写真ではなくInscription項目にH&A(ハートアンドアロー)と記載されます

ハートアンドキューピッド 鑑定書

ダイヤモンド鑑定書を確認すれば、そのダイヤモンドがハート&キューピッドかどうか簡単に知ることができます。

ハート&キューピッドとハートアンドアロー

ハートアンドキューピッド2

しかしこの「ハート&キューピッド」という名前、世界共通の言葉ではありません

例えば、GIA(米国宝石学会)では、ハートアンドアロー(H&A)、AGTラボラトリーでは、華標(はなしるべ)と呼びます。呼び方は異なりますが、全て同じものを指しています

実は最初にこのカットが登場した時、「ハートアンドアロー」と呼ばれていたといいます。しかしこの名前が商標登録され、自由に使えなくなってしまったのだそうです。

その後、中央宝石研究所が「ハート&キューピッド」という呼び名を付け、鑑定書に記載するようになりました

こちらも商標を取られていますが、AGL(日本の鑑別団体協議会)加盟の鑑別機関には自由に使うことが許されているため、日本では「ハート&キューピッド」の方が広く普及した、ということです。

ただ、これはあくまでも日本でのお話。海外では、それ程一般的ではないようです。

ハート&キューピッドはどうしたら見える?

ハート&キューピッドは肉眼で見ることは難しいです

よほど大きなダイヤモンドであれば見えるかもしれませんが、一般的には、特殊なジェムスコープ(観察装置)を用いて見ます
※ルーペ、拡大鏡、カメラのズーム機能を使用することで見える場合もあります。

ダイヤモンド専用スコープ

ハート&キューピッドは、先程ご説明したとおり、クラウン側に「矢」、パビリオン側に「ハート」が見えますので、矢はテーブル面(ダイヤモンドの表側にあたる八角形の大きな面)、ハートはキューレット面(裏側の尖っている方)からそれぞれ確認する形となります。

ハート&キューピッドの矢(アロー)の確認方法

1. スコープの専用石座の穴に、テーブル面が上になるようにダイヤモンドをセットします。
※テーブル面とキューレット面、見る側によって石座の使う面が異なります。正しい面をご確認の上セッティングして下さい。

2. スコープ本体の半透明の部分を目に当て、スコープ越しにダイヤモンドを上から覗きます。

3. すると、弓矢の矢のような模様が見られます。
ハートアンドキューピッド 矢

ハート&キューピッドのハートの確認方法

1. 専用石座を裏返し、石座の平らな面へパビリオン面(尖った部分)を上に向けたダイヤモンドを置きます。

2. テーブル面を覗いた時と同様に、スコープ越しにダイヤモンドを覗き込みます。

3. ハートの模様がご確認頂けると思います。

ハートアンドキューピッド ハート

◆◇◆◇

但し、パビリオン面のハート模様は、ジュエリーにセットしてしまうと見ることが難しくなります。ルースの状態でご確認ください

テーブル面の矢模様は、セッティングの仕方にも依りますが、ジュエリーの状態でも観察できる場合が多いです。

このダイヤモンド専用スコープは、カラッツSTOREでも販売しています。良かったらチェックしてみて下さいね。
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婚約指輪におけるハート&キューピッド

一部の結婚情報誌などで一時期、ハート&キューピッドやトリプルエクセレントのダイヤモンドが多く取り上げられたことから、婚約指輪のダイヤモンドとしての需要が急上昇しました。

今でも人気があり、ブランドによっては婚約指輪にはカットがエクセレントのものしか使わない、と謳っているところもあります。

天然の産物であるダイヤモンド、クラリティやカラーを変えることはできませんが、カットだけは、人の手でなされる部分なので、技術によって変わります。職人さんの腕の見せどころでもありますね。

最後に

ハートアンドキューピッド3

ハート&キューピッドは、バランスの良いカットが施されたものだけに現れる特別な模様だということが分かりました。

婚約指輪などプレゼントとして用意するなら、相手に隠れキャラを探すような気持ちで見てもらうと感動してもらいやすいかもしれませんね!

カットグレードに直接影響するものではありませんが、カット評価が高いものに多いため、素晴らしい輝きを放つことは間違いないです。

ダイヤモンドを探す時にぜひ注目してみて下さいね。

カラッツ編集部 監修

ABOUT US

ジュエリー業界に数年従事。その後別業種に転職しながら、ジュエリー好きが高じて、宝石に関する記事執筆やコンサルティング業務も行う。年に数回海外旅行に行った際には、現地のジュエリーショップや博物館をチェックするのが楽しみ。好きな宝石はカラーダイヤモンド。