バイカラートルマリンって素敵ですよね。
様々な色相が揃っているトルマリンの中でも、一石に2つの色が入っているバイカラートルマリンは少し特別に感じてしまうのは私だけでしょうか。
じっと見ながら、こんなに不思議な宝石を作ってしまう自然の力って本当にすごいな、と素直に感動してしまいます。
宝石として磨かれる前のバイカラートルマリンの原石は、どういう状態なのかもちょっと気になります。
宝石箱にぜひ加えたい、バイカラートルマリンの魅力について掘り下げてみましょう!
目次
トルマリンとは?
バイカラートルマリンを語る前に少しだけトルマリンについて説明したいと思います。
十分知っている!という方はとばしてくださいね。
実はトルマリンとは単一の宝石のことを指すのではなく、鉱物のグループ名だというのをご存知でしたでしょうか。
化学成分から見ると、なんと33種類もあるそうです。
和名は「電気石」。
なぜこんな名前がついたのか、とても不思議ですよね。
少し細かく解説していきましょう。
鉱物としての基本情報
トルマリンの鉱物としての基本情報は次の通りです。
英名 | Tourmaline(トルマリン) |
和名 | 電気石(でんきいし) |
鉱物名 | トルマリン |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
結晶系 | 六方晶系 / 三方晶系 |
モース硬度 | 7 – 7.5 |
比重 | 3.03 – 3.31 ※種類により変動 |
屈折率 | 1.62 – 1.64 ※種類により変動 |
光沢 | ガラス光沢 |
※化学組成は種類によって異なるため省略しています。
トルマリンは、特定方向からの衝撃に弱い性質、劈開(へきかい)が不明瞭にあるものの、モース硬度が7~7.5あり、ジュエリーにも向いている宝石です。
また、細かいレリーフが施されたペンダントなど、面白い形や特殊カットが施されたものも多い気がしますので、良かったら探してみてくださいね!
トルマリンの特徴
先ほども少しお伝えしましたが、トルマリンの和名は電気石です。
圧力をかけたり摩擦や加熱をすることで、石の一方がプラス、もう一方がマイナスになるために静電気が生じるのだそうです。
1700年の初め頃に、スリランカからアムステルダムに持ち込まれたある宝石の中で、特定の石だけに埃が吸い寄せられる様子に気づいたことから、注目されるようになったといわれています。
また、トルマリンは、現在では資源鉱物としても重要な役割をもっています。
圧電性をもっていることから、水深測定器や圧力変化測定器などに用いられているそうです。
偏光板として光学機器にも使われているのだとか。
透明度が高くて美しいトルマリンは宝石になり、宝石にならないものも多岐にわたり活用されているのですね。
トルマリンの色
トルマリンはカラーバリエーションが豊富で、幅広い色相をもっていることでも有名です。
黒、緑、青、黄、赤、ピンク、紫、褐色、カラーレスと、大抵の色は揃っている感じですよね。
評価が高くて有名なものは赤や青系などでしょうか。
特に有名なのは、緑がかったネオンブルーに輝くパライバトルマリンで、その美しさと価値の高さは宝石好きなら誰もが認めるところではないでしょうか。
でもなぜこんなに沢山の色が生まれるのでしょうか。
その理由はトルマリンに含まれている様々な金属元素の違いによるものだと考えられています。
例えば、鉄やチタンが含まれれば、黒や青、緑色に発色します。
マンガンは赤、ピンク、黄色になり、クロムは強い緑色。
バナジウムは青緑色で、銅は青、緑、紫青色に発色するのだそうです。
先ほども少しお話したパライバトルマリンに代表されるように、トルマリンは色によって呼び名が変わります。代表的なものをご紹介しましょう。
色 | 名 称 |
無色 | アクロアイト |
濃い青~緑がかった青 | インディゴライト |
ネオンカラーの青~緑 | パライバトルマリン |
赤~濃いピンク | ルベライト |
緑 | ヴェルデライト、グリーントルマリン |
黄 | カナリートルマリン |
2色 | バイカラートルマリン |
どれも素敵な名前ですね。
私も、トルマリンのネックレスを持っていますよ。
赤いルベライトをはじめ、様々な色のトルマリンがビーズで連なっていて、グラデーションが綺麗なのです。
残念ながらパライバとカナリートルマリンは入っていないのですが、その他の色は、バイカラーも含めて全て入っています。
スリランカの宝石店で「このトルマリンネックレスは健康にいいよ」と勧められ、安かったので買ってしまいました。
本当に健康に良かったらいいですよねぇ。。
トルマリンの産地
トルマリンの産地は世界中に散らばっているといいます。
アメリカ大陸では、アメリカ、カナダ、ブラジル、メキシコなど。
アジアでは、スリランカ、ミャンマー、中国で産出されています。
アフリカでは、タンザニア、ケニア、ジンバブエ、マダガスカル、モザンビーク、ナミビアなどが産地です。
ヨーロッパやオセアニアでは、オーストリア、チェコ、ロシア、オーストラリアで採れるそうです。
ちなみに、トルマリンという名前は、スリランカのシンハラ語Turamaliが語源だといわれています。
宝石の砂レキ、という意味なのだそうです。
トルマリンは風化に強く、川の底の細かい石や砂と一緒に堆積していることからそう呼ばれたのだとか。
川底にトルマリンが眠っているなんて、さすが、スリランカは宝石の国ですねぇ。
バイカラートルマリンとは?
ではそろそろ、今回の本題、バイカラートルマリンについての説明に入っていきますね!
