ガーネットというと一般的に多く出回っているレッドや最近人気のあるグリーンのものを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
しかし実際は多くの種類が存在し、オレンジやイエローなど色も様々ある、とても奥が深い宝石です。
そもそもガーネットという名前自体が、一つの宝石や鉱物を表すものではなく、化学組織が近い鉱物のグループ名だったりするので、他の多くの宝石とは少し異なるのかもしれません。
今回はそんなガーネットの中でも特に、オレンジ色が印象的なスペサルティンガーネット(スペサタイトガーネット)にスポットライトを当てて、基本情報から価格相場、そしてマンダリンガーネットとの違いについてまでお話ししたいと思います!
ガーネットについて
スペサルティンガーネットのお話に入る前にまずはガーネットという宝石全体について、少しご説明しましょう。
ガーネットの特徴
前述した通り、ガーネットとは化学組織が非常に近い等軸晶系の鉱物のグループ名のことを指し、その種類は20種類以上あるといわれています。
大きく分けると、一般的にパイラルスパイトと呼ばれるレッドやオレンジ系で成分にアルミニウムを含むアルミニウムガーネット系と、ウグランダイトと呼ばれるグリーンやブラウン系などで成分にカルシウムを含むカルシウムガーネット系の2系統があります。
種類
前述した2系統からさらに3種類ずつ枝分かれし、パイラルスパイトはパイロープガーネット、アルマンディンガーネット、スペサルティンガーネット(スペサタイトガーネットともいいます)、ウグランダイトはグロッシュラーガーネット、アンドラダイトガーネット、ウバロバイトガーネットに分かれます。
この6種類が宝石として扱われている主な種類だといわれています。
さらにガーネットは “2つ以上の鉱物が溶け合って混ざり合う” 固溶体も存在します。
たとえば、パイロープとアルマンディンが混ざったロードライトガーネットやパイロープ、アルマンディン、スペサルティンが混ざったマラヤガーネット(マライアともいいます)、グロッシュラーとアンドラダイトが混ざったマリガーネットなどが有名です。
名前の意味
結晶の形がザクロの実の中の粒に似ていることから、ラテン語で種子を意味する“granatum/グラナートゥム”から由来して名付けられたといわれています。
和名では、ザクロ石といいます。
スペサルティンガーネットとは
それでは、今回の本題である、スペサルティンガーネットについてのお話を始めましょう。
スペサルティンガーネットとも呼ばれるスペサルティンガーネットは鮮やかなオレンジカラーが印象的な宝石です。
前述したとおり、アルミニウムガーネットの一種です。
ドイツ・バイエルン州のシュペッサルト郡にて発見されたことにちなんでそう名付けられたといわれています。
他のアルミニウムガーネットに比べ、宝石になるような高品質のものが少なく、特に透明度が高く大粒なものは多く市場に出回らないといわれています。
スペサルティンガーネットの中でも特に赤みのある深いオレンジをしたものをタンジェリンガーネット、黄色味のあるオレンジカラーのものをマンダリンガーネットといいます。
マンダリンガーネットについて
まるで果実のオレンジのような、少し黄色味のあるオレンジ色のスペサルティンガーネットのことを特別にマンダリンガーネットと呼びます。
しかしこれは正式な宝石名ではなく通称名、いわゆるコマーシャルネームなので鑑別書にはマンダリンガーネットとは記載されません。
ガーネットの中でも人気の高いものの一つで、名前の愛らしさもあってか、比較的知名度が高い方ではないかと思います。
マンダリンガーネットと呼べる大きな特徴は何といってもその個性的な色。
茶色がかっておらず、くすみのない、鮮やかなオレンジカラーであることが重要だといわれています。
スペサルティンガーネットの原石の形
等軸晶系の鉱物で菱形十二面体または偏方多面体で産出します。
中には画像のように、格子状に成長する独特な結晶も。
自然が作り出したとは思えない、人工的に加工されたような直線が並ぶ表面は何とも不思議ですね。
スペサルティンガーネットの価格相場
デマントイドガーネットやツァボライトガーネットとともにガーネットの中では比較的価値が高いとされるスペサルティンガーネット。
中でもマンダリンガーネットは高い評価を得ています。
カラッツSTOREのスペサルティンガーネットはガイ(1カラットあたりのお値段)がだいたい3,000~20,000円程度。
※色(カラー)、大きさ(カラット)、輝き(クラリティ)、カットの総合判断によって価格は変わります。そのため大幅な価格差が生じる場合もあります。
マンダリンガーネットで高品質のものだとこの数倍値が上がるものもあるそうです。
では、もう少し具体的なイメージがつきやすいように、カラッツSTOREで過去も含め販売していたものの中から幾つかご紹介しましょう。
こちらのスペサルティンガーネットは1.414ctで5,980円。
少し淡いオレンジ色のルースです。
そしてこちらは、1.140ctで11,800円のスペサルティンガーネット。
若干内包物が見られますが、鮮やかでありながらもかなり深みのあるオレンジカラーが目を引きますね。
最後に、5.080ctと大粒なマンダリンガーネットは79,800円。
こちらも少々内包物があるものの、黄色味を感じる明るいオレンジが美しいマンダリンガーネットです。
ここまで大粒だとジュエリーに仕立てたら存在感のある一品に仕上がりますね!
最後に
種類が豊富なガーネットの中でも、ひときわ個性が際立つスペサルティンガーネット。
果実のように瑞々しさすら感じる鮮やかなビタミンカラーは、見ているだけで元気がもらえそうですよね!
赤色のガーネットに比べ価格が高いものも多いですが、もし気に入るものと出会えたらそれも一つの縁かもしれません。
素敵な出会いがありますように☆
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カラッツ編集部 監修