誕生石の由来って?どうやって決めたの?国によって違うのはなぜ?
誕生月ごとに決められている誕生石。あなたはご自分の誕生石を知っていますか?
誕生石は、ジュエリーを選ぶ時のきっかけや決め手の一つにもなりますよね。
実はこの誕生石、国によって異なるものもあるのです。
では誕生石がどんな由来を持ち、どのように決められ、そしてなぜ国によって違うのか?
誕生石について色々ご紹介していきますね。
そもそも誕生石とは?
1月から12月まで、それぞれの月にちなんだ宝石を誕生石と言います。
「自分の生まれた月の誕生石を身につけると幸運を招く」とも言われる、俗習のひとつです。
誕生石の由来は?
誕生石の由来については諸説ありますが、文書として残っているものの一つとして「聖書」があります。
旧約聖書と新約聖書には、宝石に関する記述が200以上もあり、誕生石を決めるためのルーツの源になったと言われています。
旧約聖書「エジプト記」
旧約聖書「エジプト記」に登場する高僧の胸当て(ブレスプレート)が、誕生石の基となっているという説があります。
「高僧の胸当て」とは、モーゼを育てた身分の高い高僧が身につけていたもので、イスラエルの12の部族の名前を掘った12種類の宝石を、3個ずつ4段に縫いこんで作られた宝飾品のことです。
高僧の胸当てに使われた宝石は、次の通りです。
・1列目:ルビー、トパーズ、エメラルド
・2列目:ガーネット、サファイア、ジャスパー
・3列目:オパール、めのう、アメジスト
・4列目:アクアマリン、ラピスラズリ、碧玉
新約聖書、ヨハネの黙示録
キリスト教の経典である新約聖書は、イエス・キリストの死後、12使徒を中心とした弟子たちによって教えが広まりました。
その後、キリスト教は何世紀にもわたってローマ皇帝に迫害を受け、宗教と公認されたのは、313年のこと。
その80年後にテオドシウス帝によって「国教」と定められ、ローマ皇帝は地上におけるキリストの代行者となりました。
ローマ皇帝は、聖職者のシンボルである高価な宝石を縫い付けた聖衣をまとっていました。
新約聖書、ヨハネの黙示録に「新しいエルサレムの街の東西南北に12の門があり、それぞれの柱の基石の下に埋められている12の宝石がある」という記述があります。
その宝石とは、ジャスパー、サファイア、めのう、エメラルド、縞めのう、赤めのう、かんらん石、緑柱石、黄玉石、ヒスイ、青玉、紫水晶でした。
世界中に広まる誕生石
聖職者でなければ身に着けることができなかった宝石が、庶民に広まったのは18世紀のフランス革命以後のこと。
当時、ポーランドに住んでいたユダヤ人が、王族貴族の風習である「婚約指輪」を庶民の間でも広め、世界中に宝石の魅力が広まり、宝石業界が活気づきました。
ポーランドの宝石商に考案された誕生石が広まり、自分の誕生石を身につけることが流行しました。
今日の誕生石
それまでの誕生石は、宝石商によっても国によってもバラバラでした。
それが1912年、アメリカの宝石商組合(現在のジュエラー・オブ・アメリカ)が初めて誕生石の選定を公式に行いました。
誕生石の原案は聖書から来ていると言われていますが、それとは関係のないところで、ダイヤモンドの普及や人気のあった石から選んだとも言われており、一説にはティファニーが人気のない半貴石の普及を狙って誕生石を決めたという説もあります。
その後、アメリカでも何度か見直され、更にそれを基準にイギリスの貴金属協会が誕生石を選定。
今日の誕生石は、この二つが基になっています。
そして日本の誕生石は、1958年に選定されました。
日本になじみの深いサンゴ、ヒスイが追加されるなど、国内の事情も加え決められたようです。
海外の誕生石
日本独自の誕生石があるように、海外の誕生石もそれぞれの国の習わしや気候にちなんで制定されています。
例えばイギリスは水晶の愛好家が多いため4月にロッククリスタル、5月にクリソプレーズが誕生石になっていますし、フランスはほかの国とはだいぶ異なり、3月にルビー、9月にペリドット、10月に真珠とアクアマリンと、色まで変えています。
まとめ
起源は同じでも国によって誕生石の違いがあるのは、その背景に宗教やその国独自のなじみ深い石があるからなのですね。
異なる文化が混ざり合えば、解釈の仕方も違ってくるものです。
「どれが正解なのか?」というと、「どれも正解」ということなのでしょう。
誕生石のほかにも「誕生日石」、占星術に基づいた「星座石」というのもあるそうです。
由来も含め色々知っておくとときっと宝石の楽しみ方が広がりますよ。
カラッツ編集部 監修