アマゾナイトは、青緑色をした不透明な鉱物。
シラー効果を見せることで知られる、ムーンストーンなどと同じフェルスパーの一種です。
特徴的な色が魅力的なアマゾナイトの歴史は古く、紀元前からジュエリーとして身につけられてきたと伝えられています。
こちらでは、アマゾナイトの原石の性質や色、主な産地、名前の意味やフォールスネーム、偽物の存在など、細かくご説明していきますね。
アマゾナイトとは
改めて、アマゾナイトは美しい青緑色をした宝石です。
マイクロクリン(徴斜長石)というアルカリ長石(フェルスパー)に属する鉱物の一種で、硬度は6とあまり硬くありません。
マイクロクリンは化学組成がカリウム・アルミニウム珪酸素と、オーソクレースと全く同じです。
しかしオーソクレースの結晶が単斜晶系なのに対して、マイクロクリンは三斜晶系で生成するなど、異なる特徴も持っています。
アマゾナイトの性質
結晶系 | 三斜晶系 |
化学組成 | カリウム・アルミニウム珪塩酸 |
硬度 | 6 |
比重 | 2.56 |
屈折率 | 1.52-1.53 |
複屈折率 | 0.008 |
光沢 | ガラス状~絹糸状 |
アマゾナイトの色
現在宝石として市場に流通しているアマゾナイトは、青緑色をしているものが多いのですが、原石は不透明に近く、ガラス状の強い光沢を見せます。
中にはフェルスパー特有のシラー効果を表すものもあるそうです。
前述した通り、アマゾナイト はマイクロクリン(徴斜長石)という鉱物の一種。
マイクロクリン(徴斜長石)は無色、白、ピンク、赤、黄、緑、青、灰色などといった豊富なカラーバリエーションを持ちますが、この中で青緑色を呈するものをアマゾナイトと呼んでいます。
実は以前、アマゾナイトが呈する青緑色の要因は不明でした。
青や緑色の要因として一般的な「銅」ではないか、という説もありましたが、研究の結果、1985年に鉛とフェルスパーの中にある水分が要因だろうという結論が発表されました。
アマゾナイトのカット
アマゾナイトは硬度が6と比較的柔らかいことから、カボションカットが施されるのが一般的です。
美しい色と光沢を放つことから、古来からカメオやビーズにも加工されてきました。
アマゾナイトの産地
アマゾナイトはインドのカシミール、ロシアのミアス市、米国のコロラド州、バージニア州などが主要な産地です。
ほかにもカナダ、中国、マダガスカル、ブラジル、ナミビア、リビア、タンザニアなどで産出されています。
アマゾナイトの名前の由来
アマゾナイトという名前は、南米ブラジルに流れるアマゾン川を由来とします。
アマゾナイトが最初に発見されたのがアマゾン川である、という説から名付けられたのですが、宝石学者たちはアマゾン川で緑色のフェルスパーが採れる場所はないと否定していました。
そしてその後、その緑色の鉱物はネフライト(軟玉翡翠)であることが判明し、さらに天然のアマゾナイトは、ブラジルの別の場所で生成していることが明らかになりました。
ちなみに、和名でもアマゾン川にちなんだ『天河石』と呼ばれています。
アマゾナイトの歴史
アマゾナイトの歴史は古く、古代エジプトの頃からジュエリーとして着用されていました。
王の墓からはアマゾナイトをビーズにしたものや黄金のマスクなどに装飾されたものが発見されています。
また南米や中米の原住民たちは、アマゾナイトをジュエリーとして身につけていました。
紀元前10世紀頃には、アマゾナイトを使用した盾も作られていたといわれています。
古来からアマゾナイトはケガの治療や疾患に効果があるとされたり、希望を引き寄せる効果を出す「希望の石」として大切に扱われてきたと言われています。
ヒスイに間違えられる?フォールスネームと偽物の存在
アマゾナイトはガラス光沢をした、特徴的な青緑色をしています。このことから、ひすいやトルコ石などに間違えられることがあります。
悪い例ではアマゾナイトをほかの石の偽物として販売していたり、フォールスネームが付けられ、『アマゾン翡翠』などという名前で販売されているケースもあるそうです。
また反対に、グリーンクォツアイトをアマゾナイトと偽って販売している場合もあるので注意しましょう。
まとめ
アマゾナイトは硬度が6とあまり高いほうではありません。衝撃や熱に弱いので、取り扱いや保管には特別な注意が必要です。
しかしその優しい色合いは心を癒す力もあるような気がします。興味がある方はぜひ一度手にとってみて下さいね。
カラッツ編集部 監修