バイカラートルマリンの「バイ(bi-)」はラテン語が語源で「2つの」という意味をもちます。
バイカラー(bicolor)は「2つの色」という意味ですね。
同じ法則から他にも「バイ(bi-)」がつく言葉がありますよね。
例えば、2か国語を話す人を「バイリンガル(bilingual)」といったり、自転車は「バイスクル(bicycle)」、2つの車輪という意味なのだとか。
一石に2色が入ったトルマリン、いいですよねえ。
バイカラートルマリンは、ピンクと緑の組み合わせが最も多いように感じますが、他の色の組み合わせもあります。
コントラストがハッキリしたものから、桜のような淡く儚げな印象を受けるものまで色や濃淡のバリエーションも豊かです。
中には3色以上入るものもあります。一石に3色入ったものは「トリカラートルマリン」と呼ばれるそうです。
「パーティーカラードトルマリン」または「パーティーカラートルマリン」と呼ばれるものもありますが、こちらは2色以上入ったものを指します。
つまり、バイカラートルマリンもトリカラートルマリンも4色以上入っているものもパーティーカラードトルマリン(パーティーカラートルマリン)です。
まさにパーティーのような華やかさですよね。
ウォーターメロントルマリンについて
はじめてウォーターメロントルマリンを見た時は、ホントにスイカみたい!と感動したのを覚えています。
まるでスイカの種みたいなインクルージョンがある、珍しいものもありましたよ。
私にとってトルマリンは、おいしそうなキャンディーのように見えることが多いのですが
その中でもウォーターメロントルマリンは、特に甘くておいしそうなんですよね~。
共感してくださる方、きっといらっしゃいますよね?
ウォーターメロントルマリンは、結晶の中心が赤色で、その周りを緑色で取り囲んでいる形になっています。
その結晶をスライスすると、まるでスイカのような色と形を楽しむことができるのです。
なんと、結晶の中心が緑色で、外側がピンクのものもあるそうで、リバース・ウォーターメロンと呼ばれているのだそうですよ!
一度見てみたいですよね。
バイカラートルマリンの原石の形
バイカラートルマリンは原石の時から色が分かれていて、とても綺麗なんですよ。
トルマリンはその多くが六方晶系や三方晶系など、柱状で産出されるといわれています。
柱状の結晶は片方が尖り、片方が平らになっており、両端の形が違うことから「異極像」と呼ばれています。
トルマリンはとても種類の多い鉱物なのですが、宝石として用いられるものは主に、ペグマタイト(巨晶花崗岩)鉱床から発見されるといわれます。
ペグマタイト内の液体と空気でできた空洞で生成されるのだそうです。
バイカラートルマリンは、成長の途中で微量成分が変化して、途中から色が変わってしまったものだと考えられています。
自然の力は偉大ですね。色が途中から変わるなんて不思議な現象が普通に起こってしまうのですから。
バイカラートルマリンの偽物について
合成石
バイカラートルマリンにも合成石はあるとは思いますが、バイカラートルマリンの合成石として市場に出回っている多くは合成のバイカラークオーツなんだそうです。
ちょっと複雑ですが・・
後述する「見分け方」のところでも説明していますが、色が鮮やか過ぎたり色の境目がハッキリしすぎる傾向があるようなので、少し不自然さを感じたら合成石を疑っても良いかもしれません。
しかし、合成石が必ずしも悪い訳ではありませんよ。
合成石と明記して販売されているものを納得して買う場合は問題ないのです。
でも、知らずに買ってしまったら、後で知ったときにとても悔しい思いをしますよね。
それを避けるためにはまず、本物と合成石との違いを知りましょう。
そして最も大切なのは、信頼のおけるお店から購入することです。
コーティング処理されたトパーズ
バイカラートルマリンの模造石として、ホワイトトパーズにコーティング処理を施しバイカラートルマリンに見せかけたものもあります。
実はコレ、今回この記事を書くために、合成バイカラークォーツとして以前購入していたものを鑑別してみたところ判明。
バイカラートルマリンに似せた合成バイカラークォーツが実はコーティング処理を施されたホワイトトパーズだったという、何とも複雑な話ですが、実話です。
そんな風に幾重にも嘘が重なっていることもありますので、皆さんも注意してくださいね。
ただし、こちらもコーティング処理を施したホワイトトパーズであることが明記され販売されていれば問題ありません。
偽物の見分け方!
ということで、見分け方にいきましょう!
バイカラートルマリンの偽物は、比較的画像でも見分けがつきやすいと聞きます。
明らかに不自然なものもあるからでしょうか。
見分けるポイントとしては3つ。
- 色が鮮やかすぎないか
- 色の境目がハッキリしすぎていないか
- 内包物はあるか
の3点です。
ちなみに上の画像、向かって左側がコーティング処理を施されたホワイトトパーズ、右が天然のバイカラートルマリンです。
何となく違いは分かるでしょうか。
ただし、天然の宝石には例外もあります。一見合成石と見間違えるような天然石もないとは言い切れません。
例えば、こんな色の境目がハッキリした天然のバイカラートルマリンもあります。
なので数枚の画像だけで一方的に決めつけず、もし画像が少なくて判断ができないなどあれば、他の画像をもらえないかお店に相談するなど、対話することも大切だと思います。
それで快く対応してもらえないのであれば、念のため買うのは避ける、というのは選択肢としてアリだと思います。
最後に
一つの石に2色が入っている不思議なバイカラートルマリンは、自然が長い時間をかけて作り上げた芸術品のようなものな気がします。
色んな国で色んな宝石と出会ってきてつくづく思うことは、人同士の出会いと同じで宝石との出会いも一期一会ではないかということです。
同じ石に再び巡り合うことはきっと殆どないと思います。
もしも心にピンとくる、好みに合うバイカラートルマリンと出会えたら、それも一つの運命かもしれません。
素敵な宝石と出会えますように!
カラッツ編集部 監修