金属のようなメタリックな光を放つパイライト。
少しイエローっぽいシルバーカラーは、まるで金のような印象を受けます。
今回はそんなパイライトの特徴とともに、他の鉱物との関係などもご紹介したいと思います!
パイライトとは?
薄いゴールドカラーの金属のように見えるパイライトは、一見すると金と間違いそうになります。
このことから、フールズ・ゴールド/Fool’s gold、愚か者の金、馬鹿者の金、猫の金などといった俗称があります。
金よりも軽くて硬く、モース硬度は6~6.5あります。※金のモース硬度は2.5~3
パイライトの仲間にマーカサイトといわれる鉱物があります。
パイライトとマーカサイトは化学組成は全く同じですが、結晶構造が異なるいわゆる同質異像の鉱物。
高温で酸性だとパイライトが、低温でアルカリ性だとマーカサイトができるといわれています。
パイライトとマーカサイトの特徴で大きく違うのは、マーカサイトは空気に触れると水分に反応して急激に劣化してしまうそう。なので装飾品にはあまり向かないとされています。
産地
主な産地はペルー、ボリビア、スペイン、イタリア、メキシコ、チェコなど。
日本を含めた世界各国で産出されるといわれています。
色
ゴールド、真鍮色
名前の意味
パイライトはハンマー等で強く叩くと火花が飛び散り、火打石として用いられることもあります。
このことからラテン語で“火打ち石”という意味の「pyrites」から由来し、英語で「pyrite/パイライト」と名付けられました。
和名では黄鉄鉱(おうてっこう)と呼ばれます。
パイライトの原石の形
パイライトの原石の形はとてもユニーク。
まるで人工的に研磨したようなキュービック型、六面体や八面体などで産出し、特に五角十二面体はパイライトの特徴ともいえる形で別名「黄鉄鉱面」と呼ばれます。
かと思えば押しつぶされたような円盤状でも産出し、これらは「パイライト・サン/パイライトの太陽」と呼ばれコレクターにも人気が高いです。
しかし実際はパイライトではなく、マーカサイトであるとか。
他の鉱物との共存するパイライト
パイライトは時に他の鉱物と混ざって産出されることがあります。
パイライトのもつゴールドの煌めきがその宝石の魅力をさらに引き上げているものも多く、とても魅惑的です。
いくつかご紹介しますね♪
ラピスラズリ
ヨーロッパではウルトラマリン、日本では瑠璃色と表現される深いブルーの美しい宝石、ラピスラズリ。
単体の鉱物ではなく、ソーダライト、アズライトなどが不純物として混ざり合って出来ています。
中にはパイライトが混ざっているものもあり、ラピスラズリの濃紺の中にパイライトのゴールドがキラキラ輝く様はまるで夜空を見ているような美しさ。
パイライトはラピスラズリに幻想的な魅力を加える大きな存在ともいえるでしょう。
パイライトインクォーツ
クリアなクォーツの中にパイライトの結晶が内包されたパイライトインクォーツ。
パイライトを内包すると、その周辺のクォーツは曇りがちになってしまうことから、透明度の高いクォーツにキューブや六角形の結晶がインクルージョンとして存在する物は、非常に希少なものとされます。
まるで水の中にゴールドのキューブが泳いでいるように見え、自然が作ったとは思えないとても不思議な宝石です。
お手入れで注意すべきこと
鉄分が多く含まれているので、水分に弱い傾向にあります。
湿気の多い場所に放置していると、錆びてしまいますので注意が必要です。
また、手で触れるとその部分に指紋が残り、人間の汗や皮脂で指紋の形に溶けてしまうことも。
使用後は柔らかい布などですぐにふき取るように習慣づけると良いと思います。
最後に
落ち着いたゴールドカラーの宝石、パイライト。
ゴールドよりも軽量で硬いので、古くから装飾品にあしらわれ愛されてきました。
一般的に思い浮かべられるような「宝石」とは少し異なる印象も受けるかもしれませんが、ラピスラズリの中でキラキラ輝く姿など他の鉱物にはない魅力を持ち合わせた宝石だと思います。
この機会に是非パイライトの魅力を知っていただけると嬉しいです♪
カラッツ編集部 監修