ブラックと深いグリーンが交じり合う個性的な宝石、サーペンティン。
サーペンティンは実は一つの宝石や鉱物の名前ではなく、複数からなる鉱物のグループ名です。
蛇を連想させる模様からお守りとして利用された歴史もあります。
今回はそんなサーペンティンの特徴や名前の由来などをお話ししたいと思います!
※サーペンティンは、機関によって名前の捉え方が様々あり、鑑別の教科書などによっては、「サーペンティンマーブル」をグループ名、「サーペンティン」をその中の1種である「ボーウェナイト」と捉えているものもあります。
ここでは、「サーペンティン」をグループ名とした書籍などの情報を元にお話させていただいております。
サーペンティンとは?
冒頭で少しお話したとおり、サーペンティンは、一つの鉱物を指す名前ではなく16種類以上の鉱物を含むグループ名です。
大きく分けると「アンチゴライト」「クリソタイル」「リザーダイト」という3つのグループに分けられます。
特徴
サーペンティンは、一定の結晶構造を持つことはなく、アンチゴライトは単斜晶系、クリソタイルは単斜晶系と斜方晶系、リザーダイトは単斜晶系、六方晶系、三方晶系に結晶します。
それぞれ単体で産出することもあれば、交じり合って産出することもありますが、この3つの鉱物はとてもよく似ていて、見た目だけで見分けるのはとても困難です。
モース硬度は2.5~5。※種類によって異なります。
● ボーウェナイト
サーペンティンの変種に「ボーウェナイト」と呼ばれる鉱物があります。
こちらはアンチゴライトやリザーダイトの変種といわれ、色合いは半透明で淡い黄緑色で産出されるものが多いそうです。
宝石品質と呼ばれるような品質の高いものも多いため、ジュエリーや装飾品として扱われることが多いのもこのボーウェナイトだといわれています。
※鑑別の教科書などによってはこのボーウェナイトを「サーペンティン」、グループ名を「サーペンティンマーブル」として説明されているものもあります。
名前の意味
サーペンティンの持つ蛇のような模様から、ラテン語で“蛇のような”を意味する serpentinus から由来してそう名付けられました。
和名では、蛇紋石/じゃもんせき(または蛇紋岩)と呼ばれます。
色
ホワイト、グレー、ブラック、イエロー、グリーン、ブラウンなど。
一般的に多く流通しているのは、落ち着いたグリーンとブラックが交じり合ったものです。
産地
主な産出国は南アフリカ、中国、韓国など。
その他、カナダ、アメリカ、アフガニスタン、イギリス、ギリシア、フランス、オーストリア、インド、ニュージーランド、イタリアなど、世界各国で産出されています。
ジェードの代わりにされるサーペンティン
サーペンティンの変種である「ボーウェナイト」は、一見すると、ジェード(Jade)によく似ているため「ニュー・ジェード」という名前で、販売されていることもあるといわれています。
その他サーペンティンに色づけしてジェードに模したものを「シリアン・ジェード」や「スーヂョウ・ジェード」として販売されていることもあると聞いたことがあります。
しかし勿論いずれもジェード(Jade)ではありません。ジェードとして購入しないように注意してくださいね。
サーペンティンという名前で販売されるものは、ブラックと落ち着いた深いグリーンが交じり合う、蛇のような模様があるものが多いように思います。
最後に
落ち着いた色合いが渋い印象のサーペンティン。
色合いのせいかどこか厳かな印象もあるので、お守りとして使われた歴史には納得ですね。
パワーストーンとして見かけることが多いサーペンティンですが、原子炉のシールドの原料として利用されることもあるので、資源としても貴重な鉱物だったりします。
モース硬度が低く、傷つきやすいため、取り扱いには注意してくださいね。
カラッツ編集部 監修